テキサス州ハンツビルで7日、強盗殺人罪で死刑囚となっていたジャマール・ハワード死刑囚(46)の刑がペントバルビタールによる薬物注射で執行された。米国における死刑執行は、テネシー州でクリスタ・パイク死刑囚の刑執行が失敗に終わって以来、全国で今年30人目となる。
テキサス州の刑執行と直前の法廷闘争
テキサス州刑務所当局の発表によると、ジャマール・ハワード死刑囚は同日午後8時3分に死亡が確認された。執行の直前、ハワード死刑囚は観察窓の向こうにいる被害者遺族に向けて謝罪の言葉を述べた。
「皆さんが私の謝罪を受け入れ、私を許してくださることを願っています。何が起きたのか、本当に申し訳なく思っています。いつの日か私を許せるようになってほしい。」
ジャマール・ハワード死刑囚、テキサス州刑務所
死刑執行の数時間前、弁護団はテキサス州刑事司法局が使用する薬物の品質に懸念を示し、執行差し止めを求める申し立てを行った。しかし、テキサス州刑事控訴裁判所はこれを棄却し、連邦最高裁判所も同日夕方、弁護団による緊急の上訴を退けた。

弁護団はまた、ハワード死刑囚が知的障害を抱えており、憲法修正第8条の保護に基づき死刑の対象外であると主張したが、州側は法的な基準を満たす証拠が提示されていないと反論した。
移送中の様子と執行時の状況
テキサス州刑事司法局の報道担当者であるアマンダ・ヘルナンデスによると、ハワードは死刑執行施設のあるハンツビル・ユニットまでの約45マイル(約70キロメートル)の移動中、非常に気さくに世間話をしていたという。職員らからの質問に答え、プロセスに深く関与しながら過ごしていたことが明かされている。
一方で、別室の窓から見守っていたハワードの姉は、刑の執行が始まると耐えきれずに激しく動揺した。「ここから出してくれ」と繰り返し叫び、女性の矯正職員(看守長)らの助けを借りて別室から退避させられた。
クリスタ・パイクの失敗がもたらした懸念
今回の執行が注目を集めた背景には、テネシー州で前週に発生した薬物注射の失敗があった。テネシー州では9月30日、クリスタ・パイク死刑囚に対するペントバルビタールの投与が行われたものの致死量に至らず、パイクは病院に搬送される事態となった。弁護団は、テキサス州が使用する薬物も同様のリスクや劣化を抱えている可能性があると主張していた。

パイクの代理人弁護士によると、パイクは数日間の昏睡状態から意識を取り戻し、言葉を話すまでに回復しているという。テネシー州のビル・リー知事は、同州で今年予定されていた残りの死刑執行を一時停止している。
2000年のコンビニエンスストア強盗殺人事件
ハワード死刑囚は、2000年5月12日にヒューストン北東のシルズビーにあるガソリンスタンド併設のコンビニエンスストアで発生した強盗殺人事件で死刑判決を受けていた。当時20歳だったハワードは、店員だったビッキー・スワートアウトさん(42)を胸部への銃撃で殺害し、レジから現金114ドルとタバコ1カートンを奪った。
事件当時の店内の防犯カメラ映像が裁判で証拠として採用され、ハワードは翌2001年4月にハーディン郡の陪審団によって資本殺人の罪で有罪評決を受け、死刑を言い渡されていた。テキサス州では今年に入り、ハワードを含めて7人が処刑されている。