タンパベイ・レイズの新球場建設をめぐる議論が大きな転換点を迎えました。タンパ市とヒルズボロウ郡、そしてレイズの間で、総額23億ドルの事業費に対する新たな資金拠出スキームに関する暫定合意がまとまったことが、関係者への取材や現地報道で明らかになっています。今回の提案では、レイズが総額の約半分を拠出し、ヒルズボロウ郡は7億9,600万ドルの公的資金を拠出する計画となっています。
総額23億ドルの新スタジアム計画と財源の変更点
新たな合意のもとで、タンパ市の負担額は当初の1億8,000万ドルから8,000万ドルへと引き下げられました。さらに、この新スキームではタンパ市のコミュニティ投資税(Community Investment Tax)からの資金が一切使われない仕組みになっています。
ジェーン・カストルタンパ市長は、本日はタンパおよび地域全体にとって歴史的な前進となる日であり、タンパベイ・レイズ、タンパ市、ヒルズボロウ郡が懸命に努力した結果、レイズのタンパベイ残留を実現し、納税者を保護し、市中心部における変革的な開発の可能性を切り拓く合意に至ったと述べました。
タンパ市長のジェーン・カストル氏は、今回の合意が地域全体の未来を切り拓く歴史的な一歩であると強調しました。カストル市長はソーシャルメディア上の声明において、納税者を保護しつつレイズをタンパベイに繋ぎ止める重要な成果であると評価しています。また、提案されている23億ドルの開発事業は、レイモンド・ジェームズ・スタジアムの真向かいに位置するヒルズボロウ・カレッジ(Hillsborough College)の敷地内に建設される予定です。
レイズ側の負担増と35年間の本拠地死守条項
タンパベイ・レイズの最高経営責任者(CEO)であるケン・バビー氏は、今回の合意について次のように述べています。
ケン・バビータンパベイ・レイズ CEOは、ヒルズボロウ郡およびタンパ市と共に、地域内でのレイズの永遠のホームを実現するために今年大きな一歩をいくつか踏み出してきたが、今日踏み出した一歩が最大のものであると述べました。
バビーCEOは、この合意にはレイズによる民間投資の増加、覚書(MOU)から削減された公的拠出、コスト超過に対する保護措置、新たな税金の不導入、公共の安全に関わる資金の保護、そして35年間の非移転確約(35-year non-relocation commitment)が含まれていると説明しています。さらに、バビー氏は過去9ヶ月間にわたり協議を重ねてきたヒルズボロウ郡やタンパ市の職員・当局者らの尽力に感謝の意を示しました。
地域インフラ基金と市民生活への波及効果
今回のスタジアム事業は単なるスポーツ施設の建設にとどまらず、周辺地域の再開発をも視野に入れています。タンパ市議会の議長を務めるアラン・クレンディン氏は、計画の本質が野球を超えたところにあると指摘しています。

アラン・クレンディンタンパ市議会議長は、これは変革的なプロジェクトであり、単に野球のことだけではなく、エリア全体を再構築して活気ある地域へと変えるものであると述べました。
市議会における合意形成の裏には、ビル・カールソン市議が主導した収益分配のアイデアがありました。「私自身は野球ファンではありませんが、友人や家族はファンです」と語るカールソン市議は、コミュニティの市民が道路、洪水対策、公園、歩道などの解決策を求めていると指摘しました。カールソン市議がまとめた提案により、増税を行わずに今後35年間で最大20億ドル規模に達する可能性のある基金を設立し、道路の整備や洪水対策、公園などの市民生活に直結する課題へ充てる方針が組み込まれています。
今後のスケジュールと来週に迫る自治体の採決
新スタジアム計画の実現に向けた手続きは、いよいよ最終段階に入ります。ヒルズボロウ郡委員会の委員長であるケン・ハガン氏によれば、細かなビジネス面や法的な調整事項について週末も協議が続けられる見通しです。
関係者が急ぎ合意文書を一般に公開した背景には、来週予定されている投票に向けて市民が十分に内容を精査する時間を確保する狙いがあります。予定されている採決は、8月27日木曜日のタンパ市議会と、翌8月28日金曜日のヒルズボロウ郡委員会で行われます。
レイズ側は、今年8月末までに最終的な合意を完全に固める必要があると強調してきました。今回の暫定合意が無事に両自治体の承認を得られれば、9月の起工式を経て、2029年の新球場オープンに向けた本格的な建設工事が動き出すことになります。