米連邦最高裁判所は2026年10月7日、グアムのタラゲビーチにおける米空軍の不発弾などの開放的爆破処理をめぐり、環境保護団体プリテ・グアハンが起こした訴訟の口頭弁論を開始しました。許可申請の段階での環境アセスメントの義務付けや、訴訟の提起時期を巡る司法判断が注目されています。
タラゲビーチにおける長年の爆破処理と環境上の懸念
グアム北部のアンダーセン空軍基地に隣接するタラゲビーチでは、1982年以来、米空軍が爆弾、手榴弾、催涙ガス、推進薬などの危険な軍需品や古い兵器の廃棄を行ってきました。これらの廃棄物の中には、第二次世界大戦当時のものも含まれています。空軍はこれまで3年ごとに許可を更新してきましたが、2021年に国防総省が新たな許可を申請したことが今回の法的紛争の引き金となりました。
地元の環境保護団体であるプリテ・グアハン(チャモロ語で「グアムを守る」の意味)は、こうした開放的なピット内での爆破処理が破片を海洋や周辺環境に飛散させ、有毒化学物質を土壌に浸透させると警告しています。さらに、この処分場は島民の人口の80パーセント以上に飲料水を供給している主要な帯水層の真上に位置しているほか、古代の先住民族の文化財や、伝統的な漁場、薬用植物の採集地とも隣接しているため、深刻な懸念が持たれています。
プリテ・グアハンによれば、このエリアは同地域で最も古くから人々が居住していた場所の一つであり、紀元前第2ミレニアムに遡る考古学的証拠が存在します。同団体の事務局長であるモナエカ・フローレス氏は、次のように述べています。

「この裁判は、公平性、熟議、そして自決権に関するものであり、重要な決定を下され害が及ぶ前に、空軍が私たちのコミュニティの声に確実に耳を傾けるようにするためのものです。」 モナエカ・フローレス(プリテ・グアハン事務局長)
法的な論点や現地の懸念については、複数の報道機関が詳細を伝えています。Al Jazeeraは、環境団体による訴訟の背景と水資源への脅威について報じており、Moneycontrolは、第二次世界大戦に遡る武器の存在や、アンダーセン空軍基地の一部である同ビーチにおける3年ごとの許可更新の歴史について伝えています。
国家環境政策法と資源保全回収法の法廷闘争
本件の核心は、1976年に制定された「資源保全回収法(RCRA)」と、1969年に制定された「国家環境政策法(NEPA)」という2つの連邦法の間における適用関係にあります。
プリテ・グアハン側は、米空軍が2021年5月にグアム環境保護局へ許可更新を申請した際、環境影響に関する適切な調査や住民からの意見聴取を行わなかったと主張しています。原告側は、連邦機関に対して重大な決定を下す前に環境影響評価の実施とコミュニティの関与を義務付けるNEPAが適用されるべきであると訴えています。
これに対し、トランプ政権時代の弁護士らを含む米空軍側は、危険な廃棄物の保管や処分を規律する別の法律であるRCRAがすでに存在し、その許可プロセスの各段階で環境分析が求められているため、NEPAに基づく別の環境レビューを実施する必要はないと反論しています。空軍側は、さらなる環境審査の層を追加することは、許可プロセスを過度に煩雑で時間のかかるものにすると主張しています。

裁判の最中、ゴサッチ最高裁判事とソパン・ジョシ(訟務長官補)との間で議論が交わされ、ゴサッチ判事は「もし両方を遵守できるのであれば、そこに矛盾はなく、私たちは調和を図り、議会のすべての指令に従うよう努める」との見解を示しました。
裁判所のこれまでの審理では、第9巡回区控訴裁判所の判断が分かれました。2025年2月、第9巡回区控訴裁判所の3名の裁判官による合議体は、マーシャ・S・バーゾン判事およびエリック・D・ネルソン判事らの多数意見により、地裁の決定を覆しプリテ・グアハン側の主張を支持しました。これに不服とした政府側が最高裁へ上訴していました。
裁判の法的構図について、Newsweekはゴサッチ判事と政府側弁護士の法廷でのやり取りを詳報し、Legal Planetは、グアムにおけるRCRA許可制度の運用や歴史について詳しく解説しています。

訴訟の時期と今後の司法判断に向けた構図
もう一つの重大な争点は、訴訟を起こすタイミングが適切であったかどうかという点です。連邦政府側は、グアム環境保護局がまだ正式な許可証を発行しておらず、許可手続きが現在も進行中であるため、今回の提訴は時期尚早であると主張しています。政府側は、こうした段階での訴訟容認が、行政処分が下る前の段階的な訴訟の連鎖を招くおそれがあると懸念を示しています。
口頭弁論のなかで、エイミー・コニー・バレット最高裁判事はジョシ氏に対して、「何年もの作業を台無しにするような訴訟を招くことになる」と懸念を表明しました。また、ケタンジ・ブラウン・ジャクソン判事やエレナ・カガン判事も、許可の内容が最終的にどのように決定されるか不透明であるという「ファイナリティ(最終性)の問題」が存在することを指摘しました。
これに対してプリテ・グアハン側は、空軍が許可申請を行った時点で行政処分としての意思決定がなされており、司法審査の対象となると主張しています。最高裁判所の最終的な裁定は、現在の任期が終了する6月または7月、あるいは来年中に出される見通しです。
Straight Arrowは、プリテ・グアハンが下級審の決定支持を求めていることや、許可申請の行為自体が裁判所による審査の対象になるとの主張を伝えています。