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分断・逆風を越えて進める、未来志向のDEI。Mashing Upボードメンバーミーティング2025 | Business Insider Japan

撮影/中山実華DEIの流れを押し戻そうとする力に抗えず、表向きには活動を控える企業も出てきた2025年。社会の分断も深まるなか、ただでさえ遅れていた日本の取り組みがさらに後退してしまうのではないかと懸念する声も上がっている。そんな混迷の時代にダイバーシティの流れを止めず、インクルーシブな未来を拓くために、私たちは何に注目し、考えなければならないのか。7月のMashing Upボードメンバーミーティングでは、国際的な潮流から教育・メディアが果たすべき役割まで、多岐にわたる議論が展開された。DEIの必要性を「左脳」で理解してもらうことが大事MPower Partners General Partnerの村上由美子さん(左上)、ジャパンタイムズ 代表取締役会長 兼 社長の末松弥奈子さん(中下)。スクリーンショット世界的に反DEIと反ESGの嵐が吹き荒れるなか、MPower Partners General Partnerの村上由美子さんは「日本がどう反応するかが注目されている」という。「意見が対立する状況では、中立性を保ち客観的に行動するメディアの役割が重要になる」が、欧米と比べてDEIの浸透が遅れている日本では、「日本特有の環境・課題を考慮しながら積極的な議論へとリードすることが、メディアには求められる」と、Mashing Upにかける期待を口にする。山口有希子さん(パナソニック コネクト CMO DEI担当役員)。撮影/中山実華パナソニック コネクト CMO DEI担当役員の山口有希子さんも、日本のアファーマティブアクションが十分ではないことに触れ、「いったん脇に置いておこうとする動き」に危機感を抱く。現場にLGBTQ+支援をやりたいという思いは広がっているが、「グローバル企業は表立ってスポンサードできない状況で、流れが消えたように見えてしまっている」ことが問題だとし、「当たり前のことを当たり前にしようとする人は増えているはずなので、メディアの力で風を吹かせる必要がある」と強調。加えて、「なぜDEIが必要なのかを科学的に発信することで、左脳で理解してもらうことが大事」だと述べた。「エイジダイバーシティ」という大きな課題もダイバーシティの一丁目一番地は、まず女性管理職比率を上げること。パナソニック コネクトでは、7年の取り組みで2%から8.5%に向上し、「やれば変わる」ことを実感しているそうだ。佐藤真希子さん(iSGSインベストメントワークス 取締役 代表パートナー)。撮影/中山実華iSGSインベストメントワークス 取締役 代表パートナーの佐藤真希子さんも、ダイバーシティ推進とハラスメントゼロを目指し、「日本ベンチャーキャピタル協会では、女性比率3割やハラスメント規定を義務化した」と報告。しかし、「子育て世代の女性管理職登用は依然として厳しく、特にスタートアップでは困難な状況で、地方における女性の活躍推進にも根深い課題がある」と語る。一木裕佳さん(日経BP総合研究所 人的資本経営フェロー)。撮影/中山実華また女性管理職比率とともに、企業は「エイジダイバーシティについても考えなければならない」と指摘するのは、日経BP総合研究所 人的資本経営フェローの一木裕佳さん。定年再雇用が65歳から70歳へと延びるこの先は、DXを進めながら「ミドル・シニア層が活躍できる現場を用意できるか」がネックとなるようだ。そのため、「社内の教育・研修を事業成長に直結する、投資対効果のある内容に変えていくことが必要」だという。AI・分断時代に求められる、教育とメディアの役割キャリア形成のための教育は、企業だけでなく社会全体が担う課題だが、佐藤さんは「18歳で起業するなど、早くから自分で稼ぐことができれば、女性は人生のイニシアチブを握れるようになるのでは」と興味深い仮説を披露する。また、ジャパンタイムズ 代表取締役会長 兼 社長の末松弥奈子さんは、「AIを導入したIT大手のリストラによって、プログラマー育成後に使い捨てられた若者の現状に胸を痛めている」ことに触れ、「これまでの教育を反省しつつ、AI時代に向けた準備の必要性がある」と主張した。こうした教育に関する課題とともに、数多く話題に上がったのが「メディアの役割」だ。石井龍夫さん(C Channel 監査役/イーライフ エグゼクティブアドバイザー)。撮影/中山実華C Channel 監査役/イーライフ エグゼクティブアドバイザーの石井龍夫さんは、「ダイバーシティは単なる理想論ではなく、最終的にはビジネスに貢献することを、メディアは正しく伝えるべき」で、「新聞・雑誌を買わず、有料記事を読まない人たちに、偏った情報・思考が広がっているのでは」との懸念から、「テレビなどの無料メディアが、公正な情報を届ける工夫をする必要がある」と発言。鈴木款さん(フジテレビジョン 解説委員/株式会社ディレクションズ・グループ 顧問)。撮影/中山実華トランプ現象と同様、日本でも外国人規制を掲げ、支持を広げる政党が増えてきたことに危機意識を持つ、フジテレビジョン 解説委員/株式会社ディレクションズ・グループ顧問の鈴木款さんは、「マスメディアは兵庫県知事選での反省を踏まえて、参議院選挙では選挙期間中「マスメディアは兵庫県知事選での反省を踏まえて、参議院選挙では選挙期間中ファクトチェックを増やすなど積極的に報道する姿勢に変わり社会分断つつある」現状を伝え、「ネットではフェイクや誹謗中傷が野放し。当局は法の下より厳しく対処すべき」との見解を示した。DEIは「基本的人権を守る」という、超シンプルで当然の活動ここで、当日参加できなかったボードメンバーのメッセージを一部紹介する。公益財団法人Well-being for…

