1735712951
2025-01-01 06:00:00
アラスカ州デナリ国立公園・自然保護区、ライリーで発生した山火事の消火に向かう消防隊員。
Paul Ollig/国立公園局(AP経由)
- 北極は気候危機から急速に変化しており、「ニューノーマル」は存在しないと科学者は警告している。
- 山火事と永久凍土の融解により、ツンドラは吸収するよりも多くの二酸化炭素を放出するようになっている。
- 北極圏ではビーバーが進出したり、巨大な陥没穴が増えたりと劇的に変化しており、それが地球全体にまで影響を及ぼしている。
アラスカからシベリアにかけて、北極圏はあまりにも急激に変化しており、もはや「ノーマル(いつも通り)」と呼べる状態が存在しないと科学者たちは警告している。その影響は地球全体に及ぶ。
北極のツンドラ地帯では、大気から自然に吸収する炭素よりも多くの炭素を放出している。これは、森林火災によって樹木が焼失し、永久凍土の融解によって土壌から強力な温室効果ガスが放出されているためだ。
かつて茶色だった土地が植物で緑に変わりつつある一方、緑だった土地は茶色く不毛になっている。海氷やカリブーの群れは消えつつある。
2024年は、北極圏全体で観測史上最も雨が多い夏となった。ある地域では雪よりも雨の方が多く降るようになっている。しかし、地域によっては降水量や雪の期間において、過去最高と最低の両方を更新しているところもある。
アメリカの国立雪氷データセンター(NSIDC)の科学者であるトウィラ・ムーン(Twila Moon)は、「重要な指標」に関するデータによって、北極が今、新たな局面に入ったことが示されていると2024年12月10日に述べた。つまり、その状況は20年前とは年ごとに大きく異なっているのだという。
「気候変動は『ニューノーマル』をもたらしているわけではない。むしろ、継続的かつ急速な変化を引き起こしている」
その原因は、北極の温暖化が他の地域の約4倍の速さで進んでいることにあると、事前研究によって示されている。
平均気温の上昇は、北極の天候と景観を変化させ、世界的な気候危機を加速させている。
巨大な陥没穴、ビーバーの進出、そして極地の山火事
温暖化に伴い、アラスカのツンドラ地帯に木々が生い茂るようになり、そこにビーバーが進出してきてダムを建設し、水路を変えている。
シベリアでは永久凍土層の融解に伴い、地面に巨大な陥没穴が形成され、その数が急速に増えている。

1999年(左)と2017年(右)の衛星画像は、シベリアにできたバタガイ・クレーターの成長(そして衛星の撮影機能向上)を示している。
NASA Earth Observatory/Jesse Allen/米国地質調査所の Landsat データ
これは極端な例ではあるが、融解と解凍は地球の北極圏全域で進行している。年ごとに気候が激しく変動していることとと相まって、こうした変化は北極の風景、生態系、そして人々の生活に大混乱を引き起こしている。
「このような劇的な変化により、地域社会は計画を立てることが難しくなり、安定した氷や雪、気温に慣れている人々にとって安全面での問題を引き起こしている」とムーンは述べた。

アラスカ州クインハガック、ユピック・エスキモーの村では、永久凍土の融解や、防護壁の役割を果たしていた海氷の消失により、家屋に倒壊の危機が迫っている。
マーク・ラルストン/-/ゲッティイメージズ
ムーンは、アメリカ地球物理学連合(AGU)の秋季大会で、アメリカ海洋大気庁(NOAA)の年次報告書「北極圏報告カード」について発表した。それによると、北極の地形に重大な変化があることが明らかになった。つまり、北極のツンドラでは、針葉樹林帯が大気中の炭素を吸収するものの、もはや炭素の吸収源とは言えなくなり、今や発生源となっている。
「炭素の吸収源から排出源への移行は、世界的に懸念されている」と、ウッドウェル気候研究センターでツンドラを研究している科学者のブレンダン・ロジャーズ(Brendan Rogers)は述べた。
また、ツンドラの炭素排出量は今のところ比較的少ないが、「その移行こそ、我々が懸念していることだ」と付け加えた。
この移行は、極地の大規模な山火事がツンドラの植生とそこに蓄えられていたすべての炭素を焼き尽くしたことが一因となって起きている。加えて、融解した永久凍土に含まれる植物の残骸を、土壌中のバクテリアが分解する際に、二酸化炭素よりも強力な温室効果ガスであるメタンが大量に放出されることも一因となっている。
一方、北極の気温上昇は、グリーンランド氷床をはじめとした氷の融解を促進させており、世界的な海面上昇の主な原因となっている。そのため、沿岸都市ではすでに洪水が増加している。
例えば、ボストンからサンディエゴに至るアメリカの沿岸都市では、1950年以降、十年ごとに洪水の日数が増加していると、アメリカ環境保護庁(EPA)が報告している。
#北極圏のツンドラが炭素の排出源になり気候危機を加速させている #Business #Insider #Japan
