米司法省は、ホワイトハウスによる一部報道機関の排除に抗議して主要テレビネットワークが一時的に取材プール制度を中断したことについて、連邦独占禁止法(反トラスト法)に違反している可能性があるとして調査を開始した。ABC、CBS、CNN、NBC、Fox Newsの5大ネットワークを対象としたこの動きは、政権と主要メディアとの間で続く法廷闘争および圧力の新たな局面となっている。
ドナルド・トランプ大統領によるホワイトハウスのアクセス制限をめぐり、主要な報道機関と政権の対立は激しさを増している。先月、政権側がCNN、MS NOW、Politicoの3つの報道機関に対してホワイトハウス敷地内への立ち入りを禁じたことに対し、テレビプレスプールを構成する主要ネットワークは連帯して取材活動を数日間一時停止した。この抗議行動について、連邦司法省は商業競合企業間による集団ボイコットにあたる可能性があるとして、シャーマン法に抵触するかどうかの精査に乗り出した。
シャーマン法と連邦司法省による調査の着手
司法省の発表によると、反トラスト局が主要ネットワークに対して関連する通信記録や資料の提出を求めたことが明らかになっている。司法省の広報担当者であるエミリー・コヴィントン氏は、商業競合企業間における集団ボイコットが連邦法に抵触する可能性があると指摘した。
「反トラスト部門は、これらの報道機関が反トラスト法に違反しているかどうかを判断するために単純に調査を行っている」
写真:Yahoo Emily Covington, Justice Department spokesperson, via Reuters and DW
1890年に制定されたシャーマン法は、市場における不当な取引制限や独占的行為を取り締まるための法律であり、今回、報道機関の抗議行動に対して同法が適用される動きに対し、専門家やメディア関係者の間では、政権によるメディアへの圧力を強める新たな手段ではないかとの懸念が広がっている。司法省は金曜日付で5大ネットワークに対し、ホワイトハウスのテレビプレスプールに関する通信や資料の提出を要求する書簡を送付した。
記者クラブ制度と取材アクセスを巡る攻防
ホワイトハウスのテレビプレスプールは、大統領の動静を記録し、その映像を全国の放送局に共有するという極めて重要な役割を長年担ってきた。費用や労力を各社で分担しながら維持されてきたこの協力体制が、突如として法的闘争の場へと引きずり出された形となる。

ボイコットが実施された期間には、中国の習近平国家主席の公式訪問などが予定されており、主要テレビ局による通常の映像配信が行われない事態が発生した。トランプ大統領は後に、CNNやMS NOWが習主席の訪問を十分にカバーしなかったと不満を述べた一方で、自らがこれらの一部組織を排除したことについては言及しなかった。
その後、連邦地裁のティモシー・ケリー判事は9月24日に一時的差し止め命令を発令し、政権に対してCNN、MS NOW、Politicoのアクセス権を直ちに回復するよう命じた。
メディア団体と法律家による反発と今後の司法判断
この司法省の調査方針に対しては、表現の自由を擁護する複数の団体や法律家から批判的な意見が相次いでいる。全米記者委員会(RCFP)のブルース・ブラウン会長らは、今回の調査が報道機関に対する威圧や報復の手段として利用されていると強く非難した。

「政府は、報道の自由にアクセスしそれを守るニュース機関を威圧するために、反トラスト法を利用すべきではない」
Jose Zamora, Committee to Protect Journalists
また、専門家からは、価格カルテルや顧客の割り当てといった本来の反トラスト法違反の要件に該当しない今回の取材ボイコットに対して捜査を行うことは法的にも異例であるとの指摘がなされている。司法省の動きが今後どのような法的展開を迎えるのか、そして連邦地裁で係争中の取材制限に関する訴訟の行方とともに、メディア業界全体から強い関心が寄せられている。
