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2025-02-28 06:00:00
女性起業家向けのアクセラレータープログラム「MASHING UP アクセラレーター」がいよいよキックオフした。東京都が展開するスタートアップ戦略「TOKYO SUTEAM」の協定事業者に選ばれたのはMASHING UPやBusiness Insider Japanを運営するメディアジーン。勉強会やメンタリング、ブランド認知獲得、資金調達支援といった多角的なサポートを行なうことで、女性の起業を支援する。
2025年2月14日に開催した説明会では、注目の女性起業家2名を招いてトークセッションを行なった。登壇したのは、モデラート代表の市原明日香氏とジョサンシーズ代表の渡邊愛子氏。起業のきっかけからこれまで直面したハードシングスまで語り合った。
(ファシリテーター:Business Insider Japan共同編集長/ブランドディレクター・高阪のぞみ)
ライフステージの変化で直面した働き方の壁

ウィメンズアパレルのD2Cブランドを手がける市原氏と、助産師の多様なキャリアをサポートする渡邊氏。起業のきっかけは共通して、“子育てと仕事の両立の壁”にぶち当たったことだった。
「私には二人の息子がいます。上の子が3歳の時に重い病気にかかり、断続的ではありますが、治療に7年ほどかかりました。大好きだった仕事は、やむをえず退職。快方に向かい出した時に再就職を考えたのですが、このブランクの期間をポジティブに捉えてくれる会社に本当に出会えなかったんです。だったら自分で働く場所を作ろうと起業しました」(市原氏)
そこで着目したのが、働く女性の装いにまつわる課題解決だった。ベンチャーキャピタルから資金調達をし、オリジナルブランド「ソージュ」をスタート。ここにも自身の原体験が詰まっている。
「子育てしながら働いていると、とにかく時間がないんです。洋服を選ぶことを考える時間を少しでも減らして、パフォーマンスを上げたい思いがありました。
衣食住の中でも特に『衣』の領域は、短期的にガラッと印象を変えられることが面白い。装いのことに1ミリも悩まず解決できることが、せっかちな自分にぴったりだったのもあります(笑)」(市原氏)

一方、渡邊氏がキャリアを積んでいた助産師は、いわゆる時短勤務やリモート勤務が難しく現場第一の仕事。自身の悩みと社会課題が重なり、起業に至った。
「私も小学生の子供2人を育てる母親です。上の子を産んだ後は生後4カ月で復帰し、バリバリ働いていました。下の子は免疫の関係で集団生活が難しいことがわかり、仕事との両立が難しくなってしまったんです。
助産師の仕事に誇りを持っていたし、まだ働きたいのにという思いが強かったので、それなら自分で働く場所を作ろうと起業しました」(渡邊氏)
女性だけが取れる資格であり、人手不足が医療課題になっている。さまざまな事情でブランクが生まれ、復職が遠のいている潜在助産師が多いと渡邊氏は指摘する。
「子育てのタイミングや夫の転勤の帯同といったさまざまな理由で両立が難しくなり、キャリアを諦めてしまう人が多い。助産師の資格を持っている女性は現在10万人いると言われている中で、その約半数が復帰していないのが現状です。
一度現場を離れると、戻るのが怖い仕事でもあるんですよ。私自身も起業して4年が経つ今、もし再び戻ったら採血するのも怖いと思ってしまいます。施設側の受け入れ体制などの理由もありますが、現場復帰の不安を感じて結果として休職してしまう方が多いです」(渡邊氏)
“やらされている感”のない仕事

渡邊氏は「起業は決して悲観的ではなく、むしろポジティブな選択だった」と振り返る。「組織で働いている時とは違う充実感があり、起業してよかった」と笑顔を見せた。
これには市原氏も首を大きく縦に振る。
「今でこそパーパス経営の概念が浸透していますが、企業に属していた頃はとにかく目の前の仕事をやらないといけなかった。そんな時、東日本大震災を体験して。『目的が分かっていない仕事中に被災して、もし家族に会えなかったら自分は納得できるか?』という問いが沸きました。
起業した今ははっきりとした目的があり、家族の前で胸を張って仕事ができています。プライベートとの切り替えが難しくはありますが、何より”やらされている感“がないことが本当にありがたく、起業してよかったですね」(市原氏)
「スタッフは全員子育て真っ最中。リモートワークを取り入れたハイブリッドワークを推奨しています。たとえば子供の授業参観などの行事や習い事に合わせて、仕事の予定を調整できる。こうした柔軟な働き方ができるのは、起業してよかったことです。
一緒に働いているメンバーや、サービスを受けている人たちへの責任とプレッシャーはあります。そのうえで、働き方をコントロールしながら、働きやすい仕組みを作っていけることはありがたいです」(渡邊氏)

