プーチン大統領が北方領土の択捉島を初めて訪問し、日中両大使が新軍国主義を批判した同日、ロシアの強硬な外交姿勢が鮮明になった。ロイターなどの報道によると、ウクライナ支援を続ける日本への牽制や国内の支持拡大が背景にあるとされるが、長期化する戦況の現実からはロシア側の深刻な焦りが浮き彫りになっている。
プーチン大統領の択捉島初訪問とロシアの対日強硬姿勢
今年八月十三日、ロシアが不法占拠する北方領土の一つである択捉島に、プーチン大統領が初めて足を踏み入れた。同日には駐日ロシア大使と中国大使が共同声明を発出し、日本の新軍国主義を批判する動きを見せた。さらに九月四日には、ロシア極東のハバロフスクに旧ソ連の対日戦勝を記念し、菊の御紋がついた国境標識を破壊するモニュメントが建立された。日本政府からの相次ぐ抗議に対し、ロシア側は一切を取り合わず、日露関係悪化の原因はウクライナを支援する日本側にあると主張して抗議を一蹴している。識者の指摘によれば、これらの強硬な言動は、九月後半に控えた下院選挙を前に愛国主義を高揚させて支持基盤を固める狙いがあるという。
ウクライナ前線での消耗とロシア軍の膨らむ人的損害
日露関係の外交的緊張の裏で、ウクライナ戦争の現場ではロシア軍の苦境が続いている。北東部や東部のドンバス地方、南東部にわたる約千二百キロメートルの前線において、ウクライナ軍は各種レーダーやセンサー、AIシステムやドローンを駆使して防衛線を固めている。Wedgeなどの報道によると、今年前半には一日あたり千人から千三百人だったロシア軍の人的損害は、現在は千五百人から千七百人にまで急増している。さらに、ウクライナ軍は中距離ドローンを用いてロシア軍の後方兵站や補給ルートを精密に攻撃し、補給に支障をきたした敵の隙をついて反転攻勢に出ることで、少しずつ失地を回復している。
黒海艦隊の逼塞と航空戦における泥沼化の様相
地上戦のみならず、海上と空域でもロシア軍の劣勢が伝えられている。黒海においては、ウクライナ軍の水上・水中ドローンが猛威をふるい、ロシア黒海艦隊の主要艦艇の五割近くがすでに破壊された。残された艦艇も占領地クリミア半島のセバストポリ軍港から、ロシア領内のノボロシスク港へ避難して身動きが取れなくなっている。一方で航空戦に関しては、ウクライナ軍が長距離ドローンやミサイルでロシア領内の石油精製工場や物流インフラを叩き、一般市民の生活にまで深刻な影響を与えている。政府に近い世論調査会社すら国民の六割以上が停戦を望んでいることを隠せないほど、ロシア国内の厭戦気分は高まっている。
激化するロシア側の報復攻撃と泥沼化する持久戦
防空ミサイルの不足が指摘されるウクライナに対し、ロシア軍は今夏以降も攻撃の手を緩めていない。中国製ジェットエンジンを搭載した新型高速ドローンを大量に投入し、港湾や鉄道、工場、住宅といった市民生活に直結するインフラへの空爆を連日連夜激化させている。ウクライナの同志国が支援を継続する姿勢を崩さない中、航空戦は完全に双方の我慢比べの様相を呈している。ウクライナの抗戦が続く限り、ロシアが示す対外的な強硬姿勢の裏側にある焦燥感は、今後さらに色濃く表面化していくとみられる。