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2025-04-13 21:45:00
ウィット氏はその瞬間を「地雷を踏んだような感覚だった」と表現する。
フアン氏はAIが雇用を破壊するかどうかについて口を開くことはもちろん、インタビューの継続も、書籍への協力そのものも、一切が嫌になったようだった。
ウィット氏はBusiness Insiderの取材に応じ、「地雷を踏んだ」その日の詳細や、フアン氏が自らとイーロン・マスク氏やサム・アルトマン氏との間に明確な境界線を引いている理由を語った。
本の最終章で、フアン氏はマスク氏の存在に言及し、自身との違いを語っています。あなた(の取材者としての質問)はフアン氏がどんな未来を作ろうとしているのか、その意図を自身の言葉で語ってもらうことだったのでしょう。
しかし、彼はこう返してきたわけです。「あなたがインタビューしている相手は私でなく、イーロン(・マスク)なのでは?」と。フアン氏は一体何を言おうとしたのですか。
ジェンスンが言いたかったのは、イーロンはサイエンスフィクションの人間だということでしょう。イーロンは何をやるにしても、SF的なビジョンや未来のコンセプトがまず先にあって、そこから逆算して実現に必要なテクノロジーへと向かっていきます。
最も具体的な例を挙げると、イーロンは火星の地表に人類を送り込みたいと考えています。これは言ってみればSF的なビジョンですよね。そこから逆算して、ビジョンを実現するために今日何をする必要があるのかを考え、行動しているわけです。
しかし、ジェンスンは全く正反対の人間。ストレートに言えば、彼の唯一の望みは、エヌビディアを会社として存続させることです。だからこそ、彼は今まさに目の前にあるものを徹底的に活用して、最初に考え出した原理やロジックをベースに、より遠くまで歩みを進めようとする。
ジェンスンはSF的なビジョンを持っていないどころか、SFそのものが嫌いです。だからこそ、彼は私を怒鳴りつけたわけです。アーサー・C・クラークの本なんて一冊も読んだことがない、ジェンスンはそう言っていました。
彼はイーロンやサム(・アルトマン)のような起業家たちと中立の立場で付き合っています。言ってみれば、彼らはすでに汎用人工知能(AGI)に到達したバラ色の未来からやってきた人類のようなもので、ジェンスンとしては「彼らが必要とするハードウェアをとにかく用意してみて、成り行きを見てみよう」という態度なのです。
サムが数カ月前のブログ投稿で、AIの進化を五つのステージに区分し、汎用人工知能がもたらす社会や経済への変化について考察しています。非常にそそられる内容です。が、ジェンスンはそういう文章は絶対書かない。断固として拒否しています。
その文脈で言うと、マスク氏も3月下旬の深夜に開催した全社ミーティングで、AIを通じて実現される豊かさについて自説を語っています。
そうです。そして、ジェンスンならそんなことはしないでしょう。彼はその手の未来予測はやらないのです。未来がどんなものになるかについて論理的に思考することはあっても、SF的なビジョンを受け入れることはありません。
彼は非常に複雑な人間で、なぜあの日私を怒鳴りつけたのか、いまだに完全には理解できていないというのが正直なところです。
ジェンスンは人前で話すのも、インタビューを受けるのも、登壇してプレゼンするのも嫌いなのです。口でそう言っているだけではありません。
その割に彼はどこで何を語っても素晴らしい出来なので、到底信じられないかもしれませんが、間違いありません。私が請け合います。ジェンスンは人前に出ると緊張するのです。
エヌビディアの年次開発者会議「GTC」は2025年もサンノゼで開催され、来場者2万5000人、オンライン参加者が30万人という(アメフトNFLの)スーパーボウル的な巨大イベントに成長し、ジェンスンも自ずとそのムードに呼応せざるを得ないわけですが、それは彼にとって本当にストレスなのです。
本の序盤で、ふざけての発言だと思いますが、フアン氏はこの本が出版される前に死にたいと語っています。それを読んで、では、現在62歳のフアン氏の後継者はいるんだろうかとふと考えさせられました。取材の中で後継者育成計画について何か具体的な話はありましたか?
当然、永遠に(CEOを)続けることはできないわけですが、それでも彼は健康そのものです。エネルギーのかたまりみたいなもので、方々飛び回っています。少なくともあと10年はジェンスンが全てを決めるでしょう。
従業員にも尋ねましたが、誰もが後継者育成計画は存在しないと言います。ジェンスン本人も「私に後継者はいない」と答えました。
彼の頭の中にある(経営幹部の)組織図には、彼がいて、その下に直属の部下60人がずらりと並んでいるだけ。本にも書いた通り、ジェンスンには副官なり右腕がいないのです。
(後継者計画の策定を求めるコーポレートガバナンスの原則から)取締役会は彼から直接考えを聞いているはずですが、私にその名を明かすことはありませんでした。
本の中であなたは自身がゲーマーであること、ゲーム中毒が怖くてゲーム断ちしたもののそれまではエヌビディア製グラフィックカードの愛用者だったことを明かしています。その後、10年、15年とエヌビディアの存在はあなたの頭の中から消えていたのですか?
実は、2000年代初めにエヌビディアの株式を買いました(編集部注:同社は1999年に上場)。でも、株価は当初考えたほどの勢いでは伸びず、結局全て売却しました。
(初代最高技術責任者[CTO]を務めた)カーティス・プリエム氏の行動とだいたい重なっていて、彼はエヌビディアを辞めた後、自身の設立した慈善基金に(株式報酬として受け取っていた)保有分の4分の3を投じ、残りも2006年までに3000万ドルで売却していますが、自分も同じように2005年か2006年に全てを手放しました。
それから7年間は、素晴らしいタイミングで売ったと感じていました。直後に株価は下落に転じて、一時下落幅が90%ほどに達した時には「何てこった、あの時売っておいてよかった」と思ったものです。
いずれにせよ、株を手放してから17年はエヌビディアのビジネスにほとんど気を留めたこともなかった自分が、またその存在に目を向けるようになったのは、OpenAIが対話型AI「ChatGPT」をリリースしてからでした。
「え、ちょっと待ってくれ、エヌビディアに何が起きてるんだ?何だってこんなゲーム会社の株価が爆上がりしてるんだ?」。それで調べてみて、エヌビディアがAIを動かすのに必要なインフラを独占していることに気づいたわけです。
「ああ、それならジェンスンをとり上げて、ニューヨーカー(The New Yorker)誌に売り込んでやろう」と思って書いたのが2023年11月の同誌記事です。
正直、そこまで面白い話になるとは期待していませんでしたが、実際に取材してみてジェンスンが非常に面白い人物だったので、衝撃を受けましたね。株価が急上昇していることを知った当初は、新しいCEOが就任して何か面白いことをやっているに違いないと思っていたくらいですから。
いろいろと本当に驚きました。ジェンスンが(株を手放した頃と変わらず)まだ経営者だったこともそうですし、S&P500種株価指数を構成するテクノロジー企業の中で最長の在任期間を誇るCEOになっていたこともそうです。
「まだ交代していないのか?しかも同じことをやり続けている?」、そんな感じの驚きです。ジェンスンが期待以上に自分を惹き付けて放さないはるかに魅力的な個性の持ち主であることを知ったのはその後のことでした。
#エヌビディアCEOが突如ブチ切れ僕はイーロンマスクではないと叫んだ意外な理由 #Business #Insider #Japan
