中国の習近平国家主席による米国国事訪問が9月23日から25日の日程で行われ、トランプ米大統領による厚遇や「第2次世界大戦時の同盟国」との発言が報じられている。.
トランプ大統領による空港出迎とローマ教皇並みの厚遇
世界が注目した今回の訪米で、米国側は中国側にかなりの配慮を示した。トランプ大統領自らが空港まで出迎えたほか、歓迎式典では米中関係について「共通の利益の追求が、多くの相違を乗り越えて両国民を結び付け、第二次世界大戦ではわれわれを同盟国にした」と発言した。jbpress.ismedia.jpが伝えたところによれば、大統領自らが海外からの国賓を出迎えたのは2015年のバラク・オバマ大統領による教皇フランシスコ以来であり、習近平はローマ教皇並みの待遇を受けたといえる。ダイヤモンド・オンラインの報道では、こうしたトランプの姿勢について国賓として招いた習への配慮を優先した結果であると指摘されている。
米中首脳会談における8つの合意点とパンダの到着
中国側の発表によると、今回の首脳会談では8つの合意点が確認された。「尊重、公平、対等に基づく、建設的な米中戦略的安定関係」の構築をはじめ、APEC首脳非公式会合やG20首脳会議に向けた相互支援、イランの核開発阻止や国際水路の通行料徴収禁止などが含まれている。さらに、第二次世界大戦の同盟国としての歴史の振り返りや、米中経済貿易協議メカニズムの成果評価、300億ドル規模の相互減税措置の合意が盛り込まれた。麻薬取締当局間の協力推進や、AIのリスクと便益を話し合う「米中AI対話」の設立も合意され、中国が米アトランタ動物園に貸し出した一対のジャイアントパンダの到着も歓迎された。

高市首相の訪米とトランプ氏による対話の促し
読売新聞オンラインの報道によると、ワシントンで9月24日に行われた米中首脳会談で、トランプ大統領は習近平国家主席に対し、日本の高市首相と直接対話するよう促していたことが分かった。26日の日米首脳電話会談でトランプ氏が首相に伝えたもので、米中会談で習氏が東アジアの地域情勢を巡って日本の動きを非難し、高市内閣の安全保障政策を「新型軍国主義」と呼んで対日批判を強めた際、トランプ氏は同調せず首相を「強いリーダーだ」と評価したという。昨年11月の首相による台湾有事を巡る国会答弁以降、日中間では政府間対話が途絶えているが、首相は「意思疎通が重要で、対話は常にオープンだ」と訴えてきた。
日米首脳会談のタイミングと日本側の警戒感
デイリースポーツの報道によると、高市首相は国連総会への出席に合わせて訪米し、米中首脳会談の直前である9月22日にニューヨークでトランプ大統領との日米首脳会談を行った。日米同盟の強さを世界に示す意義があったとされる一方で、専門家や政権周辺からは、米中両国が経済面などで妥協する過程で台湾海峡や地域の安全保障が取引材料となり、日本の安全保障環境に影響するのではないかとの警戒感も示されている。日本経済新聞の報道では、京都大学総長特別補佐の酒井吉広氏が、トランプ氏の「同盟国」発言についてアドリブではなく中国側が喜ぶと分かった上での発言であると指摘し、日本の対中戦略に影を落とすとの見方を示している。

今後の日中関係と国際会議での首脳外交の行方
高市首相は、11月に中国で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議にあわせて訪中する予定となっており、今回のトランプ氏による習氏への発言や日中対話の促しは、こうした国際会議の機会を強く念頭に置いたものとみられている。日中間の政府間対話が途絶えたまま迎える次回の国際舞台において、首脳間での直接的な意思疎通が再開されるかどうかが、今後の東アジア情勢を占う試金石となる。