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世界で100万人以上を動員した「声NGの世界」を体験。企業も研修として導入 | Business Insider Japan

もし急に言葉が使えなくなったら、他人とどのようにコミュニケーションを取るだろう。 手話? 筆談? 身振り手振り? 声や言葉を使わない対話を体験してきた。 「声・手話 お休み」 の世界へ 撮影:荒幡温子 アトレ竹芝シアター棟内にある「ダイアログ・ダイバーシティミュージアム『対話の森』」で開催中の「ダイアログ・イン・サイレンス」は、「静けさの中での対話」をテーマとしたイベントだ。 会場の入り口には、「携帯電話やカメラの使用禁止」など、一般的な注意事項のほかに、「声 お休み」、「手話 お休み」といった見慣れない注意事項が張り出されている。 左はアテンドのじんちゃん、右はサイレンス・インタープリターのみこえちゃん 撮影:荒幡温子 開始時刻になると、聴覚障がいを持つボディーランゲージのエキスパートである「アテンド」と、手話を含む多様なコミュニケーションを通じてアテンドとの仲介役を担う「サイレンス・インタープリター」が登場。音のない世界へといざなう。 撮影:荒幡温子 貸し出された遮音性のあるイヤーマフを耳にあてると、一気に周りの音が消え、急に不安が襲ってくる。 参加者と周りの状況をキョロキョロと見回しながら、体験が始まった。 90分間言葉なしのコミュニケーション 撮影:荒幡温子 ここから先は、アテンドの案内で7つの部屋を巡りながら、参加者たちと「音のない対話」をしていく。 途中、写真や文字の書かれたカードも何度か登場するが、ルールや説明はほぼすべて身振り手振りと表情のみで行われる。もちろん、参加者間のコミュニケーションも同様だ。 また、入口の注意事項に書かれていた通り、手話でのコミュニケーションができるという人も終盤まで使ってはいけないことになっている。 2つ目の部屋「手のダンス」 撮影:荒幡温子 「手のダンス」と題した部屋では、手や体を動かしてダンスをしたり、参加者と協力して一つのものを作り上げたりする。 だが、かなり集中してアテンドに注目していたのだが、説明の内容がよく分からなかった。周りを見渡すと、参加者も同様に少し困惑した表情をしている。 ただ「指示が分からないのでもう一度説明してほしい」とお願いするにも、身振り手振りと表情しか方法がない。 参加者の一人が、申し訳なさそうな表情で人差し指を立てて1の数字を表しながら、「もう一回!」とリクエストをしたら、アテンドに理解してもらえた。 撮影:荒幡温子 「あなたにこれをしてほしい」「あなたはどう?」と、アテンドから指示や質問が飛んでくることもあるが、目を見ていないと自分が指名されているかどうかが分からない。 体感だが、日常の3倍くらい人と目を合わせる時間があったように思えた。 5つ目の部屋「形」。これらのおもちゃを使って、言葉なしで正しい配置を伝えていく。 撮影:荒幡温子 「形」と名付けられた部屋では、2〜3人で行うゲームも。 片方が写真のおもちゃの配置を伝え、もう片方は写真を見ないでその配置を目指すというものだ。 ジェスチャーや表情をフルに使ってなんとか相手に分かりやすく伝えようと試みるも、ところどころ配置が違うものが出来上がった。大まかな位置は伝わったが、完璧を目指すのは至難の業だ。…

世界で100万人以上を動員した「声NGの世界」を体験。企業も研修として導入 | Business Insider Japan

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2024-02-03 09:00:00

もし急に言葉が使えなくなったら、他人とどのようにコミュニケーションを取るだろう。

手話? 筆談? 身振り手振り?

声や言葉を使わない対話を体験してきた。

「声・手話 お休み」 の世界へ

撮影:荒幡温子

アトレ竹芝シアター棟内にある「ダイアログ・ダイバーシティミュージアム『対話の森』」で開催中の「ダイアログ・イン・サイレンス」は、「静けさの中での対話」をテーマとしたイベントだ。

会場の入り口には、「携帯電話やカメラの使用禁止」など、一般的な注意事項のほかに、「声 お休み」、「手話 お休み」といった見慣れない注意事項が張り出されている。

対話沈黙2

左はアテンドのじんちゃん、右はサイレンス・インタープリターのみこえちゃん

撮影:荒幡温子

開始時刻になると、聴覚障がいを持つボディーランゲージのエキスパートである「アテンド」と、手話を含む多様なコミュニケーションを通じてアテンドとの仲介役を担う「サイレンス・インタープリター」が登場。音のない世界へといざなう。

