ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は10月11日、ロシアがウクライナのエネルギーインフラへの攻撃を停止するならば、ロシアの石油精製所への攻撃を停止する用意があると表明しました。これは、ドナルド・トランプ次期米大統領による「エネルギー停戦」の主張や、燃料価格高騰をめぐる国際的な批判の中でなされたものです。
エネルギーインフラ攻撃の相互停止提案
ゼレンスキー大統領は、Facebookを通じた声明で、過去1週間のロシア軍による大規模な航空攻撃を振り返り、エネルギーおよび公益ネットワークへの攻撃停止は即座に実行可能であると指摘しました。大統領は、「ロシアが我々のエネルギーインフラへの攻撃を停止するならば、ウクライナはロシアの石油精製所への攻撃を停止する準備がある」と述べています。
「エネルギーインフラへの攻撃を停止することは今日にも可能だが、ウラジーミル・プーチン大統領がそれを望んでいない」
ウォロディミル・ゼレンスキー、ウクライナ大統領
大統領は、いかなる緊張緩和の措置も相互的であり、ウクライナの国内電力および暖房網を冬のシーズンに向けて保護するための、実行可能な二国間合意の枠組みの中で行われる必要があると強調しました。また、ロシアこそが欧州における戦争の真の原因であるとし、ウクライナは自国の利益と国民の生命を守るためにパートナーと協力し続けていると語りました。

トランプ大統領の「エネルギー停戦」主張と燃料取引
トランプ氏は日曜日、Truth Socialへの投稿で「ロシアとウクライナの戦争において、即座にエネルギー停戦が発効した」と宣言しました。しかし、ゼレンスキー大統領はAxiosのインタビューに対し、そのような合意については何も聞いておらず「私にとってはニュースだった」と回答しています。ゼレンスキー氏は、「もしプーチン大統領とトランプ大統領の間で合意がなされたのであれば、いつ停戦が始まるのか教えてほしい。我々はそれを受け入れる準備がある」と述べました。
この議論の背景には、記録的なディーゼル価格高騰に対するトランプ氏の対応があります。トランプ氏は金曜日、ロシアに対する燃料制裁を解除する取引に合意しました。この合意により、ロシアは直ちに30万トンのディーゼルを市場に放出し、11月には50万トン、その後さらに100万トンを追加供給する見通しです。トランプ氏は、アメリカの燃料価格高騰の原因はウクライナの行動にあると主張し、ゼレンスキー大統領に対してロシアの精製所への攻撃を控えるよう強く迫ってきました。

戦場における攻撃の現状と被害規模
ゼレンスキー大統領は、停戦の対話が求められる中でも、ロシア軍による激しい攻撃が続いている現状を報告しました。過去7日間だけで、ロシア軍は以下の兵器をウクライナ領内に投入しています。
- 誘導航空爆弾(KAB):約1,450発
- 各種ミサイル:75発
- 攻撃用ドローン:1,640機以上
大統領によると、投入されたドローンの約60%は、低高度での防空網を突破するために設計された高速のターボジェット駆動型でした。また、ザポリージャでは滑空爆弾が住宅を直撃し、救助活動終了時点で20名の死亡が確認されました。スロビャンスクでは5階建ての集合住宅が攻撃を受け、一部が完全に崩壊するなど、民間インフラへの被害が深刻化しています。

外交的対立と今後の見通し
トランプ氏はゼレンスキー大統領に対し、「取引ができる新しい指導者を見つけるよう提案する」と述べ、指導者の交代を強く示唆しました。これに対しゼレンスキー氏は、誰がリーダーになるかはウクライナ国民が選択すべき問題であり、プーチン大統領もまた指導者の交代を望んでいると指摘しました。現時点で、ロシア側がエネルギー停戦の提案に応じる具体的な兆候はなく、外交的な摩擦は続いています。ウクライナ側は、ロシアの石油精製所への攻撃を、軍事的な燃料供給を制限するための正当な手段として位置づけており、この「エネルギー停戦」の実現性は依然として不透明な状況です。