アメリカ海軍の原子力空母USSエイブラハム・リンカーンとその空母打撃群が、記録的な長期任務と過酷な中東での作戦行動を終えてサンディエゴの母港へと帰還する。ピート・ヘグセス国防長官は帰還を前に空母を訪れ、乗組員に対して全軍最高峰の表彰を直接授与してその労をねぎらった。
265日間の連続航海がもたらした中東での激闘
2025年11月21日にサンディエゴを出発したリンカーンは、インド太平洋の巡回を想定した通常の展開から一転し、中東地域の緊張の高まりを受けて1月にドナルド・トランプ大統領の指示で同地域へと向かわされた。
2月下旬に米国とイスラエルがイランへの攻撃を開始したことで事態は一変した。リンカーンと同艦の護衛艦群は「オペレーション・エピック・フーリー」を主導し、ホルムズ海峡の海上封鎖の執行などを担った。乗組員は265日間にわたり一度も寄港せず海上にとどまり、過酷な作戦行動を続けたと、ピート・ヘグセス国防長官は述べている。

大統領部隊表彰の授与と数々の戦闘実績
10月7日、サンディエゴへの帰還を目前に控えた空母の飛行甲板上で、ヘグセス国防長官は乗組員や海兵隊員に向けて祝辞を述べた。戦闘における著しい功績に対して贈られる全軍最高峰の表彰である大統領部隊表彰が、リンカーンおよび随伴艦艇に授与された。
「我が国のために命を懸ける、そのようなアメリカ人、そのような男性や女性たちに、全能の神に感謝します」
ピート・ヘグセス国防長官、NTDの報道による
表彰状に記載された内容によると、リンカーンと空母打撃群は3,693回の戦闘任務を遂行し、137万ポンドの弾薬を投した。さらにトマホーク巡航ミサイル450発の発射、自爆型ドローン77機の撃墜、イラン軍艦艇64隻の撃沈、対艦巡航ミサイル21発の破壊などの戦果を挙げたとされる。
ヘグセス長官は帰還を果たす乗組員に向け、「わたしは君たちと自宅の間で立ちふさがる唯一の存在であり、埠頭に到着し次第、われわれは邪魔をしないようにするつもりだ」と語った。
補給の滞りとメンタルヘルスの課題に直面した洋上任務
長期間の洋上任務は、乗組員や艦艇そのものに大きな負担を強いた。イラン側の攻撃によりバーレーンの主要な補給拠点が深刻な被害を受けたことから、食料や衛生用品の不足が表面化した。
当時の海軍代行長官だったハン・カオが民主党の議員にあてた書簡では、戦闘作戦のために補給の機会が制限され、食事の選択肢が一時的に減少したことが認められている。
長期の任務に伴い乗組員のメンタルヘルスへの懸念も浮上し、同乗組員のうち8人の水兵が自殺を図ったことが海軍から国会に報告された。専門家らは、6,000人の水兵を擁する打撃群において10ヶ月間の任務でのその数字は低いとの見解を示している。
一方でヘグセス長官は、リンカーンを機能不全や士気低下の象徴に仕立て上げようとする動きに対し、次のように反論している。
「米国防総省、米海軍、そしてこれらすべての水兵たちの違いは、適応し、回復力を持ち、克服し、それでもなお任務を完遂することにあるのです」
ピート・ヘグセス国防長官、サンディエゴ・ユニオン・トリビューンの報道による
家族との再会と中東地域における今後の展開
長期任務の間、乗組員たちは家族の大きな節目に立ち会えない苦難を味わった。電気技術者のスティーブン・リヴァスは、妻が子供を出産したものの、通信制限のために1週間以上その事実を知ることができなかった。
10月8日、リンカーンはサンディエゴ湾に到着し、家族や全国からのメディアがノースアイランド海軍航空基地のドックで出迎える予定となっている。すでに中東地域では、8月にリンカーンを交代した空母ジョージ・ワシントンなどが展開を続けている。