この春、北極圏のノルウェー領スバールバル諸島近海で、ロシア軍の秘密潜水艦部隊が極秘裏に海底ケーブルを無効化する特殊兵器の演習を実施していたことが判明した。英米ノルウェーの同盟国が共同で作戦を展開し、これを阻止したと複数の西側当局者が明らかにした。
北極圏スバールバル諸島沖で捉えられたロシアの海底工作
この暗躍を察知したのは、イギリス、ノルウェー、アメリカによる合同作戦チームであった。西側当局者が明かしたところによると、三国はロシアの船舶を追跡して海上で直接対峙し、その結果、ロシア側は演習を完了できずにその場から撤退したという。イギリスとノルウェーは4月に北極圏でのロシアによる隠密活動の摘発を公表していたが、今回明らかになった新兵器の存在、具体的な作戦海域、そしてアメリカの直接関与については、これまで報じられていなかった。
世界をつなぐ極細の通信網と高まるNATOの警戒感
EXCLUSIVE: NATO allies foil Russian subsea cable sabotage plot
ウクライナ戦線膠着の裏で続く欧州へのサボタージュ工作
ウクライナの戦線が膠着状態に陥るにつれて、モスクワによる欧州諸国への標的型工作は激しさを増していると西側当局者は分析する。ポーランド、リトアニア、ルーマニアなどの各国でも様々な妨害行為や領空・領域の違反が確認されており、直近ではドイツのライプツィヒ・ハレ空港を狙ったドローン攻撃未遂事件が発生した。これを受け、ドイツはボンにあるロシア領事館やベルリンの文化センターを閉鎖するなどの対抗措置を講じている。
「隠密裏の行動は許さない」と各国が送る明確なメッセージ
英ノルウェーの当局者は、海上での対峙と並行してモスクワへ直接調査結果を持ち込み、ロシアの新技術をすでに把握している事実を突きつけた。これは、ロシア側にその使用を思い止まらせる狙いがあったとされる。ロシア側がケーブルの実際の破壊に至ることはなかったものの、紛争発生時の兵器展開をシミュレートするものであった。
トレイ・サンヴィク、ノルウェー国防相
Britain foils secret Russian military plot to disable 'critical
ノルウェーのトレイ・サンヴィク国防相は声明において、同国政府の強い姿勢を示した。私たちはロシア当局に対し、重要インフラを標的にするいかなる試みも検知され、結果を伴うことになると明確に伝えた。ハイノース(極北)の緊張をエスカレートさせることは誰の利益にもならないと述べている。

米国政府の対応と今後の懸念
米国政府は、ロシアの主張する「サボタージュ作戦」の実態についてコメントを控えている。ホワイトハウスはコメントを求められても応じず、中央情報局(CIA)もコメントを拒否している。一方で、米国政府はロシアの「深海研究局(GUGI)」を含む秘密機関への制裁を継続している。
北極圏の戦略的要衝と関係諸国の対応
ロシアの核潜水艦が北極圏を航行する際、バーフェンス(バーギャップ)と呼ばれる400マイルの幅の水域を通過する必要がある。この地域は、ロシアが大西洋へ進出する際の重要な経路である。北極圏の緊張が高まっている現在、スバールバル諸島とノルウェー本土の間の水域が新たな焦点となっている。