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2026-02-27 08:30:00
- マイケル・バーリ氏は、ゲームストップCEOのライアン・コーエン氏が「次のウォーレン・バフェット」になり得ると語っている。
- 映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』で一躍有名になった投資家バーリ氏は、ゲームストップCEOの忍耐強さ、創造性、財務に関する知識を高く評価した。
- バーリ氏によれば、コーエン氏はバフェット氏の投資手法を踏襲し、ゲームストップに莫大な価値をもたらす可能性があるという。
ペット用品ECサイトの起業家からビデオゲーム小売りチェーンのCEOに転身し、「ミーム株の帝王」の異名をとる人物が「次のウォーレン・バフェット」の候補として浮上するとは、にわかには信じがたい話かもしれない。
しかし、映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』で知られるマイケル・バーリ(Michael Burry)氏は、Business Insiderに宛てた短いメールの中で、ペット用品ECサイト「チューイー(Chewy)」の共同創業者でゲームストップCEOのライアン・コーエン(Ryan Cohen)氏を、バフェットの「精神的後継者」と見ていることを明かした。
その理由は、コーエン氏のビジネスと投資に対するアプローチが、2025年末にバークシャー・ハサウェイのCEOを退任したバフェット氏の手法と似ているからだ。
バーリ氏は2025年末にヘッジファンドの運用をやめ、コンテンツ配信プラットフォーム・サブスタック(Substack)での執筆活動に軸足を移した。彼は最近の投稿や読者コメントへの返信のなかで、コーエン氏とバフェット氏の類似点を指摘し、バークシャーの投資手法をゲームストップに応用すべきだと主張している。
昨年12月の投稿で、バーリ氏は2019年10月にコーエン氏と初めて電話で話したときのことを振り返っている。それは、バリュー投資家である両者が当時売り叩かれていたゲームストップ株を買い集め、すでに相当な持ち分を築いたあとのことだった。
コーエン氏は、投資がリターンを生むまで何年かかっても気にならないと語り、自身が「たいていの投資家より忍耐強い」人間であることをバーリ氏に印象づけたという。
「彼はひょっとすると『次のバフェット』になれる気質を持っているかもしれないと思ったが、そのときはそこまで深く知り合うまでには至らなかった」とバーリ氏は綴っている。
「バフェット流」を実践する
2020年10月、コーエン氏はBusiness Insiderの取材に対し、自身のキャリアで「最も大きな影響を与えた2人」として、父親とバフェット氏の名前を挙げた。
彼はこの伝説の投資家から、独自の思考力、他人が恐れをなしているときこそ貪欲になる姿勢、そして規律ある資本配分を学んだと語った。
コーエン氏は2017年にチューイーを30億ドル(約4680億円、1ドル=156円)以上で売却したのち、手にした資産のほぼすべてを、バークシャーのお気に入りのアップル(Apple)とウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo)の2銘柄に注ぎ込み、まさにバフェット流の強い信念と集中投資を実践してみせた。
チューイーを去ったあと、コーエン氏は物言う株主(アクティビスト投資家)へと転身した。2020年秋にゲームストップの株式を取得したことを公表すると、その持ち分をテコに2021年1月に同社の取締役に就任した。
コーエン氏の取締役就任は、バーリ氏が以前にゲームストップ株を推奨していたことと相まって個人投資家たちを熱狂させ、ゲームストップ株を「ミーム株」ブームの先駆けへと押し上げる原動力となった。
個人投資家たちは2021年1月下旬までにゲームストップの株価を最大2500%も急騰させ、同社の時価総額はピーク時に340億ドル(約5兆3040億円)に達した。これは現在の時価総額のおよそ3倍にあたる。
コーエン氏は2021年6月にゲームストップの会長に就任し、2023年9月には同社のCEOに就任した。2023年12月、取締役会が同社による株式投資を承認し、有価証券ポートフォリオの運用権限をコーエン氏に委ねたことで、彼はバフェットのような投資手法を取り入れる意図を明確に示した。
