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2024-11-16 11:00:00
撮影:中島日和
育児用品やマタニティ用品、介護用品、保育サービスなどを手掛けるピジョン。
同社は、赤ちゃんにやさしい未来の実現を目指し、中学生を対象に「赤ちゃんを知る授業−赤ちゃんにやさしい未来のために−」(以下、赤ちゃんを知る授業)を提供している。
今回は、私立かえつ有明中学校(東京都江東区)の3年生に向けて行われた「赤ちゃんを知る授業」の様子をレポート。また、ピジョンが育児の“早期教育”を手掛ける背景や狙いに迫る。
赤ちゃんへの興味関心を引き出す
撮影:中島日和
授業は、赤ちゃんに60年以上向き合ってきたピジョンの知見を元に、新生児や乳幼児の知識を学ぶことからスタート。
赤ちゃんだった頃の印象的なエピソードを共有する「赤ちゃんだった頃を振り返ってみよう」、成長過程を学ぶ「赤ちゃんの人形を抱っこしてみよう」、特徴や行動の意味を理解する「赤ちゃんの行動について考えてみよう!」など、生徒との意見交換を交えながら生命の尊さを学んでいった。
「赤ちゃんの人形を抱っこしてみよう」では、0.2mmの受精卵から3000gの新生児まで、月齢別の赤ちゃん人形が登場。生徒の関心が集まった。
撮影:中島日和
その後、赤ちゃん人形(実際の赤ちゃんの月齢にあわせた重さ)の抱っこ体験が始まると、「重い……」「どうすればいいの?」と困惑する姿や、正しい抱っこの仕方を生徒同士で教え合う様子が見られた。
撮影:中島日和
「妊娠さんってこんなに大変なんだ」
授業後半は、2種の体験プログラムとグループワークを実施。
1つ目の体験は「妊婦さんになってみよう」。妊娠8〜9カ月の重さを課したジャケットを着用し、妊婦が日常生活で何に不便を感じるのかを疑似体験する。
撮影:中島日和
体験した生徒は「一番不便だったのは、お腹で下が見えないこと。靴下を履くのも難しそう。(自分の)お母さんもすごく大変だったと思う」と感想を吐露。
2つ目の体験は「ベビーカーを押してみよう」だ。赤ちゃん人形を乗せたベビーカーを恐る恐る押しながら、教室や廊下の狭い通路を通り抜ける。
撮影:中島日和
「荷物や付属品あったらもっと重いはず。ママさんは特に、押すのも持ち上げるのも大変そうだと思いました」と、気づきを語った。
中学生が“今日からできる”育児協力って?
撮影:中島日和
授業の最後には「街で困っている妊婦さんや乳幼児連れの家族に遭遇したら……」をテーマに、グループディスカッションが行われた。
「妊婦さんを電車やコンビニで見かけたとき」「ベビーカーを押している人が階段の前で困っているとき」「ベビーカーを押している人がエレベーターの前で困っているとき」「公共機関や飲食店で赤ちゃんが泣いているとき」の4つのシチュエーションで、どんな手助けができるかを議論した。
「困っていそうだったら声をかける」「見守る」など、積極的に意見する生徒の姿が印象的だった。
「ベビーカーを押している人がエレベーターの前で困っているとき」をテーマに議論した班は「エレベーターに先に乗ってもらい、(降りるときに)“開ボタン”を押します」と提案。他の班からも思いやりのある発表があった。
「自信を持って赤ちゃんと接することができそう」
撮影:中島日和
約50分の「赤ちゃんを知る授業」を終えて、生徒たちの意識にはどんな変化があったのだろうか。
「図書館のボランティアで小さい赤ちゃんと触れ合う機会があります。
どうしていいか分からなかったけれど、何かできることはありますか?と声をかけるだけでもママさんの助けになると知りました。
これからは自信を持って赤ちゃんと接することができそうです」(女子生徒)
この授業は家庭科の一環で行われた。先生は生徒の様子をどのように受け止めたのか。
「生徒たちは親御さんや教師など近しい人から教えられるより、第三者から得た知識で理解が深まることも多いんです。
授業で学んだ“協力することの大切さ”は、今日から街で生かせる知識です。立場の違う人の状況を疑似体験したり学ぶことで、社会を見る目が変わるのではないでしょうか」(かえつ有明中学校・家庭科教諭 吉井小鈴先生)
なぜ、ピジョンは「育児の早期教育」に取り組むのか
撮影:中島日和
2021年9月からピジョンが行ってきた「赤ちゃんを知る授業」。
配布教材を活用した授業は全国の約400校で自主的に行われ、約3万2千人の生徒に提供されたという(2024年10月現在)。また、ピジョンの社員が実際に中学校に出向く出張授業は首都圏で実施され、現在までに10校で行われている。
ピジョンはなぜ、このような取り組みを始めたのか。
「当社は存在意義として、『赤ちゃんをいつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にします』を掲げています。
赤ちゃんが尊ばれ、社会全体で協力して子育てができる未来のために、ピジョンには何ができるのか? と社内で課題を出し合いました。できることの第一歩として、赤ちゃんを知る授業がスタートしたのです」
(ピジョン 経営戦略本部 ブランドデザイン部 コーポレートブランディンググループ マネージャー 小野有紀さん)
ピジョン 経営戦略本部 ブランドデザイン部 コーポレートブランディンググループ マネージャーの小野有紀さん。
撮影:中島日和
授業内で体験学習を多く盛り込んだのは、現在の社会背景に起因するとも話す。
「日本では出産育児を取り巻く環境は厳しく、『周囲から育児に対して理解を得られていない』と悩む親御さんが多いようです。
一方、少子化・核家族化でふだんの生活で赤ちゃんと触れ合う機会がない人も多くいます。
赤ちゃんに関心を持てなければ、理解することも難しい。まずは、体験を通じて生徒たちに赤ちゃんのことを身近に感じてほしいという思いがあります」(小野さん)
ピジョンが行った調査では、赤ちゃんと出かける際に不便や苦労を感じた人は85%、周囲からの親切な声掛けなどの配慮が嬉しかったと答えた人は64%という結果となっている。

育児の苦労と周囲の理解の重要性に関する意識調査/調査対象:20~49 歳で乳児(0~3 歳)の子育てに携わっている全国の女性 500 名、男性 500 名 合計 1,000 名/実施期間:2024 年 6 月 26 日~29 日/調査主体:ピジョン(株)/調査方法:Web アンケート形式
育児の早期教育の対象を中学生に定めた理由については、こう語る。
「中学生時期になると、自分もしくは周りの人を通じて、社会全体で子育てを支えていく大切さに気づくことができます。
また、視野が広がり、社会に対するやさしい行動も自分の判断でできるようになってくる。そういう時期にこそ、育児環境や赤ちゃんのことをもっと知ってもらいたいなと思いました」(小野さん)
また、この取り組みは、授業を受けた中学生だけでなくピジョン社員にも良い変化をもたらしているという。
「出張授業の参加者は社内から広く募っていますが、毎回さまざまな部署の人からの参加希望があります。
授業を通じて学生と触れ合い、『妊婦さんや赤ちゃんとの接し方が分かった』『両親に感謝したい』といった声を直接聞くことは、自分たちの事業の意義の再確認にも繋がっているようです」(小野さん)
みんなで育児を考え、支え合う社会へ。やさしい世界への取り組みの輪は広がっている。
(芸術:石上直美、編集:中島日和[Business Insider Japan Brand Studio])
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