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2025-07-19 08:30:00
- 30代でFIREを達成し、世界一周したYOSUKEさんはnoteでFIREに関する発信をしている。
- YOSUKEさんによれば、FIREには「幸福なFIRE」と「不幸なFIRE」があるという。
- 何かから逃げる「逃避のFIRE」をした人は目標がなくなり、毎日がつまらない傾向があるのだ。
FIREには「幸福なFIRE」と「不幸なFIRE」がある——。こう話すのは30代でFIREを達成し、世界一周したYOSUKEさんだ。株式投資と不動産投資の収入をもとに暮らしながら、FIREに関する情報発信を行っているYOSUKEさんに、FIRE達成者のリアルな内情を聞いた。
「30代で世界一周する」という明確な夢があった
——YOSUKEさんご自身はどのようにFIREされたんでしょうか?
元々は家賃1万1000円の学生寮から会社へ通うような貧乏会社員で、常にお金に困っていました。転機は新卒で入った会社の上司が起業したスタートアップに参加して創業メンバーになったことです。その会社が右肩上がりで急成長したんです。私も30代で役員になって、貯蓄は数千万円ありました。ただ、たとえ年収が何千万円あったとしても、もし何か不測の事態が起きたら来月から収入はゼロになる。だんだん収入が会社からの給料しかないということをリスクに感じて、2019年くらいから資産形成を始めました。
まずはリスクの少なそうな債券からスタートして、次に株式投資、その次に不動産投資をしました。最初は自宅を買ったところがスタートだったんですが、不動産価格が右肩上がりで上がることがわかったので、自宅以外にも複数の賃貸用不動産を買いました。
数年前、会社が上場したタイミングでストックオプションを行使しました。それでさらに資産が増えて、株式配当と不動産収入で生きていけるなと思い、2022年末に会社を退職し、2023年に夢だった世界一周に行きました。世界一周から帰ってきてから、自分の経験をもとにnoteを書いていて、2024年に教育コンサルティング事業で起業しました。
——世界一周というのはいつからの夢だったんですか?
高校生の頃から普通の人生は歩みたくないなという思いはあったんです。また、日本の国土って世界全体の約0.25%しかないんです。たった一度きりの人生を、そんな狭い枠の中で終えるのは絶対に嫌だと思っていました。世界一周って、よく夢として挙げる人は多いけど、実際にやった人は少ないですよね。社会人になってわかったんですけど、これってお金があって、仕事が順調な人でも難しいんですよ。上場企業の社長なんて忙しすぎて無理ですよね。でも、60歳とか70歳になってから行っても意味がない。ただの観光にはしたくなかったんです。なので、絶対30代のうちに行こうと決めていました。
実際、世界を周ってみて、いかに自分の視野が狭いかわかりましたし、日本の国力の弱さは肌で感じました。円安の影響も大きく、ニューヨークやヨーロッパでは大して美味しくもないラーメンが1杯3000円で売られている。味もサービスも日本のほうが上なのに負けている。そういう現実って行かないとわからないですね。あとインドの人はみんな目がギラギラして血走っている。なんで今インドがこれだけ伸びているのか、その勢いみたいなものを肌で感じることができました。
また、当時エンゼルスにいた大谷翔平選手が先発する試合を生で観戦したのですが、その相手はなんとドジャースだったんです。今となっては二度と見ることのできない対戦カードとなったわけで、改めて「人生は待ったなし」だなと感じました。
「思ってたのと違う」FIREの実態
——YOSUKEさん自身はFIREを実現し、夢だった世界一周も体験して、充実した日々を過ごしていると思うのですが、昨今ブームになっている巷のFIRE論に違和感を感じているそうですね?
