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2024-06-05 02:20:00
いつ、どこで、いくらで上場するかなど、シーインの待望の新規株式公開に関する基本的な詳細はまだ不明だ。
シーインが、アメリカでの新規株式公開を秘密裏に申請したとCNBCが11月に報じた。しかし2月、ブルームバーグ(Bloomberg)はシーインの中国での事業に関する透明性についてアメリカの政治家が懸念を示したことを受け、ロンドン、香港、シンガポールのいずれかで上場する可能性があると伝えた。
シーインは、アメリカの議員への対策として本社をアメリカに移転する可能性がある。しかし、アメリカ政府は、同じようなことを行った他の企業を中国企業とみなしていると、とアパレル企業を担当するモーニングスター(Morningstar)のアナリストのデビッド・スワーツ(David Swartz)氏はBusiness Insiderに語った。
昨年、ブルームバーグは、シーインの新規株式公開の時価総額は約900億ドル(約14兆円)と推定されていると報じた。スワーツ氏は、「極めて高い成長」を遂げているこの若い企業に、投資家たちはいつでも押し寄せる準備ができていると話している。
投資家たちは、新規株式公開のプロセスの後半までシーインの事業に関する実際の数字を知ることはできないだろう。しかしこれまでに報告された数字(いずれもシーインが認めた数字ではない)では、評価額は2023年の売上高の3倍となる900億ドルと推定されている。
これはアパレル企業にとってはかなり強気の数字と言えますが、私はルルレモン(Lululemon)が、売上高の6倍で取引されているのを見たことがあります。すなわち、これは可能であることを示しています。
スワーツ氏はそう話している。
なお、ルルレモンの年間売上高は100億ドル(約1兆5500億円)で、これはシーインが報告した売上高の3分の1だ。
シーインはかなりの論争に直面している
これまでシーインは、同社の環境への影響を疑問視する報道に悩まされてきた。
チューリッヒ保険グループ(Zurich Insurance Group)のレポートによると、ファッション業界は温室効果ガス排出量の10%以上を占めているという。また、2022年の調査によると、イギリス人は平均して、ワードローブから年間70点以上の衣類を廃棄している。
シーインは、平均14ドル(約2170円)という商品価格が使い捨て文化を助長していると非難されていることもあり、環境への影響について広く批判されている。そして2022年のガーディアン(Guardian)の記事によると、シーインは1日に最大1万点の新商品を生み出しており、90日以上在庫で保管される商品はわずか6%だという。
「#SheinHauls」の台頭と「ブラケッティング(オンラインショップで、同じ商品を複数の色、サイズで注文すること)」のトレンドにより、顧客が商品を返品する際に何が起こるかについて、監視の目が厳しくなった。そしてファストファッションの返品された商品の多くは、最終的には埋め立て地に送られることになる。
シーインに製品を供給する衣料品工場。
ジェイド・ガオ/ゲッティイメージズ
ニューヨークのスタートアップ企業のクイーン・オブ・ロウ(Queen of Raw)の共同創業者兼CEOのステファニー・ベネデット(Stephanie Benedetto)氏は、シーインと提携して、他社のデッドストック(埋め立て地や焼却処分されるはずだった商品)から材料を調達していると述べている。クイーン・オブ・ロウは、廃棄された商品の供給と需要を割引価格でマッチングさせるソフトウェアプラットフォームだ。
ベネデット氏によれば、デッドストックの材料はシーインの中国現地生産チェーンの近くにあるとのことだ。
サプライチェーンが成長するにつれて拠点を増やすことは可能ですが、私たちは生産工場がある場所と同じぐらい近い場所にいます。
現在シーインは、クイーン・オブ・ロウ経由でデッドストックや返品された商品を販売しておらず、また返品のプロセスも公表していない。
Business Insiderが情報公開請求で入手した文書によると、2022年、シーインは今後4年間にわたり300のパートナー企業全体で環境、持続可能性、ガバナンスの基準を改善するために、1500万ドル(約23億2500万円)を拠出するとしている。また、この取り組みには、2021年にESG(環境・社会・ガバナンス)リーダーを任命することも含まれている。
返品されたシーインの商品がどうなるかを調べるため、イギリスのBusiness Insiderの記者はシーインの衣類に2つのエアタグ(AirTag)を付け、返品した。1つはポリエステル製のジャケットに、もう1つはポリエステル製のカーゴパンツに取り付け、1月末にロンドン郊外から同じパッケージに入れて郵送したのだ。

1つのエアタグはジャケットのポケットの中に貼り付けた。
リディ・カネトカー / Business Insider
記者は、返品された商品のルートを追跡した。

1つのエアタグはジャケットのカーゴパンツのポケットの内側に貼り付けた。
リディ・カネトカー / Business Insider
