魚沼産コシヒカリの収穫と天候の影
秋山和雄さんは約4ヘクタールの田んぼで魚沼産コシヒカリを栽培している。しかし、2026年は稲が育つ8月上旬の雨に泣かされた。結果的には稲刈り時期に雨が降り続き、大変苦労したと秋山さんは振り返る。収量自体は例年に比べて減少したものの、米の質は今のところ一等米と評価されている。それでも秋山さんが深刻な危機感を募らせている理由は、他でもないコメ価格の下落にある。
スーパーの平均価格は3000円割れ
農林水産省によると、全国のスーパーで売られるコメの平均価格は1月から下がり続けている。直近では9月13日までの1週間で5kgあたり2971円となり、ついに3000円台を切った。令和の米騒動で記録的な高値となった2025年から一転して価格が低下しており、消費者にとってはうれしい動きとなっている。しかし、生産現場を預かる農家にとってはまさに危機的状況が到来している。
仮渡し金が25年から大幅に下落
JA魚沼が発表したコメの前払い金である仮渡し金は、魚沼産コシヒカリで2025年より1万1500円下がり、60kgあたり2万1000円となった。JA魚沼ではそこに500円を上乗せし、2万1500円としている。新潟県内の各JAに支払う一般コシヒカリの仮渡し金も2025年の3万円から1万8500円へと大幅に引き下げられた。昨年の値段がようやく採算を取れる金額だったため、秋山さんは今年だと完全に赤字になると嘆いている。
円安と資材高騰がもたらす農家の苦境
昔と違って肥料や農薬を含めてこの間の10年くらいの円安の影響で輸入品が高くなった。秋山さんはそのように指摘し、さらに資材費全般が高騰している現状を明かした。作ったら作っただけ赤字になる構造が固定化しつつある。やりがいを持って臨んでいるものの、もはやコメづくりを続けられない時代へと突入している。
生活の維持が困難になり離農を決意
やめたくてやめているのではなく、やめざるを得ないと秋山さんは自身の思いを吐露する。結局のところ生活が成り立たず、借金を返すこともできない状況に追い込まれている。収穫の喜びを感じるはずの実りの秋を迎えても、コメの価格下落に直面する農家たちは手放しでは喜べない切実な現実を抱えている。
コメ価格下落が問う今後の生産体制
資材価格の高止まりと仮渡し金の大幅な減額という二重の逆風は、産地の基盤そのものを揺るがしている。現場の農家からは離農の危機を訴える悲痛な声が相次いで上がっており、今後の国内におけるコメの安定供給体制がどのように維持されるのか、その先行きには不透明感が漂っている。