9月24日未明、韓国・京畿道盆唐(プンダン)の町中華「習近平」に中国人男性4人が侵入し、店内の破壊や食材への農薬散布を行った。4人は犯行後すぐに出国しており、韓国警察が捜査を進めている。店名は中国の最高指導者と同じだが、店主は政治的意図を否定している。
盆唐で8年続く町中華「習近平」が受けた被害
事件の現場となったのは、京畿道盆唐で8年にわたり地元住民に親しまれてきた町中華「習近平」だ。店主がこの店名を付けた理由は、中国の最高指導者である習近平氏にあやかり、「最高の中華料理店になろう」という願いを込めたものだった。この店は中国政府や特定の政治勢力と関わりがあるわけではなく、地域に根ざしたごく普通の飲食店として営業を続けてきた。
秋夕の連休を狙った計画的な犯行
犯行が行われたのは、韓国の大型連休である秋夕(チュソク)の初日、9月24日の未明だった。防犯カメラの映像には、帽子とマスクで顔を隠した男4人が店の裏口を破壊して侵入する様子が記録されている。男たちは約1時間にわたって店内に留まり、ガラスの装飾を割り、椅子を鋭利な物で傷つけ、POS端末を破壊するなど、徹底的に店を荒らした。店内のあちこちに黒いペンキやラッカースプレーを吹き付けるという執拗な手口も確認されている。
冷蔵庫の食材に農薬を散布する異常な実態
被害は店内の設備にとどまらなかった。男たちは冷蔵庫を開け、保管されていた食材に対して農薬とみられる物質を撒布した。金品や食器を盗むといった一般的な窃盗の痕跡はなく、店を物理的に破壊し、営業不能に追い込むことが目的であったとみられる。犯行後、4人はタクシーで宿泊先へ移動し、荷物をまとめて仁川国際空港へ向かった。そして、そのまま中国行きの航空機に搭乗して韓国を離れた。
昨年から続いていた店名への執拗な抗議
この店に対する攻撃は、突発的なものではなかった。店主によると、慶州でAPEC首脳会議が開催される前の昨年7月から8月にかけて、店名変更を求める抗議電話が相次いだ。身元を明かさない人物から30回から40回にわたる電話があり、中には大金を支払うので店名を変えてほしいという申し出もあった。店主は地元住民に愛着のある名前であるとして、これらを拒否し続けていた。
行政機関による通知と繰り返される看板への攻撃
今年4月には、韓国の知的財産処から「中国の国家主席の名前を掲げて不当な利益を得ている」という通報があったとの通知が店に届いた。さらに7月には、何者かが店の看板に黒いペンキを吹き付けて逃走する事件も発生している。店名は地元で長年定着していたが、こうした圧力や嫌がらせが昨年から継続的に行われていた。なぜ、これほどまでに店名に対して過剰な反応が繰り返されたのでしょうか。
犯人の特定と今後の捜査の行方
警察の捜査により、犯行に及んだ4人の容疑者は20代から40代の中国人男性であることが特定されている。犯行当日のうちに出国したため、身柄の確保は困難な状況にある。店主は度重なる嫌がらせや今回の破壊行為に直面しながらも、店名を変える考えはないと伝えられている。国際的な捜査協力や容疑者の特定に向けた動きを含め、今後の事態の推移が注視される。