ニューヨーク・タイムズ紙は、同紙が報じた大統領専用機エアフォースワンの警備上の欠陥に関する記事をめぐり、司法省が記者らに召喚状を発行したことを受け、連邦裁判所にその無効を申し立てた。この召喚状は、マンハッタンの連邦大陪審での証言を求めるもので、報道の自由を巡る対立が激化している。
ニューヨーク・タイムズ紙の記者5名に対する司法省の召喚状
エアフォースワン報道と司法省の召喚状
ニューヨーク・タイムズ紙は、カタール政府から寄贈された新しい大統領専用機「エアフォースワン」の警備および法的な懸念を報じた5人の記者に対し、司法省が連邦大陪審での証言を求める召喚状を発行したことを明らかにした。召喚を受けた記者は、ジュリアン・バーンズ、エリック・リプトン、タイラー・ペイジャー、エリック・シュミット、アダム・ゴールドマンの各氏である。報道によれば、これらの記者らは、新しいボーイング747-8型機が旧型機に比べて洗練されたミサイル防衛能力を欠いているという懸念を報じていた。
同紙の法務顧問デビッド・マックロウ氏は、この召喚状は 「悪意を持って、タイムズ紙の報道を罰するために出されたもの」 であると批判し、報道の自由を侵害する行為であるとして裁判所に無効を申し立てた。マックロウ氏はまた、「連邦法執行機関の捜査官が報道記者の玄関先に現れることは、憲法とそれが守る報道の自由を信じるあらゆるアメリカ人の良心を揺るがすはずだ」と述べている。一部のケースでは、連邦捜査官が召喚状を届けるために記者の自宅を訪れていたことも明らかになった。この召喚状は、トランプ大統領がトルコでのNATOサミットから、シークレットサービスの警備上の懸念により旧型機で帰国したという報道の直後に行われており、政権側が情報漏洩源の特定を急いでいる可能性が指摘されている。
ジェイ・クレイトン氏が署名した召喚状を巡る上院情報委員会の議論
司法省と情報機関の人事公聴会での論争
この召喚状は、議会での人事公聴会でも大きな論点となった。召喚状に署名したのは、マンハッタンの連邦検事であり、現在国家情報長官に指名されているジェイ・クレイトン氏である。上院情報委員会の公聴会でロン・ワイデン上院議員(民主党、オレゴン州)は、この召喚状を「報道機関に対する露骨な攻撃」と批判した。これに対し、クレイトン氏は「進行中の国家安全保障に関わる調査」の一環であると説明し、「私は第一修正条項に対する我々のアプローチや、報道の自由への介入を可能な限り制限するための努力について、あなた方やこの委員会と話し合うことを歓迎する」と述べた。

同日、司法長官に指名されたトッド・ブランチ氏も公聴会に臨んだ。ブランチ氏は、自身の指名が上院司法委員会で厳しい監視下に置かれる中、ホワイトハウスからの政治的干渉を受けずに司法省を運営できることを強調した。公聴会では、民主党のシェルドン・ホワイトハウス上院議員が、FBI長官カッシュ・パテル氏によるFBI航空機の不正使用疑惑に言及し、ブランチ氏に対し、こうした不正を許容するのかと問う場面があった。ブランチ氏はこれに対し、「それは極めて不愉快な質問です、上院議員」と反論した。また、ブランチ氏は、司法省が審査中であったパラマウント・グローバルによるワーナー・ブラザース・ディスカバリーの買収計画に関連し、パラマウントのデビッド・エリソン会長と私的な夕食会を行ったのではないかというコリー・ブッカー上院議員の追及に対し、「あなたは私に質問に答えることさえさせないのか」と声を荒らげる一幕もあった。
ロニー・エイブラムス判事が管轄する召喚状の無効請求手続き
今後の司法手続きと報道の自由
タイムズ紙が申し立てた召喚状の無効請求は、マンハッタン連邦地方裁判所のロニー・エイブラムス判事の管轄下に置かれた。同判事は、同裁判所のメディアアクセス委員会の委員長を務めている。召喚状は当初、記者が水曜日に出頭することを求めていた。4億ドルの価値があるとされるカタール寄贈の航空機を巡る警備上の欠陥について、トランプ大統領自身が不満を募らせていたと報じられており、今回の召喚状発行は、政権がこの機体に関する情報漏洩を深刻に捉えていることを示唆している。現在のところ、司法省側がこの調査をどのように進めるか、また記者の証言をどこまで強制するのかについては不透明な状況が続いている。
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