台風25号の大雨による盛り土の崩落で排水路が塞がり、人口約2万人の千葉県酒々井町の住宅街の一部で12日間にわたり冠水が続いている。テレビ朝日系(ANN)の報道によると、約20人が避難生活を強いられ、床上浸水などの深刻な被害が発生している。
酒々井町の住宅街で続く12日間の冠水被害
人口約2万人の千葉県酒々井町の一部地域では、台風25号の通過から12日以上が経った現在も水が引かない状態が続いている。テレビ朝日系(ANN)の取材では、上空から撮影された映像で激しく崩れた場所が確認されており、かなりの範囲が水に浸かったままとなっている。奥にあるカーブミラーも半分以上が水に浸かり、ボートが浮くほどの水位が残る場所もある。住民の生活への影響は深刻で、自宅の2階での暮らしを余儀なくされる住民もいる。床下浸水となった保科勇太さんは、周辺が冠水しているため1階の浴室を排水することができず、毎日水位を見て暮らす生活に疲れが出たとテレビ朝日系(ANN)のカメラに語った。現在も約20人が避難生活を続けており、消防のポンプ車による懸命な排水作業が連日行われているが、降り続く雨の影響で水位はなかなか下がっていない。
崩落した盛り土が形成した「池」の状態
住宅街の冠水を引き起こした主な原因とされているのが、過去に民間業者が放置した盛り土の崩落である。一般的に盛り土とは、住宅の建設などを目的として積み上げられたり、外部から運ばれて積み上げられた土を指す。この地に40年住む鎌田英助さんは、テレビ朝日系(ANN)の取材に対し、もともとくぼ地だった場所に崩落した土が覆いかぶさり、堰(せき)を造った状態となって池のようになっていると実態を説明した。本来、住宅地にたまった雨水は排水路を通って高崎川へ流れる構造になっている。しかし、台風25号の際に盛り土が崩落して排水路を塞いでしまったため、行き場を失った水が一気に住宅街にあふれ出した。
繰り返された崩落と進まない行政対応
放置されてきた盛り土の存在は、今回突然生じた問題ではない。テレビ朝日系(ANN)の報道によると、鎌田英助さんは盛り土の搬入が平成10(1998)年くらいから始まったと証言しており、2016年以降だけでも4回から5回にわたって崩落が起きていた。町は土を運んで積んだ事業者に複数回にわたって復旧するよう指導を行ってきたが、事業者は「資金面で対応できない」と主張し、改善されないまま放置が続いていた。今年2月になって町は一部の盛り土を撤去する行政代執行に着手し、今回崩落した箇所もその対象に含まれていたが、今回の台風による豪雨災害の発生を防ぐには間に合わなかった形となる。今回の被害では床上浸水が約9件確認されており、住民の生活環境は大きな打撃を受けている。
盛り土問題に対する専門家の指摘と制度的課題
千葉県酒々井町で起きた長期間の冠水被害は、全国に点在する盛り土が抱える構造的な問題を改めて浮き彫りにしている。盛り土問題に詳しい桜美林大学の藤倉まなみ教授は、テレビ朝日系(ANN)の取材に対し、法律や条例に違反して土を積んでいる場合は土を積んでいる業者が最大の責任を負うべきだと指摘した。その一方で、現在の法律では建設現場などで土を排出した元請け業者に強く責任を求められる仕組みになっていない点を挙げている。土を頼んだ側にも責任が及ぶような仕組みに改めなければ、いつまでたっても安い業者ばかりが選ばれて同様の問題がなくならないと、制度の不備に警鐘を鳴らしている。テレビ朝日系(ANN)およびYahoo!ニュースが伝える今回の事例は、行政指導の限界と事業者責任のあり方について、今後の大きな課題を投げかけている。