北朝鮮兵2人はどのような経緯で韓国へ渡ったのか
ウクライナ軍に拘束され捕虜となった北朝鮮兵2人は、ウクライナを侵略するロシアに派遣されていた。2025年1月にウクライナ軍に拘束され捕虜となっていた2人は、韓国行きを希望したことから、ウクライナと韓国の間で対応が協議されていた。韓国紙・東亜日報によると、2人は今年9月に入って韓国に渡り、情報機関である国家情報院の保護下にあるという。北朝鮮では何があろうと死ななければならないと訓練されているとして、ゼレンスキー氏は引き渡しを実行した。
国連演説での突然の公表がもたらした外交的波紋
ゼレンスキー氏は9月23日に行われた国連総会の一般討論演説で、北朝鮮兵を韓国に引き渡したと明らかにした上で、そのような軍隊に戦争の仕掛け方を習得させて良いのかと国際社会に問いかけた。ロシアによるウクライナ侵略が欧州の問題にとどまらず、アジアの問題となっているとの認識を国際社会と共有する狙いがあったとみられる。この一方的な公表により、水面下で進められていた外交的調整は大きく揺さぶられることになった。
韓国政府の不快感とウクライナ側との激しい応酬
韓国の李在明大統領は24日のSNSの投稿で、ウクライナ政府との間で非公開とする合意があったと強く主張した。合意を破ったウクライナ側にどのような事情があるのかは分からないが非常に残念だと不快感をあらわにし、事態の深刻さを浮き彫りにした。その後、ゼレンスキー氏の側近がSNSで合意はなかったと反論したが、28日には韓国外交省が駐韓国ウクライナ大使代理を呼び出し、謝罪を求める事態にまで発展している。
北朝鮮との関係を憂慮する李在明政権のジレンマ
李在明政権はこれまで露朝の軍事協力を非難し、7月にはウクライナへの1億ドル規模の支援を発表するなどウクライナを支援する立場をとってきた。一方で、北朝鮮との対話再開を目指す李政権としては、北朝鮮を刺激したくないとの思惑から捕虜の受け入れを非公開にしたかったとみられる。人道的な観点と、硬化する南北関係の間で、同政権の外交方針は難しい舵取りを迫られている状況にある。
ウクライナ支援と南北関係の狭間で揺らぐ今後の行方
欧州の戦場とアジアの安全保障が直接交錯する今回の捕虜移送問題は、韓国の外交および内政の両面に重い課題を残した。北朝鮮との対話再開を模索しつつウクライナ支援を継続してきた李在明政権にとって、ロシアや北朝鮮との関係管理は一層困難さを増している。ウクライナ側との外交的摩擦が収束に向かうのか、あるいは今後の国際支援の枠組みに影響を及ぼすのか、その動向から目が離せない状況が続いている。