エアタグの経路によれば、どちらの商品も当初は同様のルートで郵送されていた。商品はカナリーワーフ近くの倉庫に到着し、コベントリー空港外の倉庫に送られ、その後、最初の目的地から200km離れたウォルソールに到着した。
カーゴパンツはその後、北アイルランドの住宅と思われる場所に送付されている。こちらのエアタグが位置情報を最後に更新したのは2024年5月だった。
一方、ジャケットの位置情報が最後に記録されたのはイングランド南部、ケント州にある住宅地と思われる住所だった。最後に更新されたのは2024年2月だ。これらの場所がシーインの返品プロセスの終点なのか、商品が転売されたのか、あるいは廃棄されたのかは不明だ。
2022年にアメリカでシーインの返品された商品を追跡したレスト・オブ・ワールド(Rest of World)の以前の報道では、これらの商品も住宅と思われる住所に送付されていたことが判明した。これらの商品が消費者に再販されたのか、それとも次の行き先に向かう前に、これらの場所に行き着いたのかは不明だ。
2022年、シーインはアメリカでピアツーピアの再販マーケットプレイスを立ち上げ、衣類の「寿命を延ばす」と、持続可能性と影響に関するレポートで述べているが、このレポートはオンラインでは公開されていない。
シーインの不透明なサプライチェーンは、アメリカでの新規株式公開という野望の主な障害になっている。最近の報道によるとアメリカの議員たちは、シーインへの綿の供給源について透明性の向上を強く求めている。アメリカの法律では新疆ウイグル自治区からの輸入は禁止されているのだが、シーインは綿のどれだけがウイグル自治区からやってくるかを明らかにしていないのである。
シーインの持続可能性の証明は、潜在的な投資家や金融規制当局が知りたい情報だ。
「例えば、石油やタバコの企業の株を買うことができない投資マネージャーもいます」とモーニングスターのスワーツ氏は述べている。
これはシーインにとって潜在的な問題であり、シーインの評価に影響を及ぼし、また潜在的な投資家の一部を排除してしまう可能性があります。
スワーツ氏は、すでに起こっているシーインに関する論争がさらに大きな問題となって財務上のリスクをもたらす場合、今後シーインは苦境に陥る可能性があると述べた。
勢いを増している競合他社
シーインが新規株式公開に向けて準備を進める中、投資家たちはシーインと競合するeコマースプラットフォームのティームー(Temu)が勢いを増している点も考慮するだろう。ブルームバーグによると、ダブリンに拠点を置くティームーへの消費者の支出は、2023年6月にはシーインを上回っている。
ティームーのビジネスモデルはシーインとは異なり、中国の生産者と消費者の仲介役として幅広い商品を販売するものだ。シーインはより生産に直接関与し、衣料品に重点を置いているが、ティームーの人気は「シーインの評価額に影響を与える可能性がある」とスワーツ氏は指摘している。
またシーインがアメリカでの新規株式公開を目指す場合、地政学的な緊張も生じる可能性がある。ウォール・ストリート・ジャーナルは1月に、シーインはアメリカ証券取引委員会(SEC)への新規株式公開の申請を秘密裏に行ったにもかかわらず、SECの回答が遅れたと報じた。さらにアメリカ政府の関係者によると、SECは政治的に敏感なこの案件を引き受けることに消極的だったと付け加えている。そして2024年5月、フィナンシャル・タイムズ(The Financial Times)はシーインがバックアッププランとしてロンドン証券取引所への上場を画策していると報じた。
シーインは中国とのつながりをめぐり、アメリカ下院の中国共産党特別委員会から厳しい監視を受けている。シーインの新規株式公開のニュースを受けて11月に発表された声明の中で、マイク・ギャラガー(Mike Gallagher)委員長(当時)は投資家や引受銀行に対し、「シーインの規制およびコンプライアンスプログラムを慎重に調査するよう」求めた。同委員会は現在もシーインを調査中だ。
これらの動きも、シーインを止めることはできないでしょう。しかし、投資銀行や投資家の中には、規制によって何が起こるかわからないという理由で、シーインに手を出さないケースも出てくるかもしれません。そうなれば評価額に影響が出る可能性もあります。(スワーツ氏)
スワーツ氏は、ここ数年、アパレル企業の新規株式公開は少なかったが、注目すべきケースとしてオールバーズ(Allbirds)の名前を挙げ、「大失敗だった」と指摘した。このスニーカー企業の2023年の売上は15%減少し、株価は上場以来97%も下落してしまった。
一方、シーインは、希望する評価額かそれに近い額で上場できれば、「別格の存在になる」とスワーツ氏は述べている。スワーツ氏は、シーインが「極めて急成長している若い企業」であるため、投資家から前例のないほどの大きな期待を受けているとBusiness Insiderに話した。
スワーツ氏は「多くの人が、シーインに多くのお金を出すことでしょう」と述べている、
ナイキ(Nike)やアディダス(Adidas)のような企業とは比較になりません。これらの企業には、シーインと同じような成長の余地があるわけではないからです。
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