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2025-04-05 08:30:00
- 株式市場から家庭での懐事情にいたるまで、さまざまな索引が景気後退の到来を示唆している。
- しかしほかにも、不景気を示す一風変わった、ときにはあまり信頼性の高くない指標も存在する。
- リップや段ボール箱の売上など、景気後退の指標となる意外な例を9つ紹介しよう。
リップやおむつかぶれ治療薬など、一見したところ意外なものも、景気後退が始まりつつあることを示唆するサインとみなせる。
債券市場や家計収支ほど話題になることはないが、そのような普通ではない指標も迫り来る不景気を示すサインとなることを、経済学者や経営者は指摘する。
もちろん、100%確実な兆候など存在しない。そうした説には明らかな穴がある場合もあるし、単純に消費者支出の減少を示しているだけの場合もあるだろう。消費者支出が停滞するのは不吉なサインでこそあるが、景気後退が迫っていることを保証するものではない。
だからと言って、そうした兆候に注目しない理由もない。
以下が注目すべき9つの意外なサインだ。
1. スナック指数
景気後退が始まると、人々はスナック菓子を含む特定の食品をあまり買わなくなることが証明されている。数多くの研究をレビューした調査を通じて、2008年のグレート・リセッション(リーマン・ショック)の際に、スナック菓子、ファストフード、生鮮食品などの消費が減った事実が確認された。
そして現在、消費者はスナックをあまり買わなくなった。これは経済の先行きに対する不安の表れかもしれない。
3月後半、「チェックスミックス(Chex Mix)」や「ネイチャー・バレー・グラノーラバー(Nature Valley granola bars)」などを販売しているゼネラル・ミルズ社(General Mills)が、第3四半期の純売上高が5%減少したと発表した。
収支報告の際、ジェフ・ハーメニングCEOは、売上が減ったのは人間用のスナックだけではないという。同社のペット用スナックも売上が減ったと、アナリストに説明した。
「これには消費者の信頼感が大いに関係していると、我々は見ている」とハーメニング氏は語った。
2. ミニアルコールボトル指数
お金や経済に不安があるとき、人々はアルコールも買い控えると言われている。消費者は通常のボトルを買わずに、飛行機内やホテルのミニバーにあるような小瓶を選ぶようになる。
ウイスキーの「ジャック・ダニエル(Jack Daniels)」やテキーラの「エラドゥーラ(Herradura)」などを手がけるブラウン=フォーマン社(Brown-Forman)は、最近の消費者は小型のボトルを多く買うようになったと説明する。
「小型のボトルがよく売れているのは、循環的なインフレにより、消費者が圧迫されているから」と、同社のローソン・ホワイティングCEOは、3月前半に行なわれた業績発表の際に語った。
3. リップ指数
化粧品会社エスティローダー()の巨額の富を相続したひとりであるレナード・ローダー氏が、リップ指数を考案したと言われている。
アメリカ経済が不況にあえいでいた2001年、ローダー氏はリップの売上が減るどころか増えていることに気づいた。そこでローダー氏はリップの売上と経済の健全さは反比例の関係にあるという説を打ち立てた。経済状況が悪化すると、人々はリップを「少ない費用でできる贅沢」とみなし、結果としてリップがよく売れるという考え方だ。
ローダー氏がこの指数を思いついたころ、量販店におけるリップの売上が11%増加していた。世界最大規模の化粧品会社のいくつかも、アメリカ合衆国が景気後退に突入した2008年に売上が増加したと報告している。そして最近、数カ月連続でインフレ率が高止まりしているなか、化粧品の売上が急増している。
しかし、化粧品の売上高は経済が比較的順調な時期に上昇したことも、逆に不景気時に下落したこともあるため、景気後退のサインとしての信頼性は高くない。
4. 下着指数
かつてFRB議長を務めたアラン・グリーンスパン氏は「男性用下着指数」を唱えた。景気が下向きに転じると、男性は普段他人に見られることがないという理由で、新しい下着を買うのをやめるという説だ。経済の見通しが明るくなると、男性はふたたびボクサーパンツやブリーフを買うようになる。
これも確実な指標ではないが、グリーンスパン説が正しいことを示す実例も存在する。ユーロモニター(Euromonitor)が調べたところ、男性用下着の売上は、グレート・リセッションの2008年から2009年にかけて減少し、2010年から2015年にかけて上昇していた。ブルームバーグ(Bloomberg)の調べでは、2020年、パンデミックで不安が広がっていたころにもアメリカ合衆国では男性用下着の販売数が激減し、2021年になって回復した。
5. ヘムライン(裾丈)指数
1920年代に提唱されたヘムライン指数によると、経済が好調のときはスカートやドレスの裾丈(ヘムライン)が短く、不景気のときには長くなる。
これも指標として信頼できるものではないが、いくつかの例が知られている。
