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2024-06-21 02:00:00
2024年6月6日、インテルがAIに関係する開発者向けに開催したイベント「インテル AI Summit Japan”。
同イベントではハードウェア・ソフトウェアが連携することでAIがどのように進化し、生活が変わっていくのかについて、さまざまなセッションが展開されたほか、CPU、GPU、NPUを1チップ上に搭載したAI PCやリモート管理システム「Intel vPro® プラットフォーム」の実機が展示された。
今回はその中のパネルディスカッション「本音で語る、AI PC導入のポイント」についてレポートする。
本講演にはインテル 執行役員 マーケティング本部 本部長・上野晶子氏、インテル インダストリー事業本部 シニア・ソリューション・アーキテクト 坂本尊志氏、ITジャーナリスト 三上洋氏が登壇。モデレーターはTech Insider 編集チーフ 小林優多郎が務めた。
「PCを育てる」時代へ
最初のテーマとなったのは、「AI時代のPCが担うべき役割」だ。インテルでマーケティング本部 本部長を務める上野氏は、「PCが本来の意味での“パーソナルコンピュータ”に戻ってきた」と話す。パーソナル——すなわち“個人”のデータが蓄積されていく端末としてのPCである。

上野晶子(うえの・しょうこ)氏/インテル 執行役員 マーケティング本部 本部長。外資系ホテル、モバイル通信や医療機器メーカーでマーケティングを経験後、2002年にインテルに入社。その後エネルギーマネジメント企業でストラテジック・マーケティング担当を経て2018年にインテルに復帰。自社のマーケティング戦略にとどまらず、エコシステム・パートナーとの共同マーケティングを推進。
「いわば“育成ゲーム”のようなものです。よーいドンで同じPCを買ったとしても、そこにたまっていくデータは個人によって異なり、結果として違うPCに“育てていく”という感覚です」(上野氏)
一方、インテル インダストリー事業本部 シニア・ソリューション・アーキテクトである坂本氏は、AI時代のPCについて「1人のPCマニアとしてもワクワクしている」と話す。

坂本尊志(さかもと・たかし)氏/インテル インダストリー事業本部 ソリューション技術統括部 シニア・ソリューション・アーキテクト。Intel vPro® プラットフォームを担当するほか エンドユーザーに向けてインテルの最新技術を紹介している。
「仕事をする上で出てくる疑問は、いつも決まって曖昧なものです。これまでのPCは、そういった曖昧な疑問を解決することを苦手としていました。
しかし、AI時代のPCは曖昧さに対応し、目に見えにくく、解決に時間がかかるところをきちんとサポートしてくれるのです」(坂本氏)
上野氏と坂本氏の言葉に共通するのは、AIの登場によりPCとの付き合い方が変わるということだ。AIはそれほどまでに時代を変革する可能性を秘めているのである。
では、そんな破壊的イノベーションである生成AIがどれだけ仕事の現場に導入されているのかというと、意外なことにわずか1〜2割、多くても3割といったところ。実際にはまだ多くの企業が導入を躊躇していると三上氏は指摘する。

三上洋(みかみ・よう)氏/ITジャーナリスト。テレビ番組制作会社を経て、1995年からフリーライター・ITジャーナリストとして活動。文教大学情報学部非常勤講師。専門ジャンルは、生成AI、セキュリティ、ネット事件、スマートフォン。
AI導入が進まない大きな理由として三上氏が挙げるのが、「情報流出(生成AIに入力した情報がAIを通じて流出する)」「不正確さ(事実に基づかない情報を生成してしまう)」「詐欺・偽情報(フェイクニュース作成や詐欺に悪用される)」「著作権(生成したコンテンツが他者の著作権を侵害してしまう)」という4つの懸念点だ。

三上氏の資料を元にTech Insider編集部が作成
加えて、特に製造業やサービス業といった業種の現場ではAIへの理解が不足しており、導入が進まない現状があるという。
「“うちはサービス業だからAIなんて関係ないし、使うところもない、AIってホワイトカラーの人たちのものでしょう”みたいに捉えられて、そこで止まってしまうのです」(三上氏)
情報流出についても、入力した内容を学習させないようにする設定項目をオンにするなど、しっかり対応すれば問題はない。
しかし、どうしても企業はリスクを恐れるため、最終的にはシステムによる対応ではなく「重要な情報を入力しない」というルールやガイドラインを決めてしまうのだという。
たしかに、これでは生成AIの力をフルに活用することは難しいだろう。その結果、業務への本格導入に至らなかったり、効果が見えずに導入を中止したりするのも致し方ないことといえる。
クラウドとローカルをどう棲み分けるのか

