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2026-03-21 08:30:00
- 副業を始めるのがかつてないほど容易になった。だが、残念ながら、それを持続させるのは困難だ。
- 現状、副業が経済的安定もたらすと認識されている一方で、AIの成長力を前に成功は決して保証されていない。
- 本記事では、複数人の成功者の体験から、副業文化が従事者の仕事の捉え方や取り組み方にどう影響しているかを検証する。
燃え尽きたサラリーマンが自分のビジネスを始めようとする時、参考になりそうな良い知らせと悪い知らせがある。
良い知らせは、副業を始めるのがかつてないほど容易になったことだ。残念ながら、それが悪い知らせでもある。
ホワイトカラーの雇用市場は厳しい。幸い、安定したインターネット接続と数百ドルさえあれば起業できる時代に私たちは生きている。しかし、副業が経済的安定もたらすと認識されている一方で、AIの成長力を前に成功は決して保証されていない。
本記事では、副業文化が従事者の仕事の捉え方や取り組み方にどう影響しているかを検証する。Business Insiderの取材に応じた多くの関係者は、始める事自体は比較的容易だが持続させるのは困難だと指摘。データもこの分野が過密状態にあることを示している。
ニューヨーク州クリフトンパーク出身の10代、マイケル・サターリー氏の事例は参考になる。彼はわずか約500(約7万5000円)ドルを元手に、実家でEC企業「クルーズカップ(Cruise Cup)」を立ち上げた。
製品はすべて3Dプリント製で、主力商品である12オンス(約355ml)缶を2本を保持できる缶ホルダーが2025年にインスタグラムで話題となった。必要なのは300ドル(約4万5000円)の3Dプリンターと、月額30ドル(約4500円)で維持するショッピファイ(Shopify)のアカウントだけだった。

「必要なツールの大半は無料だ」と、サターリー氏は語った。「SNSは無料。配信に費用をかけずに何億もの視聴を獲得できる」
しかし、サターリー氏にとって有利だった参入障壁の低さは、競争の激化も促した。
米国で3573人のフルタイム労働者を対象に行った、2025年のサーベイモンキー(SurveyMonkey)の調査によると、回答者の37%が副業を持っており、さらに35%が副業を始めることを検討している。若い労働者はどの世代よりも副業に注力しており、市場が飽和状態にある。
2025年のバンクレイト(Bankrate)による調査(成人2616人が対象)では、ミレニアル世代とZ世代の30%以上が副業で収入を補っていると回答し、X世代やベビーブーマー世代を大きく上回った。副業に取り組む人の比率は2017年から2025年にかけて、成人の19%から27%に上昇した。
まとめると、6000万人以上のアメリカ人が何らかの形で副業に従事している。
競争は激しい。成功事例が多く、副業の増加が仕事や富の創出の在り方を再定義している一方で、退職を考えている人々への警告も数多く存在する。
ハードルは低いが、ストレスは大きい
製品であれサービスであれ、TikTokコンテンツであれ、誰もがアイデアを持っている。何かを始めるのはかつてないほど容易になったが、成功が保証されるわけではない。そして実現した成功も一夜にして訪れるものではなく、続けるのも難しい。
2019年にインスタグラムで個人金融の投稿を始めたクリエイターのミケーラ・アロッカ氏は、コンテンツ制作事業から安定した収入を得るまでに2年かかったと語る。活動開始から7年が経った今、彼女の課題は「始めること」ではなく、混雑する市場で存在感を示し続けることだ。
「競争は格段に激化してる」とアロッカ氏は語る。「競争相手は急増し、類似のテンプレートやスタイルで制作する人が非常に増えた」

長続きを望むなら決して休んではいけない、と彼女は主張する。アルゴリズムが変わり、プラットフォームが進化し、新たなクリエイターが日々現れる市場において、注目を浴びるのはつかの間だ。参入は容易で、ブームの変化も頻繁に起きる。その運命を避けるには、業界のトレンドを常に把握し、リアルタイムで戦略を練る覚悟が不可欠だ。
副業の分野ごとに競争の様相は異なる。アロッカ氏がオンラインで増え続けるクリエイターと競う一方、EC起業家は別の圧迫に直面している。仲介業者の衰退だ。
元コンサルタントで現在2つのECブランドを運営するアレックス・イェール氏によると、コロナ禍では中国工場から商品を仕入れ、アマゾン(Amazon)でPB(プライベートブランド)として転売する人が増えたという。しかし近年、中国工場が消費者への直接販売を始めるケースが増えている。
「なぜ君たちに売って利益を取られなければならない? 自分でAmazonアカウントを開設して直接売れば儲かる」と、イェール氏は中国企業の思惑を代弁する。工場による直販が増えた結果、値下げと模倣競争が進んだ。EC事業者が特許や知的財産権の保護がない中国製品を輸入して成功した場合、数カ月後には中国企業が参入し、「20~30%安く売られる」ことになる。
こうした事例は「容易な参入」が「簡単な継続」を意味しないということを示してくれる。
労働市場調査会社ワークプレイス・インテリジェンス(Workplace Intelligence)のマネージングパートナー、ダン・ショーベル氏は次のように主張する。「『今は就職より起業の方が簡単だ』というメッセージは誤りだ。どちらも困難である」
競争に勝ち残る
かつてキャリアとは数十年に及ぶ、あるいは生涯に渡るものだった。でも“ハッスルカルチャー”は異なる。
現代の資本主義が起業の参入障壁を撤廃しているならば、仕事の未来は短期的な雇用と絶え間ない変化によって特徴づけられるかもしれない。
現代の起業コストの低さは、起業志望者が大きなリスクを負わずに実験することを可能にしたが、この実験こそが過酷な競争環境で成功するための鍵となる。
「様々なことに挑戦できる」と、フリーランス向けマーケットプレイス、フリランサー・ドット・コム(Freelancer.com)の創業者兼CEOを務めるマット・バリー氏は話す。「多くの起業家は1社だけでなく、4社、5社、6社を経営している。3~4社は失敗するかもしれないが、それが起業家の本質だ」
本質的に、起業は投資と同様のものであり、分散投資こそが最も持続可能な成功の方程式となる。
ウィリアム・バタートン氏は電気技師であるとともに、複数の副業を営む「シリアル・サイドハッスラー」だ。彼は約2500ドル(約37万5000円)の初期投資でATMや自動販売機の購入・設置事業を開始し、不労所得を得ている。「幅広く始めて、軌道に乗り始めたら絞り込む」というのが彼の哲学だ。

一方でバタートン氏は、ライブ販売プラットフォーム「ワットノット(Whatnot)」でポケモンカードやスポーツカードを転売する仕事も並行している。仕事の安定性や家族との時間を犠牲にしない限り、新しい挑戦を続けるつもりだと語る。いずれはフルタイムで自身のビジネスを営みたいと考えているが、急ぐつもりはない。
競争の激しい環境では、実験的な試みが起業のきっかけとなるかもしれない。継続こそが地位を保つ鍵だ。
「視聴数ゼロの動画を投稿し、次に閲覧数1、次に閲覧数100……と。それを何千回も繰り返す覚悟が必要だ」と、グルーズカップを起業したサターリー氏は語る。
アロッカ氏も同意見だ。成功するのに必要な努力を、ほとんどの人は過小評価していると彼女は指摘する。
「2026年に成功しているクリエイターを見れば、そのほとんどが3~4年間、毎日複数回投稿を続けてきた人だ」と、彼女は主張した。「一夜にして成功したように見えるのは、外からだけだ」
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