分断・逆風を越えて進める、未来志向のDEI。Mashing Upボードメンバーミーティング2025 | Business Insider Japan

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2025-08-08 03:00:00

撮影/中山実華

DEIの流れを押し戻そうとする力に抗えず、表向きには活動を控える企業も出てきた2025年。社会の分断も深まるなか、ただでさえ遅れていた日本の取り組みがさらに後退してしまうのではないかと懸念する声も上がっている。

そんな混迷の時代にダイバーシティの流れを止めず、インクルーシブな未来を拓くために、私たちは何に注目し、考えなければならないのか。7月のMashing Upボードメンバーミーティングでは、国際的な潮流から教育・メディアが果たすべき役割まで、多岐にわたる議論が展開された。

DEIの必要性を「左脳」で理解してもらうことが大事

MPower Partners General Partnerの村上由美子さん(左上)、ジャパンタイムズ 代表取締役会長 兼 社長の末松弥奈子さん(中下)。
MPower Partners General Partnerの村上由美子さん(左上)、ジャパンタイムズ 代表取締役会長 兼 社長の末松弥奈子さん(中下)。
スクリーンショット

世界的に反DEIと反ESGの嵐が吹き荒れるなか、MPower Partners General Partnerの村上由美子さんは「日本がどう反応するかが注目されている」という。「意見が対立する状況では、中立性を保ち客観的に行動するメディアの役割が重要になる」が、欧米と比べてDEIの浸透が遅れている日本では、「日本特有の環境・課題を考慮しながら積極的な議論へとリードすることが、メディアには求められる」と、Mashing Upにかける期待を口にする。

山口有希子さん(パナソニック コネクト CMO DEI担当役員)。
山口有希子さん(パナソニック コネクト CMO DEI担当役員)。
撮影/中山実華

パナソニック コネクト CMO DEI担当役員の山口有希子さんも、日本のアファーマティブアクションが十分ではないことに触れ、「いったん脇に置いておこうとする動き」に危機感を抱く。現場にLGBTQ+支援をやりたいという思いは広がっているが、「グローバル企業は表立ってスポンサードできない状況で、流れが消えたように見えてしまっている」ことが問題だとし、「当たり前のことを当たり前にしようとする人は増えているはずなので、メディアの力で風を吹かせる必要がある」と強調。加えて、「なぜDEIが必要なのかを科学的に発信することで、左脳で理解してもらうことが大事」だと述べた。

