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2024-03-28 02:05:00
基調講演に登壇したアドビのShantanu Narayen(シャンタヌ ナラヤン)会長兼CEO。話した内容の多くはAIに関する話題だ。
撮影:小林優多郎
アドビがアメリカ・ラスベガスで顧客体験管理ツール群の年次イベント「アドビサミット2024」を3月26日〜27日(現地時間)に開催している。
顧客体験管理ツール群「Experience Cloud」の新機能が主な発表だが、近年のAIトレンドを反映して、Summit 2024の中心もやはり「生成AI」関連の発表や企業登壇が話題の中心だ。
26日の基調講演では、アドビの新発表、生成AI技術「Adobe Firefly」を使った各社の実績をもとに「生成AIなくして成り立たない未来」をアドビ経営トップらが熱っぽく語った。
1周年を迎えるFireflyは65億超回の画像生成を実行

1周年を迎えたAdobe Firefly。累計の生成回数は65億を超えた。
撮影:小林優多郎
アドビの画像生成AI「Firefly」が登場したのは2023年3月21日、Summit 2023初日のこと。ちょうど1年前の話だ。
当初、Fireflyは「テキストから生成(Text to Image)」「テキスト効果(Text effects)」といった機能をWebアプリで実行するにとどまっていた(さらに発表当初は英語のみの対応)。
しかし、この1年間でFireflyの対応言語の拡大や、フォトショップやイラストレーターなどのアドビの主要なクリエイティブアプリへの機能統合が大きく進んだ。
26日の基調講演では、全世界でFireflyの生成した回数はこの1年で65億を超えたことがわかった。
また、Web版Firefly向けの新機能「構成参照(Structure Reference)」も26日に発表し、即日無料で利用可能になった。
構成参照は、テキストから生成機能を使う際に、プロンプト(命令文)の指示に加えて、任意の画像の構図を参考にして画像を生成する機能だ。

左を向いた男性の写真を「構成参照」して出力した例。
撮影:小林優多郎

手書きの絵とプロンプト(コテージが描かれた月、コテージから流れる滝)を組み合わせて出力した例。
撮影:小林優多郎
これまでも、「スタイル参照(Style Reference)」という形で同じくプロンプトと、参考画像の色合いや質感などの雰囲気を寄せる機能はあった。
プロンプトの入力にスタイル参照と構成参照機能を組み合わせることで、ユーザーはより自分のイメージに近い画像を生成できるようになる。
基調講演のデモでは、横向きの男性の写真をアップし、同じような横を向いた男性の画像が複数生成される様子や、ボールペンで描いたようなラフの写真からFireflyが認識した同じ構図や構成要素の画像が生成できるようになる様子が披露された。
IBMやファイザーが生成AIを使った「生産性向上の成果」

IBMがFireflyを使って実施したキャンペーンの結果。
撮影:小林優多郎
構成参照のような新機能は、いわゆる個人や比較的小さい規模の企業のクリエイティブ作業に役立つものだ。
では、ブランドを世界展開するような大企業の場合はどのように活用できるのか。
この1年間でFireflyを活用した企業として、基調講演で例に挙がったIBM、ファイザーなどだ。いずれもExperience CloudやFireflyを活用している

アドビのデジタルメディア事業部門代表のDavid Wadhwani(デイビッド ワドワーニ)氏。
撮影:小林優多郎
Fireflyを使用したIBMのプロジェクトでは、それ以前のものと比べて生産性が10倍上がり、60%早く市場にキャンペーンを展開でき、エンゲージメントも26倍に跳ね上がっている —— アドビのデジタルメディア事業部門代表のDavid Wadhwani(デイビッド ワドワーニ)氏は、基調講演でこう言及した。
また、アドビのパートナーとして製薬企業のファイザーのChief Digital&Technology Officer兼Executive Vice Presidentを務めるLidia Fonseca(リディア フォネシカ)氏も基調講演に登壇。

Fireflyで作成したイラストを示すファイザーのLidia Fonseca(リディア フォネシカ)氏。
撮影:小林優多郎
フォネシカ氏は、同社のワクチンや治療薬を展開するために必要な、患者や医者など向けの広告や教材に使う8000種類のイラストレーションを「たった4日で作れた」と語った。
「タイムリーに顧客、患者、医師に情報を提供することが大事」だとも言う。
IBMとファイザーの例からわかるのは、世界各国のユーザーの嗜好や行動に合わせて迅速なマーケティング活動をする必要のあるグローバル企業にとって、生成AIは成果を出すための相棒として機能し始めているということだろう。
Fireflyを企業内で再学習させさらに効率化

アドビ初の「生成AIファーストのマーケティングソリューション」だという「GenStudio」の画面。マーケターがこれまでのキャンペーン結果の情報を参照しながら、新しいクリエイティブを制作できるようになっている。
撮影:小林優多郎
なおSummit 2024の中で、会場からの最も熱い視線を集めたFirefly関連のデモは、コカ・コーラのロゴや3D素材を使った仮想的なキャンペーン「Coca-Cola Dreamworld」だった。
Coca-Cola Dreamworldはコカ・コーラの飲料商品をZ世代向けに訴求する、と設定されたキャンペーン。デモではSummit 2024でお披露目されたマーケター向けクリエイティブ統合環境の「GenStudio」と、Fireflyの企業向け新機能「Custom Models(カスタムモデル)」を使用していた。

デモでは、デモ用のコカ・コーラのキャンペーンを学習させたCustom Modelsを使って画像を生成していた。
撮影:小林優多郎
デモでは、コカ・コーラのアセットを使ってFireflyを再トレーニングした「Custom Models」をGenStudioから呼び出し、新しいキャンペーン用のビジュアルを作成。
その後制作した素材に、クラウド上にある別の3D素材をGenStudio上で合成したり、Facebook広告用のテンプレート以外に、InstagramやPinterestなどのテンプレートを指定して、複数の広告をほぼ自動で作る様子が披露された。

さまざまな媒体向けの画像やテキストを一気に作成できた。
撮影:小林優多郎
ちなみに、別のデモだったが、Fireflyで作成した多数の素材は、2023年4月から静止画やドキュメントファイルなどに対応したコラボレーションアプリ「Frame.io」に送られ、「承認者役」の手元のiPadで承認やコメントを残すという確認フローも披露していた。

「Frame.io」にFireflyが生成した画像や、それらを自動化ツールを通して決まったPhtoshopデータのテンプレートを適用して保存している様子は非常に圧巻だった。
撮影:小林優多郎
26日の基調講演の中で、アドビのデジタルエクスペリエンス事業部門のトップであるAnil Chakravarthy(アニール チャクラヴァーシー)氏は「重要なのは生成AI時代に乗ること」だする。
アドビはFireflyだけではなく、26日から招待制ベータ版の提供を始めたExperience Cloud向けの対話型生成AI機能「Adobe Exprience Platform AI Assistant」を含めて、今後も生成AI関連機能の開発と提供を進めていく方針だ。
(取材協力・アドビ)
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