対話沈黙3

撮影:荒幡温子

貸し出された遮音性のあるイヤーマフを耳にあてると、一気に周りの音が消え、急に不安が襲ってくる。

参加者と周りの状況をキョロキョロと見回しながら、体験が始まった。

90分間言葉なしのコミュニケーション

対話沈黙4

撮影:荒幡温子

ここから先は、アテンドの案内で7つの部屋を巡りながら、参加者たちと「音のない対話」をしていく。

途中、写真や文字の書かれたカードも何度か登場するが、ルールや説明はほぼすべて身振り手振りと表情のみで行われる。もちろん、参加者間のコミュニケーションも同様だ。

また、入口の注意事項に書かれていた通り、手話でのコミュニケーションができるという人も終盤まで使ってはいけないことになっている。

対話沈黙6

2つ目の部屋「手のダンス」

撮影:荒幡温子

「手のダンス」と題した部屋では、手や体を動かしてダンスをしたり、参加者と協力して一つのものを作り上げたりする。

だが、かなり集中してアテンドに注目していたのだが、説明の内容がよく分からなかった。周りを見渡すと、参加者も同様に少し困惑した表情をしている。

ただ「指示が分からないのでもう一度説明してほしい」とお願いするにも、身振り手振りと表情しか方法がない。

参加者の一人が、申し訳なさそうな表情で人差し指を立てて1の数字を表しながら、「もう一回!」とリクエストをしたら、アテンドに理解してもらえた。

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撮影:荒幡温子

「あなたにこれをしてほしい」「あなたはどう?」と、アテンドから指示や質問が飛んでくることもあるが、目を見ていないと自分が指名されているかどうかが分からない。

体感だが、日常の3倍くらい人と目を合わせる時間があったように思えた。

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5つ目の部屋「形」。これらのおもちゃを使って、言葉なしで正しい配置を伝えていく。

撮影:荒幡温子

「形」と名付けられた部屋では、2〜3人で行うゲームも。

片方が写真のおもちゃの配置を伝え、もう片方は写真を見ないでその配置を目指すというものだ。

ジェスチャーや表情をフルに使ってなんとか相手に分かりやすく伝えようと試みるも、ところどころ配置が違うものが出来上がった。大まかな位置は伝わったが、完璧を目指すのは至難の業だ。

言葉を使えば1~2秒で済んでしまうような内容の意思疎通も、表情や視線、体だけで伝えようとすると何十秒もかかる。

普段の生活でいかにコミュニケーションの多くを言葉頼りにしているのかを痛感した。

対話沈黙9

撮影:荒幡温子

それにしても、アテンドの表情とジェスチャーは、なんと豊かなことか。動きや顔の表情のバリエーションが豊富で、複雑な説明もちゃんと伝わってくる。声や音、言葉に頼らず対話する達人だ。

自分が言葉を使わない状況になると、普段耳の聞こえない・聞こえづらいという人たちがどれほど伝えるための工夫をしているかがよく分かる。

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撮影:荒幡温子

終盤、アテンドとサイレンス・インタープリター、参加者の間で、気づきを共有する時間がある。ここからはジェスチャーに加えて、声のコミュニケーションや手話、筆談でより深い対話をしていく。

アテンドは「音のない世界でLOVEを見つけた? LOVEに気づけた? LOVEを感じた?」と質問を投げかけた。

言葉に頼らない状況下では、いつもより人と目を合わせ、よく観察し、相手の気持ちを推し量ろうとする。逆に自分がなにか伝えるときも、いつもより少し丁寧に伝え方を考える。

参加者たちは、音のない世界で生まれた“やさしさ”に、LOVEを感じていたようだった。

企業研修にも導入

対話沈黙11

撮影:荒幡温子

運営元の「一般社団法人 Dialogue Japan Society」の理事を務める志村真介(しむらしんすけ)さんは、ダイアログ・イン・サイレンスの目的をこう話す。

「音のない世界という開放感のある自由の中で、集中力や観察力、表現力を高めてコミュニケーションを取る方法を模索することが狙いです」

1998年にドイツで生まれて以来、世界では100万人以上が体験。日本では、2017年に初開催されて以来2万人以上を動員する。

対話沈黙12

撮影:荒幡温子

企業研修などの一環で、プログラムの体験に訪れる人も多い。

同時開催中の「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」(完全に光を遮断した環境でのコミュニケーションを行う)などと合わせると、これまで1000社以上が研修に導入してきた。

見えない・聞こえない世界で伝える努力を必要とするこの環境は、あらゆる立場の垣根を超える。

海外メンバーとの新規プロジェクトの立ち上げ時にアイスブレイクとして活用する企業もあるという。

対話沈黙13

声がないので、表情や身振り手振りが自然と大きくなる。

撮影:荒幡温子

チームビルディング以外では、営業職のビジネスパーソンが表現の勉強に訪れることもある。

取材当日には、某商業施設で実施する販売員コンテストで選ばれた接客のプロたちが、より接客技術向上を目的にプログラムに参加していた。

対話沈黙14

撮影:荒幡温子

プログラムの受講側にメリットがある一方で、アテンダーとして活躍する聴覚障がい者の雇用創出も担う。

今回アテンダーを務めてくれた「じんちゃん」は、事務の仕事などを経てこのキャリアに至った。

アテンドスクールがあることを知り、人との関わりが苦手だった自分を変えたいという動機で「ダイアログ・イン・サイレンス」に参加することになったという。

取材の途中、じんちゃんから印象深い言葉を聞いた。

「最後の部屋を出ると、なんだかみんな最初とは違う人のようになります。この体験を通して変化するということは、普段、“伝える努力”をサボっているということ」

終わった後「明日、顔が筋肉痛になりそう!」と思っていた私は、耳が痛かった。音のない世界に没入してみて、初めて分かることがある。

ダイアログ・イン・サイレンス

会期:2024年1月13日(土)〜2月25日(日)

会場: ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」 (東京都港区海岸1-10-45 アトレ竹芝シアター棟 1F)

料金:大人 3850円、中高生・大学・専門学生・大学院生 2750円、小学生 1650円

公式サイト: https://dis.dialogue.or.jp/

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