1766618509
2025-12-24 23:05:00
アマゾンは2017年にホールフーズを買収したものの、事業拡大と業務統合を思うように進められず、たび重なる組織再編と重点戦略の変更を余儀なくされてきた。
デロイトのレビューはまた、文書作成や表計算といった中核的な生産性ツール群を、クラウド事業で直接競合するマイクロソフトに依存している実態も浮き彫りにした。
Business Insiderは2年前の2023年10月、アマゾンがMicrosoft 365を150万シート(ライセンス数を示す単位)以上購入し、5年総額10億ドル超を支払うことでマイクロソフトと合意したことを報じている。
文書作成や表計算に限らず、アマゾンは業務向けアプリケーション開発に長年苦労してきた経緯があり、直近の例では2025年2月、社内で標準的に利用するビデオ会議ツールを「Zoom」に変更し、自社開発のビデオ/音声通話アプリケーション「Chime」を放棄する判断を下した。
アマゾンの広報担当にコメントを求めたところ、次のような回答があった。
「当社は食料品販売事業を成功裏に拡大し、顧客規模は今や1億5000万人以上に達しています。ここ数年については、業務の簡略化とチーム間のコラボレーション強化に取り組んできました。
具体的には、顧客の役に立つコラボレーションひいてはイノベーションをより容易に実現できるよう、利用するシステムやツールを統一するなど従業員体験に一貫性を持たせ、コーポレート部門で食料品販売事業を担当する複数のチーム間のより緊密な協力を促しています」
解消に取り組むべき六つの課題
デロイトのレビュー担当チームは、ホールフーズ従業員の協力を得て、Microsoft 365の利用に関して現状を点検した上で、今後の改善に向けたロードマップを作成。事業の合理化に向けて解消に取り組むべき六つの「主な課題」を特定した。
1. アマゾン本体とのコラボレーションにおけるツールの分断
ホールフーズの従業員はアマゾン本体との協業時、カウンターパート次第で「Slack」「Teams」など各種アプリケーションを使い分けるのが日常になっており、それが「複雑さと非効率性を増大させ」「生産性と協業」に悪影響を及ぼしている。
2. データ保持及びデータポリシー
ホールフーズでは、Teamsの会議ウィンドウ(のチャットログなど)の一部を除き、メールやドキュメントに関しては正式なデータ保持ポリシーが存在していない。それがコンプライアンスやデータマネジメントを煩雑にし、複数サーバーの管理を困難にしている。
3. セキュリティ成熟度
アマゾン本体とホールフーズの間にある「セキュリティ態勢(総合的な強度や状態)のギャップ」を解消する必要性を感じているチームは少なくない。デバイス登録の厳格化や未認証メールの受信ブロックなど、ホールフーズ事業のセキュリティを強化する複数のポイントをデロイトは指摘している。
4. 二重のID管理
ホールフーズの従業員は現在、ホールフーズとアマゾンの両方のアカウントを保有している。煩雑だが、現状では両者の業務を橋渡しするのに必要。ホールフーズのMicrosoft 365には、ホールフーズのアカウントかゲストユーザーとして登録されたアマゾンのアカウントでないとアクセスできない。
5. 外部アクセス及びコラボレーション
Microsoft 365の(「SharePoint」や「OneDrive」を経由した)外部共有に関して制限的なポリシーが使用されており、ユーザーは外部アクセスに際して都度許可を求める必要がある。そうした制限を回避するため、ホールフーズの少なからぬチームが別の代替的なコラボツールを使用している。
6. サードパーティー製ツールの統合
現在、ホールフーズのサーバーには314種類もの登録済みアプリケーションがホストされており、定期的なアクセスレビューを実施することで、すでに使用されていないアプリを順次廃止している。ホールフーズのドメインを使用してメールを送信するアプリケーションに対するガバナンスが不十分で、それがメールセキュリティの強化の妨げになっているとの声も聞かれた。
デロイトの結論
アマゾン本体とホールフーズの統合を加速する改善策としてデロイトは、ホールフーズのコーポレート部門従業員を先行してアマゾンのバックエンドシステム上に移行させ、その後(店舗運営など)現場従業員の移行を進め、段階的に統合する計画を提案している。
メールとOneDriveに関して、コーポレート部門の従業員を先にアマゾンのMicrosoft 365テナントへと統合し、SharePointやTeamsなど複雑なアプリケーションは、ホールフーズとアマゾン両方のIDを対象にテストや権限の再設定を行うため、段階的に移行を進める。
最終的には全てのワークロードがアマゾン(のMicrosoft 365テナントとして)統一され、ホールフーズは重複するライセンスを削除することでコストを節減し、セキュリティ面でもアマゾンの現行基準に統一できる。
「アプリケーションやサービスは移行を経て、統一されたテナントの下でシームレスに統合され、ホールフーズとアマゾンの従業員間におけるやり取りの合理化を促すことになります。
また、セキュリティプロトコル及びガイドラインがアマゾンのそれに統一されることで、ホールフーズの組織としてのセキュリティ態勢は大幅に強化され、上位の業界水準への準拠が確保されます」
アマゾンがこうしたデロイトの提言を丸ごと採用したかどうかは不明だが、同社が足元で進める従業員統合の動きは、提言の柱である段階的な移行計画を反映したもののように見える。
#独自アマゾン社内で断片化されたMicrosoft #365ツール群が非効率と脆弱性の温床にデロイト調査 #Business #Insider #Japan