百貨店大手そごう・西武の西武渋谷店が30日に最終営業日を迎え、58年の歴史に幕を下ろす。そごう・西武によると、売上高はピーク時の約4割にまで減少しており、賃貸借契約の合意に至らず閉店を余儀なくされた。かつて小売りの王様と呼ばれた百貨店業界は、地方を中心に構造的な不況から抜け出せていない。
西武渋谷店が58年の歴史に幕を下ろす背景
東京都渋谷区の西武渋谷店は30日に最終営業日を迎える。百貨店の閉店は今年で6店舗目となる。そごう・西武は土地と建物の所有者と交渉を進めてきたが、賃貸借契約で合意できず、A館、B館、パーキング館の閉店を余儀なくされた。雑貨店が入るロフト館とモヴィーダ館は営業を続けるが、西武渋谷店の看板は下ろされる。勤務する社員約230人は配置転換となる。
ピーク時の4割に落ち込んだ渋谷店の売上高
1968年に開業した渋谷店は、故堤清二氏が率いたセゾングループを象徴する拠点だった。気鋭のデザイナーによるDCブランドブームの聖地として、1970年代から1980年代にかけて人気を博した。しかし、周辺の商業施設との競争激化や消費者の嗜好の変化を捉え切れず、営業不振に陥った。土地や建物の権利者との間で長期の契約更新ができず、テナント誘致にも苦労した結果、売上高はピークだった1990年度の約967億円から、2025年度には約400億円へと減少した。
全国で続く百貨店の減少と失われた30年の軌跡
そごう・西武は今後、米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループの傘下で経営再建を進める。日本百貨店協会によると、全国百貨店の売上高はバブル期の1991年に9兆7130億円とピークをつけた後に下落に転じ、2025年には約5兆6754億円に落ち込んだ。店舗数も1999年の311店舗から昨年の176店舗へと減少し、その過程はデフレ経済下の失われた30年に重なっている。東京商工業リサーチの調査では、今年1月から来年8月までに8店舗が閉店する予定で、百貨店の空白県は全国で4県に、1店舗のみの空白予備軍は16県に広がる。
都心部の富裕層消費と地方の構造不況の格差
都市部では、歴史的な円安を背景にインバウンドの免税売上高が増加し、株高による資産効果で富裕層の高額消費も活発で、好調を維持する店舗がある。しかし、地方ではそうした恩恵は乏しく、顧客の高齢化や人口減少、中心市街地の空洞化が進む。経済産業省によると、国内の消費者向け電子商取引の市場規模は2024年に約26.1兆円に達し、ショッピングセンターとの激しい競争にもさらされている。
淘汰が進む業界で問われる今後の生き残り策
UBS証券の風早隆弘シニアアナリストは、百貨店が100店舗に減ったとしても少ないとは思えない時代がやってくるかもしれないと予測しつつ、百貨店ならではのブランド力や接客力を伸ばしていけば選別が進む中でいい百貨店がより稼げる環境になっていくだろうとの見通しを示している。構造不況からの脱却に向け、各社は新たなビジネスモデルの構築を迫られている。