沖縄県石垣島と台湾を結ぶ日本最南端の国際旅客フェリー「やいま丸」が、就航からわずか4カ月の10月1日に運休した。平均乗船率は約3割にとどまり、貨物輸送も開始できないまま赤字が膨らんだと、jisin.jpや産経ニュースなどが報じた。
就航から4カ月で運休に至った「やいま丸」の実態
石垣港と台湾・基隆港を結ぶ国際旅客フェリーとして5月28日に初就航した「やいま丸」は、10月1日から運航を一時停止した。産経ニュースの報道によると、株式会社商船やいまが運航する同航路の5月から8月までの平均乗船率は約32.3%にとどまった。定員493人の大型船に対し、旅客需要の低迷が響いた形だ。運航期間中の乗船者数は計4782人で、最高は6月21日の296人(60%)、最低は7月29日の33人(6.7%)だったと産経ニュースは伝えている。
膨らむ赤字と進まない貨物輸送の課題
旅客需要の低迷に加え、貨物の取り扱いをまだ一件も開始できていないことがダブルパンチになったと産経ニュースは報じている。市は当初、初年度の旅客収入を約14億7000万円、貨物収入を約6億5000万円と試算していたが、実際の収入は予想を大きく割り込んだ。市の石垣・基隆定期フェリー航路開設準備課は、貨物未開始の理由について「料金設定など、関係者との調整が続いているため」と説明している。中山義隆市長は沖縄八重山日報などの取材に対し、「運航のたびに赤字が出ている状況」と述べた。

不透明な事業スキームと議会での追及
事業の運営構造をめぐっては、いびつな仕組みであると地元メディアや市議会から強い批判が上がっているとjisin.jpが報じている。jisin.jpによると、市が補助金を出資する「商船やいま」は船舶代理店業のみを行い、船の所有権はパナマ法人が持ち、運賃収入は台湾の大手企業ワゴングループに入るという。同誌の取材に対し、大道夏代石垣市議は、外国法人であることを理由に事業の決算を市議会に提出する義務がないとされ、市が収支の詳細を把握できないまま赤字補填の税金が投入されようとしていると指摘している。
商船やいまの設立経過と市の関与
事業をめぐる経緯について、大道市議はjisin.jpの取材に対し、数年前に市が船を30億円で購入して事業を始めると言い出したことが発端だと語っている。船は市が直接購入せず、中山市長の後援会会長が5万円を出資して新たに設立した「商船やいま」が買い付ける方式が取られた。その後、市が1000万円を出資して第三セクター化され、先月には副市長を副社長として送り込むなど、実質的に市の事業のようになっていると大道市議は批判している。
今後の事業再構築と行政の対応
株式会社商船やいまは市が1000万円を出資する第三セクターであり、市と同社は18日に燃料費高騰と貨物取り扱いが本格化していないことを理由に、10月1日からの運航一時停止と「事業全体を再構築する」方針を発表したと産経ニュースが伝えている。10月1日の運休後も台湾での係留費、船員費、燃料代などの維持費は発生し続けており、市側は赤字額を精査中としている。