2026年6月にリリースされたAndroid 17により、Bluetoothオーディオコーデック「LHDC」の最新版であるLHDC V5がOSレベルで標準サポートされた。これまで一部の中国系メーカー製スマートフォンに限られていた同コーデックが多くの端末で利用可能になり、主要なオーディオ規格として広く普及する環境が整いつつある。
OSレベルでのネイティブ統合と利用ハードルの低下
台湾のSavitechが開発したLHDCは、低い遅延と高音質を特徴とするBluetoothオーディオコーデックだ。ソニーのLDACやQualcommのaptX Adaptiveと同様に、SBCやAACを上回る高いビットレートでの音声伝送を可能としている。日本オーディオ協会のHi-Res Audio Wireless認定も取得しており、Android 17へのネイティブ統合によって利用のハードルが大きく下がった。
PixelやGalaxyへの拡大とOS標準対応までの道のり
AndroidとLHDCの関わり自体は新しくない。Android 10の時点でAOSPに識別用の定数が含まれていたが、実際のエンコーダーはスマートフォンメーカーが個別に組み込む必要があった。そのため、XiaomiやOPPO、vivoといった一部メーカーの端末に限られ、GoogleのPixelやSamsungのGalaxyでは利用できなかった。Android 17の登場により、アップデート可能なすべての端末でメーカーを問わずLHDC V5が使えるようになっている。
LHDC V5を構成する4つのグレードとビットレート仕様
SavitechはLHDCを用途別に4つのグレードで展開している。CD品質のLHDC-48Kは約400kbps、ハイレゾ品質のLHDC-96KとLHDC-192Kは約1,000kbpsのビットレートを備えている。さらに最上位として、24bit/96kHzのビットパーフェクト伝送を謳うLHDC-RAWが用意されており、約4,600kbpsの帯域をどのように実現しているのかが注目されている。
ハイレゾ対応と非可逆圧縮の技術的な境界線
24bit/192kHz対応という表記について、ステレオのPCMデータをそのまま送信しているわけではない。元のデータ量は約9.2Mbpsに達するため、約1Mbpsで送るLHDC-192Kは約9分の1に圧縮された非可逆圧縮での伝送となる。これはLDACのハイレゾ伝送とも共通しており、ハイレゾ対応と完全なロスレス伝送は区別して捉える必要がある。
多様な端末での選択肢拡大がもたらすワイヤレス音声の進化
OSレベルでのネイティブサポート獲得により、LHDCは一部の限定的な環境から脱却し、多様なAndroid端末で選択できる標準的な高音質コーデックとなった。今後は対応イヤフォンの選択肢増加とともに、ワイヤレスリスニングの音質水準を大きく引き上げる要因になるとみられている。