小林優多郎(こばやし・ゆうたろう)/Tech Insider 編集チーフ。2012年4月より、当時大学生ながら週刊アスキー編集部に所属。ウェブ・雑誌・電子書籍などさまざまな媒体で、スマートフォンやネットワーク、PC、フィンテックなど幅広い分野を取材。2018年1月からBusiness Insider Japanの編集者・記者。2022年よりBusiness Insider Japan動画プロデューサーを兼務。2024年1月より現職。
このような現状をどう変えていけばいいのか。そこで注目したいのが、インテルが2023年に発表した「AIパソコン」である。
「AI PCを使えば、これまでクラウドに上げていた情報を手元のPC内で処理できます。それを可能にしているのが『インテル® Core™ Ultra プロセッサー』です。
このプロセッサーには、CPUやGPUに加えて、NPU(AI専用のプロセッサ)を搭載しています」(上野氏)
もちろん、クラウドにもメリットはあり、エッジ(端末)での処理と使い分けていくのが理想ではある。では、具体的にどのように棲み分けていくべきなのだろうか。
三上氏は「エッジでどこまでやれるのかはまだはっきりしない段階なので(答えるのが)難しいところはあるが」と前置きした上で、次のように続ける。
「現状の生成AIは高度な作業に使われていることは少なく、テレビ会議の議事録を作るとか、概要を作るといったレベルであることが多いです。
それなら、わざわざクラウドを使わなくても、コンパクトなモデルをPCに入れてローカルで処理すればいい。そういった使い方が今後かなり進むのではと思います」(三上氏)
クラウドにはエッジよりも大規模な処理が可能という長所がある。
一方で、エッジには小規模な処理ならクラウドよりもレスポンスが早く、セキュリティ面に不安を持つユーザーが安心できるという長所がある。
重要なのは「選択肢がある」ことであり、それを実現したのがインテルのAI PCというわけだ。
AI PCとIntel vPro® プラットフォームがセキュアなAI導入を可能にする
インテルは、さらに企業PCをリモート管理するプラットフォームとして「Intel vPro® プラットフォーム」を2006年から提供している。AI PCの導入で鍵を握るのがこのvProだ。
坂本氏によると、vProの特徴は4つ。パフォーマンス、セキュリティ、管理性、安定性である。仕事用のPCにおいてパフォーマンスとセキュリティが重要なのは言うまでもないが、注目したいのは「管理性」だ。
実は企業PCで一番問題になるのは、電源がオフになっているとシステム管理者がリモートで管理できなくなることなのだ。
vProはリモートでPCの電源をオンにする機能があるため、仮に電源がオフになっていても管理が可能。企業PCの情報セキュリティ対策の基本中の基本である「OSや重要アプリケーションを常に最新、最良の状態に維持」することができるので、セキュリティ面でも安心できるわけだ。
これら4つの特徴は、vProが生まれた2006年の時点ですでに提唱されていた。現在でもこれらの要素は重要であることを考えると、インテルの先見の明には驚かされるばかりだ。

セキュリティの重要性については、フリーランスで活動する三上氏も痛感しているという。
「フリーランスや自営業、および中小企業の場合、ソフトウェアのセキュリティはしっかり対応したとしても、ハードウェアレベルで守ってもらえないことも多く、やはり不安があります。AI PCにはその部分を期待しています」(三上氏)
三上氏の言葉に上野氏も同意を示す。
AI PCで業務はどう変わるのか
冒頭に三上氏が話したAI導入の懸念点は、いずれも「AI PC」と「Intel vPro® プラットフォーム」により解決されるといってよさそうだ。では、AI PCの導入が進んだとき、どのような未来が実現するのだろうか。
三上氏は、一例としてAI導入を推進する大分県別府市の事例を紹介した。
「別府市では生成AIを導入しており、市民からの問い合わせの概要作成やラベリングによる分類を行っています。それにより業務の進め方が非常に効率化されたそうです。
私はAIを活用して飛躍的にすごいことをやる必要はないと思っていて、別府市のような活用でいいと思うんです。
たとえばテレビ会議の文字起こしや概要の作成、タスクの一覧が会議終了後にすぐできたら便利ですよね。そういった当たり前の利用から始めないと、その先の未来は広がっていかないと思います」(三上氏)
まずは簡単な活用から進めていくという点については、上野氏も同意見だという。
「こんなことしてくれたらいいのにとか、この時間を削減できたらこんなことができるのにとか、そういう自分の気持ちに気づいて、その願いを叶えていこうという発想が大切だと思います。小さいことでもいいので一度使ってみることで、こんなこともできるんだと思えるのではないでしょうか」(上野氏)
一歩踏み出す気持ちさえあれば、AIを活用できる環境はすでに整っている。
「実は、2011年頃から私たちのCPUにはAIを加速させるような機能が搭載されていました。生成AIの登場でAIの話題が表に出てきましたが、ずっと以前からAIは裏側で動いていたのです。
そして今、NPUと呼ばれる新しい仕組みによって、消費電力面での要求が厳しいノートPCでも、ローカルでAIが使えるようになっています。我々としてはAIを使ってもへこたれないPCを作ることで、支援をさせていただきたいと思っています」(坂本氏)

インテル AI Summit Japanの会場ではパネルディスカッションでも話題に出たAI PCが展示され、多くの来場者が集まっていた。
インテルによれば、「インテル® Core™ Ultra プロセッサー」によって、3年前よりもオフィスアプリケーションの生産性が最大47%向上し、ビデオ会議におけるプロセッサー電力消費を前世代より最大36%削減、ビデオ編集におけるAIパフォーマンスが前世代より最大2.2倍向上したという。

会場では、AIを活用してHTMLを解析してフィッシングサイトを検知するシステムも展示されていた。
「Intel vPro® プラットフォーム」によりセキュリティは大幅に強化され、デバイス管理が飛躍的に効率化できる。AI PCとvProを組み合わせることで、企業へのAI導入を安全かつ迅速に進められることだろう。
Intel vPro® プラットフォームについてはこちら
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