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2026-01-24 08:30:00
- ベテラン人質交渉人のミッキー・バーグマン氏は、強い感情に突き動かされて行動する危険性を指摘する。
- 感情に流されて理性を失えば、即座に交渉が決裂するという。
- 自身が直接かかわった交渉ではないが、最も記憶に残る失敗例として、2018年全米オープン決勝でのセリーナ・ウィリアムズのケースをあげる。
非友好国であれ、隣人であれ、交渉を行うときに必ず心掛けておくべきルールがある、とBusiness Insiderのマギー・カイ記者との最近の対談で、ミッキー・バーグマン氏は語る。
バーグマン氏は、17年以上の経験を持つ人質交渉人で、海外で不当に拘束されたアメリカ人の帰国を支援する非営利団体グローバル・リーチ(Global Reach)のCEOだ。
誘拐犯との直接交渉に加え、拘束された人の家族との関係管理や米国政府との交渉も重要な任務である。
「意見が対立する人と対話にのぞむとき、念頭に置いておくべき最も大事なことは、感情知性(エモーショナル・インテリジェンス)の役割だ。感情知性の大事なルールは、怒るなら意図的に怒らなければならないということだ」とバーグマン氏は言う。言い換えれば、感情に流されて理性を失ってはならない。これが、交渉を一瞬で台無しにしてしまうメカニズムなのだ。
感情的ハイジャックはどのようにして起こるのか

怒りのような強い感情が沸き起こるときには、感情の影響が強まるときとそれを合理的に処理するときが交互に訪れる。バーグマン氏は、感情に飲み込まれ、処理できないまま行動してしまう状態を感情的ハイジャックと呼ぶ。
バーグマン氏は、「感情に支配されてしまうと交渉が失敗しかねない最悪の状況に陥る。交渉が決裂する本質的な原因の多くは、感情的ハイジャックだ」と言う。
また、バークマンは多くの交渉の場面で、相手の挑発に乗らないようにしてきた。「反論しなくても失うものは何もない」と言い、原因となった情報を時間をかけて咀嚼してから返答している。

だからといって、交渉中に感情を一切見せてはいけないという意味ではない。「意図的に怒ることもあるが、感情的ハイジャックに駆られて怒ってはいけない」
交渉で怒りを爆発させると裏目に出ることがある
バーグマン氏は、自身の交渉ではないと前置きしつつ、感情的ハイジャックと感情知性が如実に表れたケースとして、2018年全米オープンの大坂なおみ対セリーナ・ウィリアムズの女子シングルス決勝をあげた。
この試合で、主審はセリーナに「コーチング」違反(試合中のコート内外からの指示を禁止するルール)を与えた。
セリーナはこの違反を自分に対する人格軽視ととらえ、感情的ハイジャックから、審判にわめき散らし不正行為だと非難した。審判への攻撃をやめなかったため、暴言に対してもう一つ警告が与えられた。結局セリーナは全米オープンで敗北した。
ちなみにコーチング違反について、バーグマン氏は「セリーナの主張はもっともだったが、(主審への攻撃は)彼女の利益を損なった。これが自分の利益にならない感情的ハイジャックの例だ」と述べた。

試合後の表彰式でセリーナは、バーグマン氏がこれまでに見たことがないほどの大きな感情的で知的なの転換を示した。
2万人の観衆がセリーナを擁護して大坂なおみにブーイングを浴びせた。隣にいる大坂なおみが泣いているのを目にしたセリーナは、マイクが回ってきたとき、ブーイングをやめ、勝利を祝福するよう聴衆に語りかけたのだ。
「決勝に負けた後、自分を応援し相手にブーイングを浴びせた2万人の聴衆に、相手の勝利を祝福するよう呼びかける——これがセリーナ・ウィリアムズだ。セリーナにはとても辛い瞬間だったに違いない」とバーグマン氏は言う。
「私にとって、これこそが行動指針であり、常にこれを念頭において考え、教え、数々の場面で使っている。交渉が決裂するか成功するかは、まさにここでわかれるのだ」
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