両社とも起業して得られた手応えと同時に、困難も数々あったという。ハードシングスは「資金繰り」と同じ答えが返ってきた。事業を続けるうえで避けて通れない問題の一つだ。
「大変だったことは2回ありました。1回目は2019年の年末。翌年春にすぐ資金調達しないと、会社がもたない状況だったんです。まさに年を越せるか越せないかの瀬戸際に立たされ、頭を抱えていました。幸運にも、コロナ禍の直前に資金調達ができたのでよかったですが、あの時は必死でしたね。
何事も早めに動くことが大事です。ウィメンズのD2Cブランドは、利益を継続的に出し続けていないと融資を続けて受けることが難しいという側面もあります」(市原氏)
「私も昨年末、資金繰りに困っていました。ちょうど昨日、資金調達ができて一安心したところです。お金の問題は夜も眠れない大きな悩みの一つです」(渡邊氏)
「2回目は今です。資金調達ができてよかった一方で、エグジットが既定路線に入ってしまっていること。ゆっくりじっくり事業を育てるという選択肢がなくなっています。モデラートという社名は音楽の速度記号の“中くらいの速さで”からとったのですが、最近はこの社名と矛盾してきていることも。一皮剥けないといけないタイミングが来ていると感じています」(市原氏)
では、ハードシングスに直面した時、どのように乗り越えてきたのか?
市原氏も渡邊氏も「まず家族に相談する」と踏まえたうえで、信頼のおけるメンターに経営のアドバイスを求めるという。
「イベントで出会ったメンターに話を聞いてもらえたことは、かなりありがたかったです。一番心に残っているアドバイスは『あなたでなければいけない理由は何なの?』という質問。そもそも自分が何のために頑張るのか、原点に立ち返らせてくれました。ほかにも色々な気づきを下さるメンターが多くいたことが、とてもありがたかったですね」(市原氏)
「私は株主の方々にもオープンに話を聞いてもらっています。そして何より、会社の経営メンバーには現状を包み隠さず話して相談していました。資金繰りが非常に苦しかったとき『今、給料を払うことができない。調達できて払うことができるようになるまで仕事をお休みしてもいいよ』と正直に話したのですが、それでも全員残ってくれました。まさに同じ船に乗り、一緒に乗り越えてくれたメンバーには感謝しています。
この経験を糧に、メンバーとともに事業をさらに成長させたいと強く思っています。苦しい時期を経てメンバーの存在の大きさを実感する一方、同じ壁にぶつからぬよう経営基盤を強化しています」(渡邊氏)
起業の原点をぶらさずに事業を成長させる

最後に、市原氏と渡邊氏が今取り組んでいる課題について尋ねた。
「原点回帰ですね。“D2C”はバズワードとして消費され、今はモデルとして成立しないという見方も出てきているほど。改めて、私が解決したかったことは何かを考えています。
洋服を作ることや売ることに限らず、広い視点で事業を捉え直すこと。起業の原点に立ち返り、“らしさ”を再び考え直すことが今求められていると感じています」(市原氏)
「本気で少子化を止めたいという思いで走っています。そのために、自分たちができることを細かく事業に落とし込んでいます。
日々意識していることは、会社を長く続けていくこと。事業会社である以上、成長していく必要があります。スピードを出しすぎて息切れしてしまったらおしまいですから。
今年は採用を強化し、組織作りに力を入れたいと考えています。弊社は助産師の家庭向けベビーシッターサービスや産後ケア施設の運営、人材サービスなど、幅広く事業を展開しています。スタッフが複数のプロジェクトを兼務している現状を変えて組織を整えることで、さらに成長していきたいです」(渡邊氏)
アクセラレータープログラムの今後のスケジュール

「MASHING UP アクセラレーター」は2025年3月28日までエントリーを受付中。一次選考を行い、4月にプログラムの参加者を決定する。
その後は4月から9月にかけて、多彩な講師を招いた勉強会をオンラインとリアルタイムの計12回開催。その後、Business Insider Japan主催の第2回選考会を開催し、15社程度の女性起業家を採択予定だ。
10月から、全6回のメンタリングを提供する。1名に複数のメンターがつき、60分のメンタリングを行なう。12月から26年1月にはピッチイベントなどを行うデモデイを、3月には成果発表会を行ない、メディア発信での認知向上などでもサポートしていく。
「MASHING UP アクセラレーター」概要
対象:女性起業家(起業前の段階を含むシードステージと、アーリーステージ)、起業を志す女性
コンテンツ:勉強会、メンタリング、ピッチイベントなど
期間: 2025年4月〜2026年3月の約1年間
募集期間:2025年1月20日から3月28日
公式ページ:https://www.mashingup.jp/feature/mashingup_accelerator/
MASHING UP アクセラレーターについてはこちら
MASHING UP アクセラレータープログラムの説明動画はこちら
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