今年3月、刃物を持って中国大使館に侵入したとして建造物侵入や銃刀法違反などの罪に問われた、元陸上自衛隊えびの駐屯地所属の村田晃大被告(24)の初公判が1日、東京地裁で開かれました。被告側は起訴内容を大筋で認めつつ、脅迫罪の成立については否認しました。
村田被告が中国大使館に侵入した経緯
起訴状によると、村田被告は3月24日午前9時ごろ、刃渡り18センチの包丁を所持した状態で、東京都港区にある中国大使館の敷地に侵入しました。有刺鉄線が設置された外壁を乗り越えて侵入した被告は、大使館職員に対し「日本国の愛国者が日本の神に代わってあなた方を誅殺するでしょう」と伝えたとされています。検察側の冒頭陳述では、被告がインターネット上の情報を通じて中国の外交姿勢に疑問を抱き、大使に直接意見を伝えようと決意していたことが明らかにされました。
脅迫罪の成立を巡る弁護側の主張
「誅殺」という文言を用いた点について、弁護側は脅迫罪には当たらないと主張しています。弁護側は「災いの予測を述べたものに過ぎず、被告に危害を加える意図はなかった」と説明しました。被告自身も、犯行時に包丁を所持していた理由について、「抗議が失敗に終わった場合に大使館内で自決し、強烈なインパクトを与えるためだった」と述べ、他者に危害を加える目的はなかったと強調しています。実際に、侵入直後には包丁を近くの植え込みに置いていたといいます。
自衛隊員が薬物を個人輸入した背景
事件当時の精神状態について、検察側は精神鑑定の結果を報告しました。被告は薬の影響で精神疾患を抱えていたものの、妄想や幻覚の症状はなく、責任能力に影響はなかったと指摘しています。被告人質問によると、この薬は、自衛隊の訓練中に上官から叱責を受けた際、「プレッシャーに弱いあがり症を改善するため」に個人で輸入したものだと説明されました。病院を受診しなかった理由について、被告は「通院すれば職場に報告が必要となり、深刻な状態だと思われるのを避けたかった」と語っています。
「神のお告げ」と犯行の動機
被告は犯行を決意した理由として、事件前日に見た夢を挙げました。「神様のような人に『日本は中国になめられている。お前が談判せよ』と言われた」と説明し、その使命感から大使館に向かったと供述しています。また、大使館職員に読み上げた脅迫内容についても、職員から「大使に伝えたい内容を紙に書くように」と言われ、さらに「動画を撮影するから読み上げるように」と指示を受けた末の行動だったと説明しました。
被告が法廷で語った謝罪の言葉
初公判の終盤、村田被告は自身の行動について言及しました。「自分の主張を実行するために法律を破るのは明らかに間違いだった」と述べ、法を犯したことへの反省を口にしました。また、大使館職員に対して恐怖や不安を与えたことについて、「申し訳ない」と謝罪の意を示しています。今回の裁判では、政治的関心の先鋭化と薬物の使用、そして個人の信念がどのように事件へと結びついたのか、その経緯が詳しく審理される見通しです。