「エイジダイバーシティ」という大きな課題も

ダイバーシティの一丁目一番地は、まず女性管理職比率を上げること。パナソニック コネクトでは、7年の取り組みで2%から8.5%に向上し、「やれば変わる」ことを実感しているそうだ。

佐藤真希子さん(iSGSインベストメントワークス 取締役 代表パートナー)。
佐藤真希子さん(iSGSインベストメントワークス 取締役 代表パートナー)。
撮影/中山実華

iSGSインベストメントワークス 取締役 代表パートナーの佐藤真希子さんも、ダイバーシティ推進とハラスメントゼロを目指し、「日本ベンチャーキャピタル協会では、女性比率3割やハラスメント規定を義務化した」と報告。しかし、「子育て世代の女性管理職登用は依然として厳しく、特にスタートアップでは困難な状況で、地方における女性の活躍推進にも根深い課題がある」と語る。

一木裕佳さん(日経BP総合研究所 人的資本経営フェロー)。
一木裕佳さん(日経BP総合研究所 人的資本経営フェロー)。
撮影/中山実華

また女性管理職比率とともに、企業は「エイジダイバーシティについても考えなければならない」と指摘するのは、日経BP総合研究所 人的資本経営フェローの一木裕佳さん。定年再雇用が65歳から70歳へと延びるこの先は、DXを進めながら「ミドル・シニア層が活躍できる現場を用意できるか」がネックとなるようだ。そのため、「社内の教育・研修を事業成長に直結する、投資対効果のある内容に変えていくことが必要」だという。

AI・分断時代に求められる、教育とメディアの役割

キャリア形成のための教育は、企業だけでなく社会全体が担う課題だが、佐藤さんは「18歳で起業するなど、早くから自分で稼ぐことができれば、女性は人生のイニシアチブを握れるようになるのでは」と興味深い仮説を披露する。

また、ジャパンタイムズ 代表取締役会長 兼 社長の末松弥奈子さんは、「AIを導入したIT大手のリストラによって、プログラマー育成後に使い捨てられた若者の現状に胸を痛めている」ことに触れ、「これまでの教育を反省しつつ、AI時代に向けた準備の必要性がある」と主張した。

こうした教育に関する課題とともに、数多く話題に上がったのが「メディアの役割」だ。

石井龍夫さん(C Channel 監査役/イーライフ エグゼクティブアドバイザー)。
石井龍夫さん(C Channel 監査役/イーライフ エグゼクティブアドバイザー)。
撮影/中山実華

C Channel 監査役/イーライフ エグゼクティブアドバイザーの石井龍夫さんは、「ダイバーシティは単なる理想論ではなく、最終的にはビジネスに貢献することを、メディアは正しく伝えるべき」で、「新聞・雑誌を買わず、有料記事を読まない人たちに、偏った情報・思考が広がっているのでは」との懸念から、「テレビなどの無料メディアが、公正な情報を届ける工夫をする必要がある」と発言。

鈴木款さん(フジテレビジョン 解説委員/株式会社ディレクションズ・グループ 顧問)。
鈴木款さん(フジテレビジョン 解説委員/株式会社ディレクションズ・グループ 顧問)。
撮影/中山実華

トランプ現象と同様、日本でも外国人規制を掲げ、支持を広げる政党が増えてきたことに危機意識を持つ、フジテレビジョン 解説委員/株式会社ディレクションズ・グループ顧問の鈴木款さんは、「マスメディアは兵庫県知事選での反省を踏まえて、参議院選挙では選挙期間中「マスメディアは兵庫県知事選での反省を踏まえて、参議院選挙では選挙期間中ファクトチェックを増やすなど積極的に報道する姿勢に変わり社会分断つつある」現状を伝え、「ネットではフェイクや誹謗中傷が野放し。当局は法の下より厳しく対処すべき」との見解を示した。

