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2025-05-06 08:30:00
- アリシア・ウォルター氏とネイサン・スターク氏はこれまで全世界の47カ国を訪問した。
- いちばん気に入ったのは、旅行者の多くが見落としている国、アルバニアだった。
- ふたりはアルバニアの文化、美しさ、生活費の安さが気に入り、そこに移り住むことにした。
本エッセイはアリシア・ウォルター氏(28歳)とネイサン・スターク氏(41歳)との会話にもとづいている。夫妻は47カ国を旅行し、2023年にサンディエゴからアルバニアのティラナに移り住んだ。現在、旅行アドバイスを専門とする「ザ・パスポート・カップル(The Passport Couple)」というブログを共同で運営している。
以下、長さとわかりやすさの観点から編集を加えた。
アリシア・ウォルター氏(以下、アリシア):夫と私は中南米の大半の国とアフリカの一部、ヨーロッパの多くの国、さらには東南アジアと東アジアのほとんどの国を旅してきた。
合計で47カ国を訪問してきたが、いちばんのお気に入りは、バルカン半島にあるアルバニアだ。アルバニアは過小評価されている。
本当に美しい国なのに、バルセロナやパリ、あるいはロンドン、ローマ、プラハなどに比べると、観光客ははるかに少なく感じられる。食べ物はほかのどこよりも私たちの好みに合っていて、人々は信じられないくらい温かく、私たちのことを家族のように扱ってくれる。
アルバニアといえども完璧ではない。1990年代に共産主義時代が終わったあと、いまだ発展途上にあり、街のいたるところに今なおバンカーが残っている。2019年には首都ティラナの近くで大地震が発生し、数多くの家屋、集合住宅、企業などが破壊され、現在も復旧工事が続いている。
だが、それがこの国の特徴となっている。ここに戻ってくるたびに、新しい何かが発見できる。
アルバニアには目を見張る自然があり、天候にも恵まれている
アリシア:アルバニアはアドリア海を挟んでイタリアの対岸にあり、ギリシャそしてモンテネグロと国境を接している。
比較的小さな国で、大きさ的にはおそらくポルトガルと同じぐらいだろう。全国を車で観光しても、1週間から2週間程度で踏破できる。
気候は地中海沿岸らしく温暖だ。冬はどこも暖かく、夏は内陸部でかなりの高温になることもある。しかし、沿岸部は夏でも快適に過ごせる。

観光地として最も有名なのはアルバニアン・リヴィエラだろう。イオニア海に沿った長い海岸線で、透き通った青い海が広がっている。テス国立公園もすばらしい。私たちは秋に訪れたが、まるで雑誌の切り抜きのようだった。
アルバニアにはアルバニア・アルプス、コラプ山地、トモル山地などといった山もある。スキー場はないが、雪が積もり、ハイキングにもってこいだ。
とにかく美しい。都市を出て自然に入るたびに、その美しさに圧倒され、以前アルバニアについてほとんど何も知らなかったことに驚いてしまう。

アルバニアには多彩な建築物がある。たとえば、1000の窓の街と呼ばれるベラトはオスマン建築が今も保存されていて、白い石の建物と暗い色のタイル屋根、木枠の窓が印象的だ。そのうちのいくつかは、2000年近く前に建てられた。
対照的に、ティラナではさまざまな建築様式がミックスされている。共産主義時代の建物も、新しくて近代的なビルもあり、緑の空間も多い。
アルバニアでの暮らしはとても安くつく
アリシア:私たちは2023年の2月にティラナに移り住んだ。それまでの3年間をスーツケースだけの旅行生活で過ごしてきた私たちは、ヨーロッパに定住したいと考えていた。
今、新築のアパートメントビルにある約70平方メートルの部屋で暮らしている。ベッドルームとバスルームがそれぞれひとつずつある家具付きのユニットだ。毎月の家賃は450ユーロ(約7万2000円、1ユーロ160円換算:以下同)。インターネット、水道、電気などの公共料金は、月100ユーロ(約1万6000円)ほどだ。
アルバニアの家賃はアメリカ合衆国よりもはるかに安い。2019年に外国へ旅に出る前、私たちはサンディエゴでベッドルームとバスルームがそれぞれひとつの約60平方メートルのアパートメントを借りていた。見つけたなかで最も手ごろだったそこは、街の中心からおよそ1時間も離れた場所にあるにもかかわらず、家賃は1250ドル(約18万7500円、1ドル=150円換算:以下同)だった。
アルバニアでは支払うお金に対して信じられないほどの価値が得られる。

