知財高裁は10月7日、高知県須崎市のマスコットキャラクター「しんじょう君」の著作権をめぐる控訴審判決で、市の訴えを棄却し、市に対して約1887万円の損害賠償を支払うよう命じた。一審の東京地裁判決から賠償額が約1101万円増額された形となり、朝日新聞などの報道で明らかになった。
知財高裁が下した控訴審判決と賠償命令の全貌
高知県須崎市のキャラクター「しんじょう君」と、秋葉原出身の「ちぃたん☆」をめぐる訴訟の控訴審判決が10月7日、知財高裁(森冨義明裁判長)で言い渡された。朝日新聞の報道によると、高裁は一審の東京地裁判決が認めた賠償額を約1100万円増やし、市に対して約1880万円(高知さんさんテレビの報道では1887万円あまり)の支払いを命じた。須崎市はしんじょう君の著作権侵害を主張していたが、裁判所はその訴えを退け、逆にちぃたん☆側の営業損害などを認定する司法判断を下した。
当初の良好な関係から一転した法廷闘争への経緯
しんじょう君は2013年に誕生した須崎市のキャラクターで、2016年のゆるキャラグランプリで優勝した実績を持つ。一方のちぃたん☆は2017年に誕生し、しんじょう君と同じデザイナーが手がけた秋葉原観光推進協会の公認キャラクターである。高知さんさんテレビによると、両者は当初イベントでコラボするなど良好な関係にあったが、ちぃたん☆がSNSに投稿する過激な動画が原因で関係が悪化。須崎市は2019年、モデルとなっていたカワウソの観光大使解任や、無断制作による著作権侵害だとする見解を表明し、着ぐるみの使用禁止などを求めて提訴に踏み切った。
裁判所が認定した「暗に許諾していた」という事実
知財高裁が須崎市の請求を棄却した根拠について、高知さんさんテレビと朝日新聞は具体的な経緯を報じている。ちぃたん☆をキャラクター化する際、市と運営会社の間でやりとりが重ねられ、市側らしんじょう君と似たものになるとの認識があったことが判明した。さらに市は運営会社に対し、特に許可は必要ない旨のメールを送信していたという。朝日新聞の報道によると、市は1年以上も使用中止などを求めなかった点も含め、高裁は市がちぃたん☆の使用を「暗に許諾していた」と認定した。
一審判決から賠償額が大きく増額された理由
ちぃたん☆側の管理会社である「クリーブラッツ」は2021年、うその説明で活動を妨害されたとして約4300万円の損害賠償を求めて提訴していた。東京地裁は2025年に須崎市に対して約786万円の賠償を命じ、市側が控訴していた経緯がある。朝日新聞によると、今回の控訴審では、市が著作権侵害とする見解を表明したことがうその情報で営業上の信用を低下させる「不正競争行為」にあたると判断された。管理会社が失った取引の機会が一審よりも広く認められた結果、賠償額が大幅に引き上げられることとなった。
