国際宇宙ステーション(ISS)の外壁作業中に宇宙飛行士の手から離れた工具バッグが、地球を周回しながら宇宙空間を漂っている。イタリアのマンチャーノにあるロボット式望遠鏡による2秒露光の撮影で、明るく光る姿が捉えられた。 Gizmodoなどが2023年11月20日に報じた。
国際宇宙ステーション外での作業中に工具バッグが流出
宇宙飛行士のJasmin Moghbeli氏とLoral O’Hara氏が国際宇宙ステーションの外部で作業を行っていた際、工具が入ったバッグが手から離れていった。バッグはそのまま手の届かない場所へと遠ざかり、現在は宇宙空間を漂流している。Gizmodoの報道によると、この紛失した船外活動(EVA)用の装備は、軌道上で「オービタル・ポリス」により追跡が続けられているという。
富士山の上空を通過した後に衛星写真で捉えられる
欧州宇宙機関(ESA)の宇宙飛行士であるMeganne Christian氏がX(旧Twitter)に投稿した情報では、このバッグを最後に目撃したのは宇宙航空研究開発機構(JAXA)の古川聡宇宙飛行士であり、当時は富士山の上空を漂っていたと報告されている。その後、イタリア・マンチャーノのロボット式望遠鏡による単一の2秒露光の撮影で、バーチャルテレスコーププロジェクトの衛星写真にしっかりと映り込んでいることが確認された。
時速2万8000キロメートルで地球軌道を周回する明るい物体
ロボット式望遠鏡は、高速で夜空を横切るバッグの動きを捉えるために素早く移動して追跡を行った。公開された画像では、周囲の星の光の筋に囲まれるようにして、バッグがポツンと明るく光っている。このバッグは国際宇宙ステーションと同様のスピードである時速約2万8000キロメートルで地球の軌道上を周回しており、現在の軌道であれば国際宇宙ステーションや搭乗中の宇宙飛行士に衝突する危険性はないとされている。
肉眼の限界に近い等級と今後の軌道上の行方
EarthSkyのデータによると、この漂流中のバッグは6等級にカテゴリーされており、人間の裸眼で見える限界をわずかに下回る明るさとなっている。そのため、肉眼で見つけることは難しいが、双眼鏡などを使用すれば確認することが可能である。宇宙ゴミの散逸を防ぐための技術である「Detumbler」などの議論もあるなか、このバッグはおおむね数カ月間は軌道上に留まり続ける見込みだ。その後は地球の大気圏に突入し、高度を失って分解すると予測されている。