最近のFIREブームは、いかに早く会社を辞めるかということと、どうやって資産を増やすかということだけに終始していて、本質を見失っている気がします。お金に縛られすぎているんですね。FIREできるかどうかと、幸せかどうかは別物なんじゃないかと私は思うんです。
——FIREしたけれども、あまり幸せそうじゃない人を見てこられたんですね。
そうです。FIREできたけど「思ってたのと違う」という人は多いと思います。ビジョンというか、「どうなりたいのか」「どこを目指すのか」「何がしたいのか」がない人ですね。FIREの方法論より、そっちの方が大事だと私は思ってます。
結局、人生って時間ですから。FIREしたら膨大な時間ができますけど、その時間の使い方が大事なんです。いい時間の使い方をしている人もいれば、その逆もいます。
あとはお金があっても病気になったら意味ないですよね。心と身体の健康は人生の土台なんですけど、そこも軽視している人も多い。
最後に人間関係。FIREすると会社や社会との付き合いは減りますけど、やっぱり楽しく生きていくためには人間関係も大事なので、引きこもってしまったら意味がない。あと、いくらお金があっても家族仲や夫婦仲が悪かったら、とても幸せとは言えないですよね。

私の見る限り、この図のようにバッドサイクルに陥っている方が結構多いなと思うんです。
ビジョンなしにお金への執着からスタートすると、いつまでもお金から自由になれないんです。そのうちに「何のためにやっているんだろう」という無力感と退屈さが勝ってきます。なかには鬱になる人もいます。お金を多く持つと、今度はそれを失う恐怖とも戦わないといけないので、意外とメンタルの管理は重要なんです。
お金は貯まったけど1人になってしまって孤独な人もいます。そして、FIREした後も自己顕示欲を満たす為に、 今よりさらに多くのお金を追い求めるという負のループにはまっていきます。
結局、資産構築の部分からスタートすると、こういうバッドサイクルになるんだろうなと思ってます。
一方、グッドサイクルは最初にビジョンを明確にしようということですね。
どんな人生にしたいのか、何がしたいのか。もっと大きな視点で言うと、何のために生まれてきたのかみたいなところから始める。次に全ての土台である心と体の健康を作り上げて、いろんな方と良好な人間関係を作って、その上に資産構築がある。
資産構築の方法はあくまで人によって違うので、あまり人の言うことを鵜呑みにしないほうがいいと思います。保有資産、仕事、年収、家族の状況などに応じて、全員違って然るべきです。そのうえでFIREした後も自分の本当にやりたかったことや社会貢献をする。これこそがグッドサイクルだと思っています。
「お金はあるけど、つまらない」が一生続くリスク
——今FIREを目指す人は金額が目標になっている人が多いですが、「じゃあ貯めてどうするの」という視点があるかどうかですね。
そもそもお金って使うためにあるじゃないですか。貯めること自体が目的化するのは違いますよね。「それを使って何をしたいのか」がないと、虚しいFIREになると思います。
また、私は会社員=悪というふうに考えすぎないほうがいいとも思うんです。それで得るものとか、成長する部分はあるし、いろんな人と関わることができる。そういう良さがごそっとなくなっていいのかということはよく考えたほうがいいです。
私の知り合いで資産100億以上の人がいるんですが、「みんな南の島でゆっくりしたいとか言うけど、あんなところ1週間以上いたら頭がおかしくなるよ」と言っていました。「ずっと海眺めてても、なんも楽しくない。楽しいどころか病んじゃうよ」と。「とにかく人生は暇つぶしなんだから、色々やったほうが楽しいんだ」と言われて。それは非常に説得力がありました。
——お金はあるけどつまらないと。
そうです。日々の成長が感じられないと人間は停滞します。別に不満があるかと言ったらないんだけど、つまらないんですね。しかもその状態が一生続く。お金があるから切羽詰まりもしないんだけど、かと言って日々が生産的かというとそうでもないので。お酒を飲みすぎて健康を害する人もいます。
「Retire Early」してはいけない
——FIREのうちFinancial Indipendenceは大事ですが、日本人はRetire Earlyしたい願望が大きすぎるんでしょうか?
おっしゃるとおりです。日本の会社員で「仕事にやりがいを感じる人」は5%で145カ国中最下位だという米ギャラップ (Gallup) の調査を見たことがあります。みんなイヤイヤ仕事してるってことですよね。「仕事=苦痛」という傾向は日本人に顕著なのかもしれない。だから、ここから抜け出したいという逃避のFIREが流行っているのかもしれません。でも、その先には多分幸せはないような気がします。動機が「あの上司が嫌だ」「会社が嫌だ」「仕事が嫌だ」だと、ちょっと辛いですよね。日々の仕事を楽しむことも非常に大事なことだと思います。
——FIREはあくまで手段であって、FIREした後にやりたいことがあるかどうかが分かれ道だということですね。最後にこれまでの話を踏まえたうえで、それでもFIREしたい人にアドバイスを下さい。
まずは「自分や家族の人生をどうしたいのか」をよく考えることだと思います。間違っても貯める方法から勉強してはいけません。FIRE自体を人生の目標にしないことです。それは目標ではありません。ビジョンを明確にした上で目指すFIREは、その道中も楽しみながら進めると思います。
※本記事は、2024年4月11日に初出した記事の再掲です。
#30代でFIRE達成した日本人が明かす幸福なFIREと不幸なFIREの分かれ道 #Business #Insider #Japan