経済が活況を呈していた1960年代にはミニスカートがはやり、1970年代にオイルショックが始まると、スカートはふたたび長くなったと、ブルームバーグが報告している。そして2022年の初頭には、マイクロミニと呼ばれるとても短いミニスカートがブームになっていたが、インフレが始まると足首が隠れる長さのマキシスカートが人気した。
6. 段ボール箱指数
段ボール箱が経済の健全性のバロメーターになるという主張も存在する。消費者によるネットショッピングという意味でも、店舗や倉庫などが関係する大量取引という点でも、商品の輸送において段ボール箱が極めて重要な役割を果たすからだ。
つまり、段ボール需要が下がっている時期は、消費が鈍化していると想定できる。
この指標はほかよりも正確だと考えられる。段ボール需要と消費動向のあいだに明確な関係性が存在するからだ。2009年の初め、アメリカ合衆国は景気後退の真っただ中にあり、段ボールの出荷量が激減した。国内段ボールメーカーの稼働率も同様に低下した。同じようなトレンドが2023年の初頭にも確認された。段ボール業界を代表するファイバー・ボックス・アソシエーション(The Fibre Box Association)が、2022年の第4四半期に段ボールの出荷量が8.4%減少したと発表したのだ。これは金融危機以降最大の下げ幅である。
7. おむつかぶれ指数
赤ん坊のおむつは親にとって高くつく項目で、年間500ドル(約7万5000円)から900ドル(約13万5000円)の出費になる。そのため、経済的に厳しい時期には、節約のためにおむつの交換頻度を減らさざるをえない場合も考えられる。
しかし、おむつの交換頻度を減らすと、赤ん坊がおむつかぶれを起こすリスクが高くなり、その結果として、それを治療する軟膏薬の売上が増加する。したがって、おむつの売上減と軟膏薬の売上増は、経済が縮小していることの兆候とみなせる。
経済が停滞していた時期にこの兆候が実際に確認されたことがある。2011年、経済が厳しい局面を迎えていたころ、当時のウォール・ストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal)の記事によると、親はおむつを買う量を減らすか、安い商品を求めるようになった。それと同時に、軟膏薬の売上が8%上昇したのだ。
だが、これもまた、完全に信頼できる指標ではない。一方では出生率そのものが低下しているし、それと同時におむつの性能が向上したため、親はおむつが湿っているかどうか見極めやすくなった。また、費用を減らすために、以前よりも早い時期からおむつをはずすトレーニングを始めるようになったとも、同紙は指摘している。
8. シャンパン指数
シャンパン指数は基本的にリップ指数の逆バージョンだと言える。経済状況が悪化すると、人々は高価なシャンパンを買わなくなり、代わりに安価なアルコールを求めるようになる。
この現象は過去に観察されたことがある。2008年の景気後退以前、アメリカ合衆国におけるシャンパンの販売数は2300万本を超えていたが、2009年にはそれが1250万本にまで激減したと、カリフォルニア大学バークレー校の「ビジネスレビュー(Business Review)」がレポートしている。
祝うことが少ないと、シャンパンを飲む機会も減るため、この指数はより広い意味での社会感情と関連していると考えられる。実際に、2020年にはシャンパンの販売量が18%減少したと、シャンパン関連の業界団体であるCIVCが報告している。その後、2021年に旅行や社交イベントが再開され、シャンパンの売上はパンデミック前の最高記録を14%も上回る57億ドル(約8550億円)という過去最高値をたたき出した。
9. ストリッパー指数
ファイナンシャル・リテラシー・ダイアリーズ(Financial Literacy Diaries)のCEOとして、Z世代のお金事情に精通するアーリヤー・キシック氏は去年、Business Insiderに対して、エキゾチックなダンサーたちが、景気後退の接近を最初に警告する人々だと指摘した。もうひとつの予測理論である「ストリッパー指数」に信憑性を与える主張だ。
キシック氏は、ストリッパーに与えられるチップを弾力性のある商品の縮図とみなしている。あるプロダクトの価格変化が需要の変化を引き起こすか否かを示すための概念として、「弾力性」が用いられる。
たとえば、コーヒーは非弾力的な商品だと言われている。価格が上がっても、人々はコーヒーを買い続ける。コーヒーなしで暮らしていこうとはしない。カフェインは依存性が高いこともあり、人々は経済的に厳しい時期もコーヒーを減らそうとしないのである。
典型的なホワイトカラーは不景気のときでさえコーヒーをやめようとしないが、夜の娯楽を減らしたり、ストリッパーへのチップを渋ったりするようになると、キシック氏は指摘する。
この理論は、客のチップをあてにするあらゆるサービス業に一般化できるだろう。アメリカ経済研究所の上級エコノミストであるピーター・C・アール氏は、去年Business Insiderにこう語った。
「外食産業に携わる多くの人が気づいているように、最近はレストランでのチップが減っていて、これは消費者が自由に使えるお金の支出を減らしていることを意味する。その理由として、失業率の上昇やインフレの悪影響、あるいはその両方が考えられる」
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