その野心を象徴するかのように、ゲームストップのIRページは、質実剛健さで知られるバークシャーのウェブサイトを模倣したデザインに刷新されている。


ゲームストップを率いて以来、コーエン氏はバフェット氏の代名詞でもある価値観の一つ「倹約」を強く推し進めてきた。コーエン氏自身は報酬を受け取っていない。これは、バークシャーのCEOとして40年以上にわたって年収10万ドル(約1560万円)という控えめな報酬しか受け取ってこなかったバフェットの姿勢と重なる。
また、個人資産の99%を超える額をバークシャー株として保有するバフェット氏と同様に、コーエン氏もゲームストップ株の約9%を握る筆頭個人株主として自らもリスクを負っている。
さらにバフェットと同じく、コーエン氏の周りには彼なら正しい判断を下すと信じて疑わない熱狂的で忠誠心の高い株主が多い。彼はその圧倒的な支持を追い風に、新株や金利0%の転換社債、短期ワラント(新株予約権)を発行し、昨年11月1日時点でゲームストップの手元資金を約90億ドル(約1兆4040億円)にまで積み増した。
バーリ氏はサブスタックにこう綴っている。「ガバナンスの強化、事業の売却、そして株式の希薄化を伴いながらも企業価値を高める巧妙な増資戦略など、彼がゲームストップで実行してきたことは、バフェット氏の往年の優れたビジネスモデルを彷彿とさせる」。
「大物」を狙うハンターたち
コーエン氏が何を画策しているのか、そしてバーリ氏がなぜ彼にバフェット氏の面影を重ねているのか。その理由を理解するには、バークシャーの歴史についてある程度の知識が必要だ。
バフェット氏は60年以上かけて、破綻寸前の繊維工場だったバークシャーを時価総額1兆ドル(約156兆円)の巨大コングロマリットへと変貌させた。同社は現在、自動車保険大手のガイコ(Geico)やBNSF鉄道をはじめ多数の企業を傘下に収め、コカ・コーラやアメリカン・エキスプレスといった上場企業に関しても数十億ドル規模の株式を保有している。
バフェット氏と、いまは亡きビジネスパートナーのチャーリー・マンガー(Charlie Munger)氏は、バークシャーを分散的かつ自律的な事業の集合体として構築した。これにより、両者は子会社間の資本配分や株式などの外部投資、そのほかの取引に専念することができたのだ。
また、両者はナショナル・インデムニティ(National Indemnity)といった保険会社を買収し、「フロート(浮動資金)」を生み出す仕組みをつくった。フロートとは、顧客から集めた保険料のうち、将来の保険金支払いまでの間に手元に滞留する現金のことだ。彼らはその莫大な資金を、新たな企業買収や投資の原資として活用した。
ところが、バークシャーの規模が巨大化するにつれて、バフェット氏にとって業績を大きく押し上げるような取引を見つけることが難しくなり、結果として「エレファント・ハンティング(巨大企業を狙う大物買い)」に多くの時間を費やさざるを得なくなった。
同様に、コーエン氏も最近、会社を「根本から変革する」ような買収を模索していると語っている。彼はウォール・ストリート・ジャーナルの取材に対し、ゲームストップの時価総額を現在の約110億ドル(約1兆7160億円)から1000億ドル(約15兆6000億円)超に引き上げたいと語った。さらに「天才的な手か、それとも完全なる愚策かどちらかになる」ような取引を念頭に置いているとも明かした。
CNBCに対しては、ゲームストップが自社よりはるかに規模の大きい企業——市場で過小評価され、事業の質は高いものの経営陣が「眠っている」ような企業——を買収する構想を描いていると語った。また、適切な取引が実現すれば、ゲームストップの評価額を時間をかけて「数千億ドル規模」にまで押し上げる道が開けるだろうと述べた。
一方、バーリ氏はサブスタックで、コーエン氏が会社を「根本的に変える」ような買収を行い、(祖業の小売業としての)ゲームストップは巨大企業の「名残り」として残ることになるだろうと予想している。
バーリ氏は、コーエン氏がバークシャー傘下のシーズ・キャンディーズ(See’s Candies)のような企業を買収するのではないかという持論を展開した。バフェット氏はこの箱入りチョコレートメーカーを「夢の事業」と呼んできた。それは、大規模な追加の設備投資が必要なく、ブランド力を背景とした価格支配力を持ち、将来の投資に向けた余剰キャッシュを生み出し続けてくれるからだ。

