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2025-07-20 06:00:00
- 大退職時代には労働者が雇用側に対して強い影響力を持っていたが、その力はすでに薄れている。
- 企業はオフィス復帰を義務付けており、昇進を減らし、採用も控えている。
- ただし、医療関係など一部の需要が高い職種では、労働者の影響力が依然として強い。
企業が再び主導権を握っている。少なくとも現時点ではそうなっている。
労働者は、いわゆる「大退職時代(Great Resignation)」に甘やかされていたが、その反動として、今は主導権を失っている。昇進やスキルアップのチャンス、リモートワークの自由、そして賃金の上昇といったこれまでの恩恵はいずれも勢いを失ってきている。
新しい仕事を勝ち取るのも今の職場で出世していくこともますます難しくなってきている。中小企業向けの給与計算および福利厚生管理プラットフォーム、ガスト(Gusto)の独自のデータによると、昇進、つまり肩書きが上がって、かつ5%以上の昇給をともなうケースの割合は、2022年の半ばには14.5%というピークを迎えたが、現在は約10%にまで落ち込んでいるという。
その一因と考えられるのは、経済の先行きが不透明であることだ。ガストのエコノミスト、アーロン・テラザス(Aaron Terrazas)は、「企業は今、大きな判断、例えば昇進や採用、組織再編のような重要な決定を先送りしており、従業員の多くも現職にとどまる傾向が強まっている」と指摘している。
「人材獲得競争が激しかったあの時期、企業は昇進を従業員を引き留めるための一つインセンティブとして活用していたことは明らかだ。従業員が他社に移らないようにする手段だったのだ」
賃上げと雇用の流動性は悪化
近い将来に大幅な賃上げを期待してはいけない。求人情報サイトのインディード(Indeed)のデータによると、アメリカ国内の求人に掲載された給与の前年同月比の伸び率は、2021年11月の大量離職期に記録した9.5%から、2025年4月には3%にまで鈍化している。
つまり、新しい仕事を見つけるのが難しくなっているため、人々は以前よりも低い賃金でも働くことを受け入れるようになっているのだ。ニューヨーク連邦準備銀行(Federal Reserve Bank of New York)の調査によると、新しい仕事に対して人々が最低限受け入れる賃金の平均は、2024年11月には約8万2000ドル(約1189万円)だったが、2025年3月には約7万4000ドル(約1073万円)にまで下がっている。
そして、一度仕事に就いても、近年ほど速く昇進できなくなっている。ガストのデータによると、中小企業全体での昇進率は、2022年5月から2025年5月にかけて減少している。特にテクノロジー分野が最も大きな影響を受けており、昇進率は17.4%から10%へと落ち込んだ。テラザスは、企業が数年前に行っていた「積極的な人材引き留め戦略」から後退しつつある可能性があると指摘している。
「企業が昇進を使って従業員を引き留める必要性は、以前ほど切迫したものではいない」
交渉力は低下、特にホワイトカラーや小売業で顕著
労働市場に関する調査・研究機関であるインディード・ハイアリング・ラボ(Indeed Hiring Lab)のエコノミスト、コリー・スターレ(Cory Stahle)は、ホワイトカラーの仕事を探している人々、特にソフトウェア開発分野で職を求める人々は、より強い交渉力を持っている医療分野の労働者に比べて、交渉力が弱くなっている」と指摘する。
彼はさらに、小売業でも労働者の力関係が雇う側に傾いていると説明する。インディードのデータによると、小売業の求人は減少し、新型コロナウイルスのパンデミック前の需要を下回っている。関税の不透明さも一因と考えられる。ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の多くの政策は、現在一時停止または撤回されているものの、「すでに被害が出ている可能性がある」とスターレは指摘している。
「関税のルールが頻繁に変わり、他にも経済面で不確実な要素も多いため、企業は少し慎重になっている。『今後の支出がどうなるか分からない』ということだろう」
在宅勤務を希望する人は、過去数年間に比べてこれから仕事を見つけるのがより難しくなるだろう。コロナ禍では多くの企業が在宅勤務を認めていたが、現在はその数が減っているたからだ。インディードのデータによると、ハイブリッド勤務やリモート勤務を条件に含む求人の割合は2022年には10%だったが、2025年5月末は7.5%に減少している。まだ、週に数日だけ従業員に出社を求める企業も残っているが、アマゾン(Amazon)やJPモルガン(JPMorgan)などは毎日オフィスへの出社を求めている。
だが、良い条件を求めて交渉したい労働者のすべての希望が失われたわけではない。スターレは、景気循環の仕組み上、労働者の条件が再び有利になる時期が来ると考えている。そしてその後いつかは再び雇用側が優位になる時期も訪れるだろうという。
「これは本当に、行ったり来たりする綱引きのようなもので、道徳的な力によるものではなく、もっと大きな経済の動きによって左右されるものだ」
スターレは人々がただ待つ必要はないと考えているという。
「もし自分に企業が求めるスキルがあれば、自分の希望を伝えて交渉を試みることはできる」
「交渉のチャンスがあるなら、いつでも試みるべきだ。自分の持っているスキルやこれまでの経験にふさわしい給料や待遇、福利厚生を最初からしっかり受け取れているかを常に確かめるべきだ」
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