コロラド州で開催されたテルライド映画祭にて、事前の告知を一切行わない極秘形式で、元セラノス社創業者エリザベス・ホームズ氏に迫るドキュメンタリー映画『You Can See Everything』がワールドプレミア上映されました。コメディアンのネイサン・フィールダー氏とランス・オッペンハイム監督が共同監督を務めた本作は、日曜日の夜に上映され、会場を包む異例の緊張感と期待感の中で公開されました。
徹底した秘密保持策とサプライズ上映
テルライド映画祭は伝統的にラインナップの公開を直前まで伏せる傾向にありますが、今回の「サプライズ上映」では、運営側が異例の措置を講じました。日曜日の午後6時15分にヴェルナー・ヘルツォーク劇場で予定されていた上映に際し、観客は入場時に携帯電話をYondrポーチにロックすることが義務付けられました。また、携帯電話を隠し持っていないか、暗視ゴーグルを装備した警備員が監視していることも警告されました。

一部の記者やパブリシストは、秘密保持契約(NDA)への署名を条件に作品の正体を事前に知らされていたと主張していましたが、公式に作品名が明かされたのは、観客が着席し、ジュリー・ハンシンガー映画祭ディレクターがステージに登壇した後でした。ハンシンガー氏は観客に対し、テルライドで起きたことはテルライドの中だけに留めてほしいと口止めを呼びかけました。
エリザベス・ホームズの「自由な最後の日々」を記録
174分に及ぶ本作は、投資家を欺いた罪で禁錮11年の判決を受け、刑務所に収監される直前のエリザベス・ホームズ氏の姿を捉えています。フィールダー氏とオッペンハイム監督は、A24と協力してホームズ氏とそのパートナーであるホテル相続人のビリー・エヴァンス氏にアプローチし、彼女が収監される34日前からの生活へのほぼ完全なアクセス権を得ました。

撮影は、カリフォルニア州デルマーにあるビーチサイドの邸宅で行われました。フィールダー氏は同邸宅のゲストハウスに実際に居住し、ホームズ氏やエヴァンス氏、そして幼い子供たちを含む家族と共に過ごしながら、彼女の思考の内側に入り込もうと試みました。フィールダー氏は、彼女が刑務所へ向かう車に乗る直前、最後にハグを交わした人物となりました。
現実と虚構が交錯する独自の構成
本作は単なる「純粋な」ドキュメンタリーではなく、リアリティ番組のような要素と心理劇が融合した構成となっています。フィールダー氏は、自身の番組『Nathan for You』や『The Rehearsal』で見せたように、単なる観察者ではなく、物語の積極的な参加者として登場します。また、劇中にはハリウッド女優による精巧な再現シーンが含まれており、現実とパフォーマンスの境界線を曖昧にする演出が取り入れられています。

制作の背景と今後の公開
プロジェクトのきっかけは、ロサンゼルスの「マジック・キャッスル」での出来事でした。オッペンハイム監督が、ホームズ氏が自身の人生を記録してくれる人物を探しているという情報を得たことで、企画が始動しました。フィールダー氏は当初、ジョン・キャリールー著の『Bad Blood』によって物語は完結していると考えていましたが、公の場から姿を消した彼女が、自身の口から何を語るのかという好奇心に突き動かされたと語っています。
上映後のQ&Aセッションは、フィールダー氏の共演作『The Curse』で共演したエマ・ストーン氏がモデレーターを務めました。A24が配給する『You Can See Everything』は、10月に劇場公開される予定です。
作品概要
| 作品名 | You Can See Everything |
|---|---|
| 監督 | ネイサン・フィールダー、ランス・オッペンハイム |
| 上映時間 | 174分 |
| 配給 | A24 |
| 劇場公開 | 10月予定 |