街で外国料理を食べると少し値が張るが、伝統的なアルバニア料理はとても安価だ。5品か6品を分け合い、そこに1リットルのワインや数杯のビールを注文しても、50ドル(約7500円)を超えることはめったにない。
ティラナは公共交通機関も発達していて、手ごろな価格で利用できる。
ネイサン・スターク氏(以下、ネイサン):私はここで、電気自動車のタクシーの多さに驚いた。ここではタクシーがライドシェアの主流になっている。
アリシア:ティラナは最近Googleマップに追加されたので、移動がさらに簡単になった。市内のバスは1回につきたった40セント(約60円)で乗車できる。ほかの街へのシャトルバスもある。私たちも、ドゥラスという港町へ行くのに使った。約10ドル(約1500円)だった。
ティラナではほとんどの場所に歩いて行けるので車はいらない
アリシア:私たちの住む地域は、自転車専用レーンや歩道が整っていて、車がなくても移動しやすい。日々の暮らしに必要なものはすべて歩いて行ける距離で調達できるので、サンディエゴから来た私たちにとっては、本当に便利だ。
通りを少し歩けば食料品店があり、パン屋では1ドルで焼きたてのパンが買える。その横には果物や野菜を売る屋台もある。歩いて25分の距離には、英語の本を売る本屋もある。

アルバニアでは、ナイトライフを楽しむ機会は多くない。とは言え、私たち自身、ナイトライフを重視する人間でもない。
その代わりに、ここの人々は「第三の空間」をとても大切にする。アルバニア人の多くは大家族として多世代住宅で暮らしている。そうした集合住宅内にある緑の空間、たとえば共用の中庭などが、第三の空間として利用されている。そこに、おもに夕暮れ時などに、みんなで集まるのだ。
アルバニア語には「xhiro(ジロ)」という単語も存在する。訳すなら、夕方の社交時間といったところだろう。この時間になると、誰もが外に出てくる。子供たちは遊び、親同士はおしゃべりし、それぞれの情報を交換する。喫茶店に行くことも多い。喫茶店はこの国の文化なのだ。エスプレッソと1杯の水を注文し、リラックスして数時間を過ごす。
アルバニアでの暮らしにも不便はあるが、長所のほうが多い
ネイサン:アルバニアで食費や生活費が節約できていることが、私たちの生活に大きな影響を与えている。
おかげで、旅行も続けられるし、旅行ビジネスへの投資を増やすこともできた。アメリカを去ってここで夢を追おうと決断した理由のひとつは単純で、アメリカでは金銭的に夢を実現できなかったからだ。
もちろん、ここでの暮らしにも不便な点はある。たとえば、必需品を手に入れるために、さまざまな場所に行かなければならない。乾燥食品の店、果物や野菜の市場、パン屋、コーヒーがほしければ別の食料品店、などだ。便利とは言えない。
配達してもらうこともできない。正確な住所というものがなく、あるのはある通りで暮らす人が呼ぶその通りの名前だけなので、確実に荷物を配達してもらうことができない。

それでも、ここで暮らすことには多くの長所がある。
そのうちの重要なひとつが、アルバニアのビザ政策だ。アメリカ人は到着した時点で365日ビザを受け取る。加えて、アルバニアを出てほかのEU諸国を旅すると、そのたびにシェンゲンビザの日数がリセットされる。たとえば、週末を利用して100ドル(約1万5000円)の飛行機でローマに行っても、アルバニアに戻ると、EU内で過ごせる期間がまたゼロに戻るのだ。
アリシア:それに、地元の人々がじつに親切で、ここに定住しようとする私たちを本当にサポートしてくれる。
私たちは、そのうちいつかイタリアで家を買うことを夢みているが、そこにたどり着くまでには、まだたくさんのステップを踏まなければならない。今のところ、アルバニアでの暮らしにとても満足している。
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