ペンタゴンは、2009年にフォート・フッドで13人を殺害した元陸軍精神科医ニダル・ハサン死刑囚の銃殺刑を12月3日に同基地で執行し、その模様を一般向けにライブ配信すると発表した。米国防総省高官らが明らかにしたもので、異例の公開処刑計画には国内外から批判や懸念の声が上がっている。
米国における軍事死刑と公開処刑の歴史的文脈
米国防総省による今回の決定は、過去の歴史的慣例から見ても極めて異例なものである。非営利団体「死刑情報センター」のロビン・マー代表は、連邦や軍の執行において広く一般に公開された事例や、ましてやライブ配信された前例は確認されていないと指摘した。さらに、USA TODAYの調査でも、世界中の政府がいかなる処刑をもライブ配信した記録は見当たらないという。
米国防総省が最後に死刑を執行したのは1961年で、オーストリアで犯罪に問われたジョン・ベネット陸軍二等兵が絞首刑に処されて以来である。また、軍による銃殺刑としては、第二次世界大戦中の1945年に脱走罪で軍法会議にかけられたエディ・スロビック二等兵の事例が最後となる。コロラド大学ボルダー校のマイケル・ラデレット社会学教授は、かつては処刑が見世物となり、屋台で軽食が売られることもあったと指摘する。
米国内での一般的な公開処刑については、ソニア・リーの2025年の著書『American Bloodlines: Reckoning with Lynch Culture』によると、1936年にケンタッキー州オーエンズボロでレーニー・ベシアの絞首刑が行われて以来、記録がない。当時の処刑には約2万人が集まり、キャンプを張って見物する様子が報じられた。
国内外から寄せられる法的・人権上の懸念の声
法的な手続きの面でも、直ちに執行に至るかどうかは不確定要素が残されている。死刑情報センターのロビン・マー代表は、ハサン死刑囚が連邦裁判所に対して人身保護令状の救済を求める可能性を指摘しており、これが認められれば執行が数年間遅れる余地がある。また、ハサン死刑囚が自身で弁護を行ってきた経緯もあり、今後、処刑方法に対する異議申し立てを行うかどうかも現時点では不透明である。トランプ大統領自身も、処刑のライブ配信という物議を醸す計画を支持しているかどうかについては、明言を避けている。