DEIは「基本的人権を守る」という、超シンプルで当然の活動

ここで、当日参加できなかったボードメンバーのメッセージを一部紹介する。

公益財団法人Well-being for Planet Earth 代表理事の石川善樹さん

2030年にゴールを迎えるSDGs、その先の有力なグローバル・アジェンダが「Inclusive and Sustainable Well-Being(ISWB)」。人・地域・自然の調査をどう測っていくのか、具体的な枠組みづくりが進みはじめている。

Q0 代表取締役社長の林千晶さん

最近胸に刺さったのは、『目的への抵抗 —シリーズ哲学講話—』(國分功一郎著、新潮新書)にある、ハンナ・アーレントの言葉──「目的」の本質とは手段の正当化にある。でも、目的のために効果的であるならばあらゆる手段が許されるという考えを追求していくと、最後には「恐るべき結果」が訪れる――。今の時代に目的がはっきりしていることがいいのかと自戒した。

MAKコーポレーション founder 兼 CEO/Metaverse Japan 特別顧問の有馬誠さん

DEIの潮流が大きな曲がり角に来ているが、あらためてDEIの原点に立ち返って整理、発信する必要がある。そもそもDEIは基本的人権を認め、守るという、超シンプルで当然の活動であることを、理解されるように努めないといけないと強く思う。

自分の子ども世代から、「選ばれる会社」にするために

左から)MASHING UP理事の小木曽麻里さん、夫馬賢治さん、及川美紀さん。
左から)MASHING UP理事の小木曽麻里さん、夫馬賢治さん、及川美紀さん。
撮影/中山実華

ディスカッション、寄せられたメッセージを受けて、最後はMashing Up理事からのコメント。

一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ 理事の及川美紀さんは、「ダイバーシティの取り組みは短期業績には直結しないものの、長期的に見れば採用者の質やブランド価値に必ず影響する」ため、「バランスを見ながら忍耐強く組織風土を変えていく必要がある」と説明。加えて、「経営層へ働きかけも、大企業と中小企業、首都圏と地方では刺さり方が異なる」ため、「メディアがケーススタディをパターン化すること」を提案した。

ニューラル CEOの夫馬賢治さんは、「日本では女性管理職が人事・広報・カスタマーサービス・サステナビリティに偏りがち」であることや、「社会分断によって、ダイバーシティの裾野は広がったがアンチも増えた」ことに触れ、「インクルーシブなメディアのあり方を模索することが大事」だと言及。さらに、テレビのディレクターや放送作家は世に出ている情報からストーリーを作り、それを増幅する傾向にあることに警鐘を鳴らし、「メディア関係者や発信者向けのトレーニングの必要性」を訴える。

「グローバルでミソジニーが広がっている」ことを危惧するSDGインパクトジャパン 代表取締役の小木曽麻里さんは、「AIによって単純作業職がなくなると言われるが、事務職の女性は多いので、ジェンダーバランスの改善を加速して考えるべき」と指摘。続けて「Appleがサプライチェーンで再生エネルギー100%を目指すのは、20年後、30年後の人がどのような基準で買うかを考えているから」という話を紹介し、「DEIも自分の子ども世代から選ばれる会社にするために、未来志向で取り組むことが重要」だと述べた。

DEIの必要性を左脳で理解してもらう工夫や努力とともに、公正な社会へとリードする役割もメディアには求められている。Mashing Upはインクルーシブなメディアとしての発信やさまざまな活動を通して、日本の社会を企業の中からよりよくする取り組みをこれからも続けていく。

(取材:山本千尋、編集:Mashing Up、撮影:中山実華)

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