パレスチナ自治区ガザ地区では、和平合意から1年が経過した現在もイスラエル軍の攻撃が断続的に続き、人道危機が悪化している。合意の履行が停滞する中、食料不安や建物の損壊による死傷者が後を絶たず、住民の命が脅かされている。AP通信が報じた。
和平合意の頓挫と軍事行動の継続
2026年10月3日、ガザ地区北部ガザ市では、イスラエル軍の空爆で破壊された建物の状況を調べる住民の姿があった。本来であれば、1年前に締結された和平案に基づき、イスラエル軍は撤退し、ハマスが武装解除に応じたうえで新統治機構が始動するはずだった。しかし、ネタニヤフ首相はハマスの武装解除が進んでいないことを理由に履行を拒否している。このため和平に向けた動きは事実上頓挫しており、イスラエル軍による攻撃は合意後も続いている。
停戦合意後の犠牲者数と深刻な人道被害
イスラエル軍の攻撃による死者は、停戦合意後だけでも1400人を超えた。住民の安全は確保されておらず、攻撃によって損壊した建物で避難生活を余儀なくされるケースが多い。国連人道問題調整事務所によると、9月16日にはビルが倒壊し21人が死亡したほか、45人ががれきの中から救出された。現在、ガザ地区内では2000棟以上の建物が崩壊の危機に直面しており、住民は常に命の危険と隣り合わせの生活を送っている。
食料不足と境界管理による支援の停滞
食料状況はかつての深刻な飢餓状態からは改善がみられるものの、依然として厳しい。7月時点の推計では、人口の約7割にあたる約140万人が食料不安に直面している。この背景には、農地の利用が規制され、利用可能な面積がわずか3%に留まっている現状がある。地域外からの支援が不可欠だが、イスラエルによる境界管理が厳しく、十分な食料が行き渡らない状況が続いている。
復旧を阻む資材搬入の禁止とUNRWAの停止
建物の損壊が住民の命を奪う中、復旧作業は遅々として進まない。イスラエルはハマスが武器に転用する可能性があるとして、大型重機や建設資材の搬入をほぼすべて禁止している。さらに、復旧を困難にしている大きな要因が、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の活動停止だ。この措置は、人道支援要員の保護を定めた国連憲章や安全保障理事会決議に違反していると指摘されている。
高まる住民の不満と解決への道筋
イスラエルの人道問題への対応はあまりに不十分だ。現状を放置したままでは、住民の不満が高まり、地域の安定は遠のくばかりである。和平合意を主導した米国はイスラエルに圧力をかけなければならない。