2026年10月7日、ドナルド・トランプ前大統領はテキサス州サンアントニオのフリーマン・コロシアムで大規模な集会を開き、同州の上院選候補であるケン・パクストン司法長官への支持を訴えた。会場では繰り返し抗議活動が発生し、選挙戦の厳しい情勢が浮き彫りとなった。
サンアントニオの熱気と相次ぐ抗議者への応酬
テキサス州サンアントニオのフリーマン・コロシアムで開催された集会は、冒頭から緊張感に包まれた。満員の会場で演説を続けるドナルド・トランプに対し、聴衆の中から次々と抗議の声が上がった。
少なくとも十数人のデモ参加者が演説を妨害し、その多くは警察官や保安官代理によって会場外へ連れ出された。
ステージのすぐ近くまで迫った参加者が連行される際、トランプは演説を一時中断し、「ママのところへ帰るんだな。だが、あいつのママがトランプに投票したことなど知る由もない」とやゆした。
さらにトランプは、会場内で繰り広げられた相次ぐ妨害について、政治的な敵対勢力が資金を出していると主張した。「彼らは我が国の敵から金をもらっている」と述べ、聴衆のブーイングを誘った。
会場には「SOS Cuba」と書かれたシャツを着た人物も現れ、共和党支持者らが「USA、USA」とチャントを叫ぶ中、カップルが警備員に連れ出される一幕もあった。トランプはこうした妨害を行った人々を「ひどい見た目の人々だ」と切り捨てた。

歴史的地盤テキサスで露呈する共和党の焦燥
テキサスは共和党の地盤であり、前回の大統領選ではトランプが約14ポイントの大差で勝利した州である。共和党にとって、同州でこれほど多額の資源や時間を投じる事態は本来の想定外であった。
こうした逆風を象徴するように、トランプの集会には異例の欠席者も出た。再選を目指す共和党のグレッグ・アボット知事は、会場から約330マイル離れた場所での病院開設式典に出席するため、集会への姿を見せなかった。
民主党側は、アボット知事がトランプやその政策から距離を置こうとしていると批判を強めている。テキサス州民主党のジェイコブ・ロング広報担当者は、アボット知事が長年にわたりトランプを「偉大な友人」と呼びその政策を支持し続けてきたと指摘しつつ、テキサス州民が関税や中東情勢によるかつてない物価高に苦しむ中でアボットが別の場所に身を置いていると非難した。
泥沼化する上院選とパクストンを巡る攻防
今回の訪問は、共和党の予備選で現職のジョン・コーニン上院議員を破ってノミニーとなったケン・パクストン司法長官を支援するために行われた。トランプは演説の大半を上院選に割き、パクストンを「おそらくアメリカ合衆国で最高の司法長官」と称賛した。
トランプはまた、自身が勝った選挙のように投票するよう有権者に呼びかけ、「私が投票用紙に載っていると仮定して投票してほしい」と訴えた。
選挙戦を巡っては、パクストン自身が9月下旬の非公開の資金集め会合で、ダラスでのトランプの党大会が自身の選挙戦の数字を押し下げたことが『ニューヨーク・タイムズ』紙の報道で明らかになっており、陣営は報道を否定する一方、選挙への影響が注目されている。
ロジャー・クレメンスの大統領自由勲章受章を発表
集会の最中、トランプは元メジャーリーグ(MLB)の投手であるロジャー・クレメンスをステージに呼び寄せた。
クレメンスはマイクを握り、トランプを称える短いスピーチを行った。