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2024-10-13 23:30:00
イスラエル軍による攻撃(2024年10月6日、ベイルート)。
ウグル・ユルディリム/ディア画像(ゲッティイメージズ経由)
- イスラエルはイラン、レバノン、ガザ、イラク、シリアなど、多方面と戦っている。
- イスラエルにはまだどうやってこの戦争を終わらせるのか、長期的なビジョンが欠けていると専門家はBusiness Insiderに語った。
- イスラエルは専門家の言う「エスカレーションの罠」にはまっているのかもしれない。
10月7日のイスラム組織ハマスによる奇襲攻撃から1年、イスラエルはイラン、レバノン、ガザ、イラク、シリアなど、多方面と戦っている。
ただ、安全保障の専門家によれば、イスラエルはこの地域で軍事的に優位に立っているかもしれないが、中東の紛争を終わらせるための明確かつ長期的な戦略的ビジョンが欠けているという。
10月8日、イスラエルはレバノンでの地上作戦を拡大するため、1個師団を追加投入したと発表した。これでレバノンに展開する兵力は、計4個師団になったとみられている。
また、パレスチナ自治区ガザとレバノンへの空爆も強化していて、イスラム教シーア派組織ヒズボラの幹部やレバノンの首都ベイルート近郊のヒズボラの武器貯蔵施設を攻撃した。
今月初めにイスラエルに向かって弾道ミサイルを発射、大規模攻撃を行ったイランへの報復も検討している。核施設や石油生産施設、軍事基地などが標的になる可能性があるという。
イスラエル軍がここ数週間で一連の戦術的成果を上げたのは明らかだが、まだ明確な軍事戦略を欠いていると安全保障アナリストはBusiness Insiderに語った。
英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)のバーク・オズチェリック(Burcu Ozcelik)中東安全保障上級特別研究員は、イスラエルの軍事作戦が長引けば長引くほど、戦争の終結をどのように想定しているのか、明確にすることが「急務」になると指摘した。
「この多面的な紛争で、全てにおいて戦略的一貫性が欠けている」とオズチェリック氏はBusiness Insiderに話した。
ネタニヤフの目標
イスラエルのネタニヤフ首相は10月7日に公開した動画の中で、ハマスのテロ攻撃から1年が経ち、イスラエルは戦争目標を達成しつつあると語った。
具体的には、ハマスを打倒すること、全ての人質を取り戻すこと、ガザからイスラエルへの脅威を排除すること、イスラエル南部および北部の住民を安全に帰還させることをその目標として挙げた。
ただ、スティムソン・センターのバシール・アッバス(Bashir Abbas)特別研究員は、国の安全保障を追求する上で、イスラエルはまだ道半ばだとBusiness Insiderに語っている。
「ハマスの一掃 —— 武装勢力グループの性質を考えれば、これは事実上不可能だろう —— はさておき、イスラエルはガザにおいてすら、自国の安全保障に関する長期的な戦略を明確にしていない」
非営利組織Council for Arab British Understanding(Caabu)のトップを務めるクリス・ドイル(Chris Doyle)氏も「ハマスを空爆しても、消滅させることはできない」と話している。
イスラエルはハマスの能力を低下させることはできるだろうが、そのあと「イスラエルは700万人のパレスチナ人とどのように共存していくつもりなのだろうか?」とドイル氏は続けた。
「基盤となるもの… 政治的合意と戦略がなければならない。つまり停戦合意だ」
レバノンを拠点とするヒズボラについても同様だという。
「イスラエルは1978年と1982年にレバノンに侵攻し、その結果、ヒズボラが設立された」とドイル氏は語った。
「(イスラエルは)あらゆる種類のミサイルを大量に保有する、いまや国家の内部における国家のような組織と戦っているのだ」
「エスカレーションの罠」
アメリカ陸軍大学戦略研究所の所長アンソニー・ファフ(Anthony Pfaff)氏は8月、イスラエルはいわゆる「エスカレーションの罠」にはまっているのかもしれないと指摘した。
「イスラエルがエスカレートすれば、エスカレート・スパイラルに拍車がかかり、どこかで軍事的なマネジメント能力を超えてしまうかもしれない」とファフ氏は書いている。
しかし、現状維持を選択すれば、安全保障の状況はほとんど改善しない。
「いずれの結果もイスラエルの安全保障上の目標を達成するものではなく、イスラエル軍にとっての敗北を意味し、ネタニヤフ政権の存続を脅かしかねない」とファフ氏は言う。
問題はイスラエルの安全保障ドクトリンが長い間、短期決戦を基本としてきたことだろう。ガーディアンが指摘したように、いま起きているのはその”逆”だ。
イスラエル軍の作戦はいずれも「イスラエルとイスラエルの人々に最終的に大きな能力と平和をもたらす、達成可能な目的を伴った明確な戦略の一環として行われてはいない」とCaabuのドイル氏は話している。
むしろ、イスラエルは「紛争をエスカレートさせているが、明確な出口があるわけではない」という。
紛争が長期化することによって、中東で本格的な戦争が勃発し、インフレを引き起こし、世界的な景気低迷につながる恐れもある。
ムーディーズは9月27日、緊張の高まりや経済の不確実性、本格的な戦争へのエスカレーションの可能性を理由に、イスラエルの格付けを引き下げた。
イスラエルが先月レバノンに侵攻する前、イスラエルの財務相はこの戦争がイスラエル史上「最も長く」「最も費用のかかる」戦いであり、「直接的な」費用は約540億~680億ドル(約8兆400億~10兆1200億円)にのぼると説明していた。
>によると、イスラエル銀行は5月、戦争から生じるコストは2025年末までに総額約660億ドル —— イスラエルの国内総生産(GDP)の約12%相当 —— にのぼると試算した。
アメリカ大統領選の影響
ネタニヤフ首相の和平交渉に対するスタンスは、11月のアメリカ大統領選でどちらが勝つかによって決まるかもしれないとCounter Extremism Projectのシニアアドバイザー、エドモンド・フィットン・ブラウン(Edmund Fitton-Brown)氏は話している。
トランプ前大統領はネタニヤフ首相に「白紙委任状」を与え、全てをやりたいようにやらせるだろうが、ハリス副大統領は「停戦と和平プロセスに対する建設的な態度」を求めるだろうとブラウン氏は続けた。
アメリカ中央情報局(CIA)の元支局長ダニエル・ホフマン(Daniel Hoffman)氏は「わたしたちはこの紛争の終わりというより、圧倒的に始まりに近いと思う」と先週、フォックスビジネスに語っている。
「新しい政権が誕生し、それがわたしたちの戦略にさまざまな影響を与えるだろう」
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