大阪府の看護師、田島由佳さん(47)は2008年の長女出産後、少食や偏食に悩む我が子の食事に苦しみ、孤立感を深め、育児のプレッシャーから自分を責め続けた末、市の発達相談窓口での臨床心理士との出会いをきっかけに気持ちを立て直したという。.
看護師として向き合った理想と現実のギャップ
田島由佳さんは看護師として多くの赤ちゃんや家族と向き合ってきた経験があり、2008年に長女を出産した当初は子育てに自信を持っていた。しかし、現実はその期待を大きく裏切るものだった。長女は哺乳瓶を受け付けず、離乳食もなかなか進まない。毎回の食事には常に長い時間がかかり、心身ともに余裕が削られていった。「なんで食べてくれないの、私が悪いのかな」と、いつしか自分自身を責めるようになっていった。周囲に相談しても誰も本当の気持ちを分かってくれていないと感じ、外出の機会も次第に減って孤立感が深まっていった。
終わりの見えない試行錯誤と周囲の言葉への焦り
長女になんとかご飯を食べさせるため、田島さんは自宅でさまざまな工夫を重ねた。複数の食材を混ぜると嫌がるため単品で出し、嫌いな野菜は好きな料理に混ぜ込むといった試行錯誤を続けた。しかし、口にするかどうかは毎回異なり、そのたびに一喜一憂した。食事の時間はいつしか大きな苦痛へと変わり、料理を作ること自体が嫌になってレトルト食品に頼っても、やはり長女は食べてくれなかった。医師や保健師、助産師に相談すると、「そのうち食べるようになるよ」「これを食べさせてみては」と声をかけられた。相手に悪意がないことは分かっていても、言われるたびにげんなりし、誰も自分の気持ちを分かってくれないという思いが募った。
娘の小さな瞳が気づかせた思い込みと第三者の助け
ある日の食卓で、いつものように離乳食のスプーンを口元へ運ぶと、長女は口を閉じ、体をのけぞらせて拒んだ。「今日も拒まれちゃった」とため息をついた時、ふと娘の顔を見ると、心配そうにこちらを見つめていた。その表情は申し訳なさそうにも、悲しそうにも見えた。小さな瞳でじっと見つめる娘の姿に、田島さんは「食べないことだけに目を向け、目の前にいる娘の気持ちを考えていただろうか」とはっとさせられた。思いあまって市の発達相談窓口を訪れ、対応した臨床心理士から娘の特性について指摘を受けた。テレビを見ている時に横から話しかけても返事をしないのではないかといった言葉は、思い当たるものばかりだった。
肩の荷が下りた瞬間と我が子に寄り添う新しい日々
発達相談窓口での対話を通じて、娘を理解してくれる人は自分以外にもいると知り、第三者の力を借りてもいいのだと気づくことができた。「私がこの子のことを一番分かっていなければならない、というわけじゃないんだ」と感じた瞬間、長上の荷が大きく下りた。心に余裕が生まれると、長女への接し方も自然と変わっていった。用意した食事をどう食べるかは娘にゆだね、残しても手で食べても良いとした。どの皿で食べたいのかを尋ねるようになると、長女の笑顔は徐々に増えていった。幼い子の少食や偏食に悩む親は多く、SNSには解決があふれる中で、田島さんは現在、かつての自分と同じように追い詰められた保護者たちを支える活動に取り組んでいる。