1754896822
2025-08-11 06:00:00
- インド洋には、海面が近隣の海域よりも約90m低い「重力の穴」がある。
- そこは重力が近隣よりもわずかに低い。なぜそのようなことが起きるのか、科学者は長年にわたって頭を悩ませてきた。
- 最新の研究によると、これは、1億2000万年前にテチス海のプレートが地球深部に沈み込んだことによって引き起こされた可能性があるという。
インド洋の真ん中にある巨大な「重力の穴」は長年、科学者たちを悩ませてきた。
260万平方kmに及ぶこの異常な海域は、物理的な穴ではなく、地球の重力が平均よりも低い海域のことだ。
この穴について研究する科学者は、その下にある何かが奇妙な現象を引き起こしていると考えてきた。
だがこの謎を解くには、穴の下ではなく、その周辺を調べるべきだったということが、最新の研究で示唆されている。
その研究によると、古代の海底の名残から立ち上るマグマのプルームが原因である可能性があるという。
260万平方kmもの広大な重力の穴では、海面が周囲よりも低い

重力は地球の表面でごくわずかに変化している。
これらの変動のほとんどは簡単に説明できる。しかし、科学者たちは「インド洋ジオイド低域」として知られるこの「重力の穴」についてはなかなか説明できずにいた。
重力の差は大きなものではなく、この異常な海域の真ん中に立っていたとしても、その差に気が付くことはないだろうと、ドイツ地球科学研究所(GFZ)のジオダイナミクス研究者であるベルンハルト・シュタインバーガー(Bernhart Steinberger)はInsiderに語っている。なお、彼はこの研究に関わっていない。
しかし、260万平方kmに及ぶ海域の海面が、周囲の海域よりも約90mも低くなっているということは、やはり尋常ではない。
「その下に何か低密度のものがあり、それが原因となっているに違いないというのが大方の見方だったと思う」とシュタインバーガーは言う。
「しかし、最新の論文では、それとは異なる理論が展開されている」
この異常な海域の謎を解明するために、「穴」の周辺を調査

バンガロールにあるインド科学研究所(IISc)の地球物理学者アットレイー・ゴーシュ(Attreyee Ghosh)と博士課程学生のデバンジャン・パル(Debanjan Pal)は、この穴ができた原因を解明するため、コンピューターシミュレーションを行った。
彼らは、過去1億4000万年の間に地殻プレートが穴の周囲でどのように動いたか、19のシナリオをプロットした。
この研究に関する論文が、2023年5月5日付でGeophysical Research Lettersに掲載された。それによると重力の穴を説明できるシナリオはわずかであり、穴の下にあるものが直接的な原因となって重力を弱くしているというモデルは1つもないことが判明した。むしろ、低密度のマグマのプルームが原因となっている可能性が高いという。
「このことはもっと前に思いついてもよかったはずなのに、下に何かがあるに違いないとつい考えてしまうため、思いつかなかったのだろう」とシュタインバーガーは述べている。
1億2000万年前に起きたこと
論文では、重力の穴ができた原因について、ゴンドワナ大陸がアフリカ、オーストラリア、インドに分離していった1億2000万年前までさかのぼって説明している。
その頃、インドがアフリカから分離してローラシア大陸(現在のユーラシア大陸と北アメリカ大陸)にぶつかり、その間にあったテチス海が消滅した。
このテチス海を形成していた海洋プレートのごく一部は地中海にまだ残っているが、大部分は今もアフリカ東部周辺の地球深部にゆっくりと沈み込んでいる。
これがマントルの対流を引き起こし、重力の低い広大な領域を生み出したと、シュタインバーガーは説明している。
高密度のマントルが溶けると、高温で密度の低いマグマのプルームが発生し、インド洋の下に流れ込む。一方で、それを取り囲むチベット高原のような周囲の塊が相対的に高い重力を作り出し、インド洋の低重力との差を増幅させているという。
インド国立地球物理学研究所(NGRI)の科学者、ヒマンシュウ・ポール(Himangshu Paul)は、今後の海洋調査では、このようなプルームがコンピューター上だけでなく、実在するかどうかを確認する必要があるとNewScientistに語っていた。
※本記事は、2023年7月20日に公開した記事の再掲です。
#インド洋にある広大な重力の穴その原因を説明する最新理論 #Business #Insider #Japan