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2025-10-07 01:30:00
- アメリカの多くの産業、例えばテクノロジーや金融業界は、長年にわたり世界中から優秀な人材を採用してきた
- しかし、トランプ大統領の2期目の政策によって、外国人労働者が雇用されることはより難しくなった。
- その一方、アメリカ以外の他の国は、この状況を優秀な労働者を自分の国に引き付けるためチャンスだと捉えている。
これまで、世界中の優秀な人材はシリコンバレーやウォール街に集まっていた。
しかし今、その流れは変わりつつある。ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の最近の政策変更によって、行き場を失った優秀な人材を取り込もうと、世界各国の政府が必死に動いているからだ。
トランプ大統領は2期目に入り、大統領権限を使い、より多くのアメリカ市民を企業に雇うよう促している。この取り組みは「アメリカを再び偉大に(Make America Great Again)」というトランプ大統領の政策の柱のひとつとして位置づけられている。
大統領は直近の命令で、アメリカの高度専門職ビザ「H-1B」に新たに10万ドル(約1476万2000円)の手数料を課すと発表した。H-1Bビザは、テクノロジー業界や金融業界の企業が、海外から最も優秀な人材を採用するために長年頼りにしてきた制度だ。
トランプ大統領による移民規制の強化は、より広い範囲で影響を及ぼしており、一部の外国人労働者はアメリカでの就職をためらうようになっている。また、連邦政府による研究資金の削減も、一部の優秀な科学者がアメリカで働くことを再考する要因になっている。
企業が誰を雇うかを見直し、労働者がどこで働きたいかを考え直す中で、アメリカ以外の国々は、自国に優秀な人材を引き寄せようと動き始めている。その中には、AI(人工知能)の開発競争でアメリカと競合している国も含まれている。
カナダ

2025年1月18日、カナダのマーク・カーニー(Mark Carney)首相は記者会見で、これまでアメリカの就労ビザ「H-1B」に頼っていた優秀な人材をカナダに引き寄せる計画を立てていると語った。
「はっきりしているのは、H-1Bビザを取得していた人々を(カナダに)引き寄せるチャンスだということだ。その大きなグループの一つはテクノロジー分野の人材であり、この多くの人材は、今後アメリカでビザを取得できなくなるだろう。これはカナダにとっての大きなチャンスだ」とカーニー首相は述べた。
カナダとアメリカは、トランプ大統領の2期目の間、移民改革、麻薬取引、関税をめぐって時に緊張した関係が続いている。こうした緊張は、最終的にはカナダの経済にとって好影響をもたらす可能性があり、ひいては労働力にとってもプラスになるかもしれない。
フランス

2025年4月、フランスの教育省(Education Ministry)傘下のフランス国立研究機関(French National Research Agency)は、海外の科学者を引き寄せる取り組み、「Choose France for Science(科学のためにフランスを選ぼう)」を発表した。この取り組みは、大学や学校、研究機関に対する政府資金を増やし、外国の優秀な人材を誘致することを目的としている。
この発表は、トランプ政権がアメリカ国立衛生研究所(National Institute of Health)をはじめ、他の研究機関や大学へ拠出する連邦政府資金を大幅に削減する計画を明らかにした後にされた。
その研究資金等の削減の一部は実施されたものの、他のものは裁判所の命令により棄却された。しかし、この混乱はフランス(France)などにとってチャンスだ。アメリカ生まれの科学者とアメリカで働く外国生まれの科学者の両方が、別の国での仕事を探し始めたからだ。
フランス国立研究機関は、「国際的な状況が、世界中の研究者に前例のない移動の波をもたらす条件を作り出す中、フランスは自国の研究エコシステムやインフラを活用し、ヨーロッパで研究を続けたいと考える人々の受け入れ国としての地位を確立することを目指している」と、声明で述べている。
フランスの大統領エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)はその後のリンクトイン(LinkedIn)の投稿で、研究はフランスにとって「優先事項だ」と述べている。
「世界中の研究者たちよ、フランスを選べ、ヨーロッパを選べ!」と彼は書いている。
イギリス

イギリスもまた、この機会を逃すまいと動き始めている。
2025年9月22日、イギリスの首相キーア・スターマー(Keir Starmer)が、世界の優秀な人材向けのビザ手数料を廃止する案を検討していることをフィナンシャル・タイムズ(Financial Times)が初めて報じた。
「(優秀な人材というのは)世界のトップ5の大学に通った人や権威ある賞を受賞したような人々のことだ」と、ある当局者はフィナンシャル・タイムズに語っている。
「ビザの費用をゼロにする案も検討している」
この取り組みは、イギリスの「グローバル・タスクフォース(Global Task Force)」の一環だ。グローバル・タスクフォースは2025年6月に発足したもので、プレスリリースによると、「世界の卓越した人」を引き寄せることを目的としているという。
この取り組み「グローバル・タスクフォース」は、5400万ポンド(約7億9600万円)、すなわち7200万ドル(約10億6200万円)以上のグローバル・タレント基金(Global Talent Fund)によって支えられている。この基金は今後5年間にわたって活用され、優秀な人材の「転居費用や研究費を含む、対象となる費用の100%」をカバーするものとなる。
韓国

2025年4月、韓国が、「Kテックパス(K-Tech Pass)」というプログラムを開始したと韓国最大の英語新聞であるコリア・ヘラルド(The Korea Herald)が報じた。このプログラムは、特に半導体やAI(人工知能)産業向けに、世界の優秀な人材を引き寄せることを目的としているという。
「Kテックパスは、韓国のハイテク企業と雇用契約を結んだ、優れたプロジェクトリーダーレベルの世界的な人材に発行されるものだ」と、テクノロジー人材の誘致に特化した新しい政府機関、韓国グローバル・タレント・センター(Korea’s Global Talent Center)は述べている。「これによって、特別ビザの発行や生活支援などの特典が提供される」
Kテックパスでは、所得税の50%減免を10年間受けられるほか、ビザ保有者の子どもが学校に入学できる権利や、永住権ビザの早期取得の道も提供する。
中国

AI開発競争でアメリカの最大の競争相手である中国も、優秀な人材を引き寄せるために新しいビザを導入する。
中国国務院によると、2025年10月1日、中国は若手の科学技術分野の専門家向けに新しいKビザ(K Visa)を導入するという。
コンサルティング企業のKPMGは、Kビザは、化学、技術、工学、数学(Science、Technology、Engineering、Mathematics:STEM)分野の学士号以上を持つ大学や研究機関の卒業生を引き寄せることを目的としていると述べている。
「この決定は、中国の新しい時代の人材育成計画をさらに進めるとともに、外国の若手の科学技術系の人材が、中国で働きやすくすることを目的としている。また、その専門家同士の国際的な協力や交流も促進するものでもある」と国務院は述べている。
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