警視庁は2025年春、自動運転技術の進展に伴う事故抑止や捜査を専門に行う「自動運転企画室(仮称)」を新設する方針を固めた。レベル4の完全自動運転車両に対応する専門部署の設置は、全国の警察で初めてとなる。
警視庁が自動運転専門部署を全国で初新設
特定条件下での完全自動運転、いわゆる「レベル4」の本格導入が迫る中、警視庁は来年春、交通部交通総務課内に「自動運転企画室(仮称)」を新設する。読売新聞およびYahoo!ニュースの報道によると、運転手がいない車両特有の事故対応や、専門的な捜査ノウハウの蓄積を担う組織となる。自動運転車両に対応する専門部署を都道府県警が設置するのは全国で初めての事例だ。
レベル4無人タクシー運行に向けた体制整備
国内では2023年4月にレベル4が解禁されており、東京都内では2027年中の完全無人タクシー運行を目指す計画が進んでいる。自動運転企画室の設置は、こうした技術の進展に伴い、事業者からの運行計画申請が増加することや、システム起因の事故発生を想定して決定された。同室は、事業者から提出される運行計画のうち、東京都公安委員会が許可を出す案件の可否を実質的に判断し、安全な運行を求めていく役割を担う。

過去の事故教訓と刑事責任の判断基準
専門部署設置の背景には、実際に発生した事故の教訓がある。昨年8月、東京都八王子市で都の事業として実証走行中だったレベル2の自動運転バスが街路樹に衝突し、乗客3人が軽傷を負う事故が発生した。都の発表によれば、原因は車両システムの不具合だった。レベル4の車両で人身事故が起きた場合、運行事業者やメーカーが業務上過失致死傷罪に問われる可能性がある。警察当局は、適切な対策を講じていれば事故を防げたとする「結果回避可能性」などを判断基準に据える方針だ。
全国の警察と連携した捜査支援の枠組み
新設される自動運転企画室は、警視庁内にとどまらず全国的なハブ機能も果たす。他の道府県警の管内で自動運転車両による事故が発生した場合、地元警察からの要請に応じて警察官を派遣し、捜査支援を行う体制を整える。また、全国の警察から出向者を受け入れることで、自動運転システムに関する最新技術の知見を全国で共有する。
- 自動運転企画室(仮称)の主な役割:
- 運行計画の審査と安全確保の指導
- システム起因事故の専門的な捜査および支援
- メーカーや国土交通省と連携した事故防止の啓発活動
- 最新技術に関する知見の蓄積と全国への展開
2028年春の組織拡充を見据えた運用
同室では、自動運転車両のメーカーや国土交通省と連携し、事故防止に向けた啓発にも注力する。運用の状況を見極めながら、2028年春には現在の「室」から「課」への格上げも視野に入れている。レベル4の本格普及を目前に控え、警視庁は専門的な知見を蓄積することで、技術と法執行のギャップを埋める構えだ。今後、急速に進む無人走行環境下で、いかにして安全を担保し、事故の責任所在を明確にできるのか、その運用実態が注目される。