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2024-06-07 08:30:00
米国は景気後退に陥っておらず、専門家も近いうちに景気後退が訪れる可能性は低いと考えている。
マイケル・レインズ/ゲッティイメージズ、ジェニー・チャン・ロドリゲス/BI
- ガーディアン紙に掲載されたザ・ハリス・ポールの調査によると、大半のアメリカ人が米国は景気後退にあると回答したが、実はそうではない。
- アメリカ人が景気はさほど良くないと感じている理由の1つは、メディアの取り上げ方かもしれない。
- Business Insiderではデータを検証し、米国経済に実際に何が起きているのか調べてみた。
アメリカ人の多くは、現状を好景気と捉えていない。だが、景気後退期に突入しているのかというと、実際はそうでもなさそうだ。経済指標や、Business Insiderのインタビューに答えた専門家が見ているデータに基づくと、アメリカは景気後退に陥っておらず、また近々そうなる可能性も低いのだ。
ガーディアン(Guardian)に掲載された、米国成人の感情、行動、モチベーションを追跡している市場調査会社ハリス・ポール(Harris poll)の世論調査によると、56%のアメリカ人が、米国は景気後退に陥っていると答えた。さらに、大半の人は経済が失速していると回答している。
だが、米国は2020年初めに2カ月間景気後退に陥って以来、公式には景気後退入りしていない。にもかかわらず、景気がさほどよくないと感じているのは、メディアの取り上げ方と経済トレンドに対する人々の見方が理由だ。
J.P.モルガン・アセットマネジメント(J.P. Morgan Asset Management)のチーフ・グローバルストラテジストであるデビッド・ケリー氏、投資銀行レイモンド・ジェームス(Raymond James)のチーフ・エコノミストであるユージェニオ・アルメン氏、アーンストヤング(EY)のチーフ・エコノミストであるグレゴリー・ダーコ氏は口を揃えて、米国は景気後退ではないとBusiness Insiderに語る。
ケリー氏はBusiness Insiderに書面で回答した。
「アメリカ人が経済に悲観的なのは、メディアが絶えず経済や社会問題をネガティブに報道し、それが否定的なソーシャルメディアによって一段と増幅されているからだ」
「もちろんすべてが順風満帆ではなく、それゆえ人々の見方が沈んでいる可能性はある。コスト上昇による疲れやインフレがもたらす累積的な影響、ほとんど売買がなく手が出ないほど高騰した住宅市場。また、労働市場では転職数が減少し、雇用機会が低下しているとの認識が高まっている。こうしたことを踏まえると、暗黙のうちに経済状態に悲観的になってしまう」とダーコ氏は言う。
「こうした特定の調査で実際に目の当たりにするのは、消費支出動向やインフレ動向、雇用動向に対する人々の見方と、それらを捉えたデータとの乖離だ。経済状態についての基調的な見方を歪める可能性のある、異なる情報源や違うニュースソースが存在するという事実によって、この誤解はさらに深まる」
今の経済状態を詳しく知りたいなら、以下の図表をみてみよう。
米国GDPはいまだ拡大中
ケリー氏は、「国内総生産(GDP)成長率と四半期ごとの予想GDP成長率」を注視すべき最も重要な数字の1つに挙げる。加えて、最近鈍化しているがまだ強い労働市場を示す賃金上昇と、大規模な解雇がまだ行われていないため低水準で推移している週間失業保険申請件数が大事と言う。
たとえ成長率は鈍化していても、米国の実質GDPはひき続き強い。
米国の実質GDP[注:グレー部分は景気後退期を示す]
米国の失業率は低水準にある
失業率は3月の3.8%から4月は3.9%に上昇したが、それでもまだ低水準だ。
「雇用増加の勢いはまだ続いており、失業率は史上最低近辺にある」とダーコ氏は言う。
2007年の世界金融危機のとき、米国の失業率は2007年12月の5.0%から2009年6月に9.5%へと急騰した。世界金融危機の後、労働市場が完全に回復するのに数年かかったが、2020年の新型コロナウイルス感染拡大の時は、短期的とはいえ深刻な景気後退に陥った後、失業率は急低下した。
米国の失業率[注:グレー部分は景気後退期を示す]
CPIデータは、米国のインフレ率が粘着質だが4%以下で落ち着いていることを示している
物価はしつこくまだ高止まりしているが、対前年比で見た消費者物価指数(CPI)の伸び率は2021~2022年の高水準からは低下した。アルメン氏は、物価は比較的低いものの、「2021年以降のインフレ率急騰を受けて、アメリカ人は何を買うべきで何を買うべきではないかを考えるようになっている。アメリカ人にはこうした習慣はこれまでなかった」と言う。
「おそらく、より安い価格を探す負担が、アメリカ人の生活に大きな重しとなっているのだろう。これまでに経験したことがなかったから」とアルマン氏は言う。
米国のインフレ率(CPI)[注:対前年比。グレー部分は景気後退期を示す]
S&P500種株価指数は1年間、総じて上昇している
2024年、S&P500種株価指数は何度も史上最高値を付けている。だが、ガーディアン紙に掲載されたハリスポールの調査によると、回答者の約半数が、S&P500種株価指数は実際には下がっていると考えていた。
S&P500[注:グレー部分は景気後退期を示す]
米国はいま景気後退に陥っていないし、そうなる見込みもない
じきに景気後退に陥ることを心配しているならば、専門家はそう考えていないと知って安心するかもしれない。アルマン氏は、自身が所属するレイモンド・ジェームスでは、景気後退ではなく、経済活動の減速を予測している、と言う。今後12カ月間で見ると、景気後退に陥る可能性は比較的低い、とダーコ氏も言う。ケリー氏曰く、米国は「景気後退とは程遠い」。
「それどころか、インフレ率と失業率の合計である、いわゆる悲惨指数は現在7.3%であり、過去60年間の75%以上の期間よりも良い、つまり悲惨指数は低い」と言う。
ほかにもまだアメリカ人が懸念しているデータやトレンドがある。中古住宅と新築住宅の販売件数が最近低下している。住宅ローン金利は再び7%を割り込んでいるものの、いまだ高い。いくつかの大手企業で解雇が進んでおり、インフレ率はいまなお米連邦準備理事会(FRB)が目標とする2%に戻っていない。それに金利は当面高止まりするように見える。
「今日のような極めて高い金利が長引くほど、何かがはじける可能性は高まり、将来景気後退に直面するかもしれない」とアルマン氏は言う。
つまり、景気後退でないことや、当面景気後退に陥る可能性が低いことは良いことだ。だが、景気後退ではないからと言って、経済が完全な状態にある訳ではない。
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