バーリ氏はさらに踏み込み、ゲームストップがセキュリティサービスのADTや、家具EC大手ウェイフェア(Wayfair)、金融保証大手アシュアード・ギャランティ(Assured Guaranty)の3社を買収するという具体的なシミュレーションまで描いてみせた。彼はこのアプローチを「インスタント・バークシャー」と名づけ、それを「自社の成長に必要な額を超える余剰資本やフロートを生み出し、それをさらなる投資に回せる優良企業のポートフォリオを構築すること」と定義している。
自分がコーエン氏の立場だったらと想像し、バーリ氏は次のように綴った。自分ならそうした取引を成立させたあと「ウォーレン・バフェットを最大限に真似しながら、忍耐強く優良企業を丸ごと、あるいは一部を買い、不況で資金繰りに苦しむ企業に対して自社に極めて有利な条件で資金提供を行う人生を歩んでいくだろう」。
「圧倒的なオプショナリティ」
コーエン氏の報酬パッケージは1月に改定され、複数の業績連動型マイルストーンが盛り込まれた。もし彼がゲームストップの時価総額を現在の約10倍にあたる1000億ドル(約15兆6000億円)に引き上げ、年間の調整後利益を100億ドル(約1兆5600億円)にまで拡大させることができれば、最大で350億ドル(約5兆4600億円)相当の株式報酬を手にする可能性がある。ちなみに、2025年11月1日までの9カ月間における同社の調整後利益は1億7900万ドル(約279億円)にとどまっている。
バーリ氏はサブスタックで資本配分の誤り、つまりコーエン氏が不適切な買収案件に手を出してしまうリスクについても指摘している。しかし、それでも彼は同株を滅多にない割安銘柄として、直近数週間でゲームストップ株を買い増しているとも語った。
「GME(ゲームストップ株)は、私に圧倒的なオプショナリティ(選択の幅と上値余地)を与えてくれると信じている。何か特別なことを成し遂げようとする正しいマインドセットを持ち、適切なインセンティブを与えられた若きCEO兼会長がいるのだから」と彼は記した。「現在の市場にあるほとんどの銘柄と比べても、はるかに投機的ではない(堅実だ)と思う」。
さらに、ゲームストップの株価が有形資産価値に近い水準で取引されているため、同社株への投資は現在のアメリカ株において「これ以上ないほど非対称的(下値リスクが限定的で上値余地が大きい)」とも述べている。
ゲームストップの株価は今年に入って24%上昇しているが、ここ数日は乱高下を繰り返している。2月6日の終値は約25ドル(約3900円)で、2021年1月のミーム株ブームのピーク時からは約80%下落した水準にある(※原文掲載時:2026年2月7日時点)。

メリーランド大学の金融学教授で長年バフェット氏に関するブログを執筆してきたデビッド・カス氏は、コーエン氏がこれまでの投資において「卓越した実績」を残しているとBusiness Insiderに語った。
カス氏は「ウォーレン・バフェットという人物は唯一無二の存在だが、ライアン・コーエン氏は彼と似た戦略に沿って成功を収める可能性を秘めている」と指摘した。
一方、バフェット氏に関する複数の著書を持ち、デラウェア大学ワインバーグセンターのディレクターを務めるラリー・カニンガム氏はBusiness Insiderに対し、バフェット氏の類まれなキャリアを模倣することは誰にとっても極めて困難だと語った。
「歴史を振り返れば、安易に誰かを『次のバフェット』に祭り上げることには慎重になるべきだ。バフェット氏の実績は、気質、規律、組織構造、そして歴史的背景といった稀有な組み合わせから生まれたものであり、本質的に再現不可能だからだ」と、カニンガム氏は述べた。
長年にわたるバフェットの信奉者でもあるバーリ氏自身、自分がどれほど途方もない比較をしているかは重々承知している。それでもなお、コーエン氏が「バフェット流」という馴染み深く、しかし同時に前例のない道を切り開くチャンスがあると見ているのだ。
「バフェット氏のストーリーを熟知している投資家なら、ほぼ全員が一度は彼と同じようなことをやってみたいと考えたことがあるはずだ」とバーリ氏は投稿している。「ただ、実際にそれを実行しようとしている人物が現れたのは、今回が初めてだと思う。しかも彼は極めて型破りで、かつかなり独創的なアプローチでそれを成し遂げようとしている」。
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