クマの人里への出没が相次ぐ中、全国の学校現場では臨時休校や登下校時の対応をめぐり模索が続いている。読売新聞オンラインなどの報道によると、災害時の臨時休校を認める省令はあるものの、具体的な要件や手順を定めた国の指針はなく、各自治体や学校の判断に委ねられているのが現状だ。
福島市と宇都宮市で進む独自指針の策定と課題
国からの具体的な指針がない中、自治体独自でのルール作りも進められている。福島市教育委員会は昨年10月、小学校敷地内への出没を受けて独自の指針を作成した。出没場所を学区内・近隣校学区、学校周辺、学校敷地内の3パターンに分け、行方確認の有無で休校を判断する仕組みだ。しかし、読売新聞オンラインなどが伝えたところによると、今年6月に市内でクマが出没した際は行方が不明のまま授業が再開され、保護者の送迎が6日間も続いた。市教委の担当者は「どのタイミングで通常に戻すか悩ましかったです」と語っており、警戒解除の判断の難しさが浮き彫りになっている。また、今年6月に小中学校を一斉休校とした宇都宮市教委も、年度内に対応指針をまとめる方針を示している。
登下校時の不安と欠席扱いをめぐる対応の広がり
登下校中のクマ出没に不安を感じる児童生徒が学校を休みやすようにするため、欠席扱いにしない措置をとる自治体も出始めている。秋田市は昨年秋、保護者から欠席の連絡があった場合に教職員が理由を聞き取り、欠席扱いにしない運用を開始した。dメニューニュースなどの報道によると、文部科学省は今年7月、新型コロナウイルス禍と同様に非常時と位置づけ、校長が認めた場合などは欠席扱いにしないことができると各教育委員会に周知した。ただ、現場からはいつまでこの特例的な扱いを続けるべきか判断に迷う声も上がっている。山形市教委では、保護者が車で送迎する際の通勤時間への配慮として、始業に多少遅れても許容する柔軟な対応をとっている。
専門家が指摘する学校現場の負担と今後の見通し
文部科学省は地域ごとの状況の違いを理由に、一律の統一的な指針を示す考えはないとしている。こうした状況について、大阪教育大の田中真秀准教授(公教育経営学)は「学校関係者は必ずしも野生動物対策にたけているわけではなく、校長だけに判断の責任を負わせるのは重い。教育委員会や行政の担当部署、地元ハンターら専門家との連携を強化して対応することが重要だ」と指摘している。現場の手探り状態が続く中、各自治体は安全確保と教育活動の継続の両立に向けた具体的な判断基準の策定を急がされている。