今年のノーベル化学賞に、東京理科大学名誉教授の硤合憲三氏(76)が選ばれた。鏡像異性体の非対称性を解明する「自己触媒反応」に関する研究が評価されたもので、7日夜に自宅のある埼玉県志木市で喜びを語った。読売新聞などが報じた。
ノーベル化学賞の受賞決定と硤合氏の反応
今年のノーベル化学賞は、東京理科大学の硤合憲三名誉教授と、フランスのパリ・サクレー大学のアンリ・カガン名誉教授の2氏に授与されることが決まった。読売新聞によると、7日午後8時20分頃、埼玉県志木市の自宅マンション前で報道陣の取材に応じた硤合氏は、一礼した後に「私どもの研究分野の価値を広く知っていただけることで、うれしく思っています」と心境を述べた。また、日テレNEWS NNNの報道では、受賞の知らせを受けた時の状況について「近所のスーパーに食材を買いに出かけていた時に電話をもらった」と明かしている。
化学的非対称性の謎に迫る研究の意義
スウェーデン王立科学アカデミーが評価した研究内容は、アミノ酸などの分子に見られる「化学的非対称性」の解明だ。中央日報日本語版によると、2氏は鏡像関係にある分子のうち、一方が優勢になる化学反応の仕組みを明らかにした。硤合氏は、反応生成物が触媒として働き、自身と同じ形の分子をさらに作り出す「自己触媒反応」を設計し、生物に見られる分子の非対称性が生じる経路を提示した。この研究は、生命の起源という人類共通の謎に迫るものとして注目されている。
長年の研究を支えた探究心と謙虚な姿勢
30年以上の交流がある理化学研究所の袖岡幹子センター長は、硤合氏について「物腰が柔らかく、謙虚な方」と評している。読売新聞によると、袖岡氏は「なぜその反応が起こるのか、どうすればより強く現れるのか、極限まで突き詰めていた」と、その研究姿勢を振り返った。また、硤合氏自身は、研究がうまくいかない時期について「暗い所をヘッドライトをつけてたどっているような気分だった」と中央日報日本語版に語っており、地道な積み重ねが今回の成果につながったことを示唆した。
地元や関係者から上がる祝福の声
受賞の知らせを受け、埼玉県内や出身地の広島県などから祝福の声が広がった。読売新聞によると、志木市の香川武文市長は「市民にとって大きな誇りであり、子どもたちにも大きな夢と希望を与えていただいた」とコメントした。また、日テレNEWS NNNによると、硤合氏の母校の同窓会でも喜びの宴が開かれ、会長が「お人柄としては、非常にざっくばらんな、優しい・明るい感じの先輩」と人柄を語る場面もあった。政界からも高市早苗首相が電話で祝意を伝えるなど、各方面から称賛が集まっている。
