2026年10月に予定されているブラジル大統領選挙は、現職の左派ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ氏と、極右のフラヴィオ・ボルソナロ上院議員による激戦が予想されている。フラヴィオ氏は、1月6日の米連邦議会襲撃事件に触発されたクーデター未遂容疑で27年の禁錮刑を言い渡されたジャイール・ボルソナロ元大統領の息子である。
2026年大統領選に向けた米国の関与と経済的圧力
複数の報道によると、ドナルド・トランプ米大統領とマルコ・ルビオ国務長官は、ルーラ氏に対する経済的・外交的圧力を通じて、ボルソナロ氏を有利にしようと画策しているとされる。具体的には、ブラジルからの輸入品の大部分に対して25%の関税を課す措置や、ブラジルの主要犯罪組織を「外国テロ組織」に指定する動きが見られる。ブラジル当局は、こうした措置がルーラ氏を治安維持に無能に見せかけ、ボルソナロ氏への支持を強めるための意図的な操作であると疑っている。
冷戦期の干渉との類似性と「公然たる介入」への懸念
「人類史上最大の超大国が、我々の選挙で特定の候補者を露骨に支援し、その当選を助けるためにブラジル経済を締め上げている。(中略)これが起きていることを無視し、通常の選挙として扱うことはできない……ブラジル経済は攻撃を受けている。」 セルソ・ロシャ・デ・バロス、政治科学者(The Guardian経由)
外交ビザの拒否と「軍事介入」への警戒感
選挙をめぐる緊張は外交レベルにも波及している。7月、ルーラ氏は、ブラジルの選挙への介入を計画していたとして、2人のトランプ政権当局者の入国ビザ申請を拒否した。ブラジル政府関係者によると、彼らはフラヴィオ・ボルソナロ氏と接触し、ブラジルの電子投票システムの信頼性を揺るがす計画を立てていたとされる。これに対する報復措置として、ブラジル駐在の米国大使のビザが取り消される事態も発生した。
さらに、米国の対ブラジル政策には軍事的介入の兆候を読み取る専門家もいる。ジャーナリストのブライアン・ミア氏は、米政府がブラジルの犯罪組織を「外国テロ組織」に指定したことについて、ルーラ氏が再選された場合に備えた軍事介入の布石である可能性があると分析している。これは、米政府がベネズエラのギャング「トレン・デ・アラグア」を同様に指定し、その後、ニコラス・マドゥロ大統領の拘束作戦を実行したのと同様の文脈で捉えられている。
世論への影響と今後の動向
現時点での世論調査では、ルーラ氏がボルソナロ氏に対してリードを保っているものの、ブラジルの政治情勢は極めて流動的である。2018年の選挙では、ルーラ氏が当時20ポイントのリードを保っていたにもかかわらず、米政府が関与したとされる裁判を通じて投獄され、出馬を阻まれた経緯がある。

ルーラ氏は、米国の干渉について公に懸念を表明しつつも、あくまでブラジルの問題として扱うよう求めている。
「ブラジルの選挙はブラジルの問題であり、アメリカの選挙が彼らの問題であるのと同じだ。(中略)私が望むのは、私が米国に対して抱いているのと同じ敬意を、ブラジルに対しても払ってもらうことだけだ。」 ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ、ブラジル大統領(TeleSur English経由)
米政府とブラジル右派の結びつきは強固であり、フラヴィオ・ボルソナロ氏はワシントンを訪問し、トランプ氏やルビオ国務長官と会談するなど、連携を深めている。今後は、米国による経済制裁がブラジルの有権者の投票行動にどのような影響を与えるか、そしてルーラ政権がこの「外部からの攻撃」に対してどのような防衛措置を講じるかが焦点となる。